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キャリアアップ助成金とは【貰える額は?】各コース特徴・受給対象者・申請手順を紹介

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キャリアアップ助成金とは【いくらもらえる?】各コース特徴・受給対象者・申請手順を紹介

キャリアアップ助成金とは【いくらもらえる?】各コース特徴・受給対象者・申請手順を紹介

2023/11/28

皆さんの職場の非正規雇用労働者の人の割合はどれくらいでしょうか?

 

2023年9月に総務省が実施した労働力調査によると、非正規雇用労働者数は2141万人で、労働者全体の37.1%を占めています。2004年以降、微減の年はあるものの増加傾向となっています。

 

週休3日制、フルリモートワーク、フリーランスなど、それぞれのライフスタイルに合わせて働き方の多様化がすすむ現代。一方で、非正規雇用と正規雇用間の理不尽な待遇差により、非正規雇用労働者が離職したり、就業率の減少といった問題も顕在化しています。

 

この記事では、非正規雇用労働者の雇用環境を改善し、正規雇用化をめざす事業者や労働者のサポートとして活用できる「キャリアップ助成金」について詳しく解説します。

 

キャリアアップ助成金いくらもらえる?

 

非正規雇用労働者を正規雇用化した場合にもらえるキャリアアップ助成金の受給額は、非正規雇用労働者の雇用形態により変わります。

 

有期雇用から正規雇用は約57万円

採用時の契約で雇用期間が決められている有期雇用の人が正規雇用された場合の支給額は約57万円です。

 

無期雇用から正規雇用は約28万円

採用時の契約で雇用期間が定められていない無期雇用の人が正規雇用された場合の支給額は約28万円となっています。

 

※上記の支給額は企業規模や健常者・障害者といった労働者の状況によって変わります。詳しくは「キャリアアップ助成金のコース種類」の項目で説明します。

 

キャリアアップ助成金とは?

そもそも「キャリアアップ助成金」とは、いったいどんな助成金なのかについてわかりやすくご紹介します。

 

企業内キャリアアップのための助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用やパート、派遣社員といった非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善の取組を行った事業者に支給される助成金です。取り組みの内容により支給額の異なる複数のコースが設定されています。

 

キャリアアップ助成金のコース種類

前述のとおり、キャリアアップ助成金は、企業規模や健常者・障害者といった労働者の状況によって変わります。どのような種類があるのかをこちらで確認してみましょう。

 

正社員化コース

就業規則に基づき、非正規雇用労働者を正社員化する取り組みが助成金支給対象となるコースです。「正社員」には勤務地や職務が限定された正社員、短時間正社員も含まれます。支給申請上限人数は1年度1事業所20名です。

 

正社員化コースにおける正社員の定義として

・同一の事業所内の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されていること

・「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されていること

が取り決められています。

 

また、助成金支給の対象となる非正規雇用労働者は、「正規雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと」「正社員化を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること」といったいくつかの条件があります。

 

この他、受給対象となる事業者の重要なポイントとして「正社員化後6か月間の賃金を、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額」するというものがあります。

 

1人当たりの助成額一覧

事業者規模/雇用形態

有期雇用労働者→正社員

無期雇用労働者→正社員

中小企業

57万円

28万5,000円

大企業

42万7,500円

21万3,750円

 

上の表の金額の他、下記表の措置内容に該当する場合、指定の金額が加算支給されます。

措置内容

有期雇用労働者→正社員

無期雇用労働者→正社員

①派遣社員を正社員として直接雇用

28万5,000円

②対象者が母子家庭の母・父子家庭の父

95,000円

47,500円

③人材開発支援助成金の訓練終了後に正社員化

95,000円

47,500円

  ③のうち自発的職業能力開発訓練または定額制の訓練修了後に正社員化

11万

55,000円

④勤務地や職務限定正社員、短時間正社員を新たに規定し、当該区分に転換

(1事業所1回のみ)

95,000円

(大企業71,250円)

 

人材開発支援助成金および各訓練の詳細及び要件等については下記を参照ください。

厚生労働省ホームページ「人材開発支援助成金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

 

障害者正社員コース

障害のある非正規雇用労働者を正規雇用化(勤務地や職務限定正社員、短時間正社員を含む)した事業主に助成されるコースです。障害の程度や種類・企業規模などにより支給額は異なりますが、対象者1人あたり33万円~120万円が支給されます。支給対象期間は1年間です。

 

賃金規定等改定コース

有期雇用労働者の基本給の賃金に関する規定(就業規則・賃金規定・賃金一覧表など)を3%以上増額改定し、改定後の規定を適用させた事業者に助成金が給付されます。正社員化コース同様、対象となる受給者にはいくつかの条件があります。1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は100人です。

 

1事業当たりの助成額一覧

事業者規模/賃金引上げ率

3%以上5%未満

5%以上

中小企業

5万円

6万5,000円

大企業

3万3,000円

4万3,000円

受給対象者の職務内容や職務責任の大きさを相対的に評価し、待遇が見合っているかを検証・点検する「職務評価」を実施し、賃金増額改定を行った場合、下記の金額が加算されます。適用は1事業所1回のみです。

 

中小企業

20万円

大企業

15万円

 

※職務評価の詳細については下記を参照ください。

厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版」,p37

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf

 

賃金規定共通化コース

社内のすべての有期雇用労働者について、正社員と共通の職務・等級などに応じた就業規則や賃金規定、賃金テーブルなどを新たに作成し適用した事業者に助成されます。1事業所1回のみの支給です。

 

※賃金テーブル共通化の例

等級区分

正社員

有期雇用労働者

3等級

月給〇〇円

時給●●円

2等級

月給△△円

時給▲▲円

1等級

月給□□円

時給■■円

例えば3等級の場合、月給〇〇円の時給換算額≦時給●●円となるように作成する

 

支給対象となる有期雇用労働者は「賃金規定等を共通化した日以降の6か月間、当該対象適用事業所において雇用保険被保険者であること」など5つの条件を満たしている必要があります。

 

1事業当たりの助成額一覧

中小企業

60万円

大企業

45万円

 

 

賞与・退職金制度導入コース

社内のすべての有期雇用労働者について、賞与・退職金制度を新たに設け就業規則などに明記し、適用した事業者に助成されます。1事業所1回のみの支給です。

 

1事業当たりの助成額一覧

事業者規模/導入する制度

賞与・退職金のいずれかを導入

賞与・退職金を同時に導入

中小企業

40万円

56万8,000円

大企業

30万円

42万6,000円

 

 

短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者とした事業者に助成されます。3時間以上延長した場合(パターン1)と、労働者の手取り収入が減少しないように1時間以上3時間未満の範囲で延長した場合(パターン2)があり、受給額が異なります。

 

パターン1、2合わせて1年度1事業所45名が支給申請上限です。また、注意点としてパターン1は令和6年9月30日までの間、支給額が増額されており、パターン2はは令和6年9月30日までの暫定措置となっています。

 

1人当たりの助成額一覧

パターン1:週所定労働時間を3時間以上延長した場合

中小企業

23万7,000円

大企業

17万8,000円

 

 

パターン2:労働者の手取り収入が減少しないように1時間以上3時間未満の範囲で延長した場合

事業者規模/延長する時間

1時間以上2時間未満延長

(10%以上増額)

2時間以上3時間未満延長

(6%以上増額)

中小企業

5万8,000円

11万7,000円

大企業

4万3,000円

8万8,000円

 

 

【対象者】キャリアアップ助成金受給事業者

企業内の雇用環境改善や非正規雇用労働者のキャリアアップにぜひ活用したいキャリアアップ助成金ですが、事業を営むすべての人が受給対象というわけではありません。ここではどのような事業者が受給対象となるのか、誰がもらえるのかという点について解説します。

 

5つの事業主が対象となる

いずれのコースにおいても、キャリアアップ助成金の受給対象事業者となるには、下記5点の条件をすべて満たしている必要があります。

 

1.労働者を1名以上雇用していること

2.雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている(ただしキャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできない)

3.雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている

4.実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる

5.キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ実績がある

 

また、取り組むコースによっては、上記の他に条件が設定されている場合があります。各コースの受給事業者条件については厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版」を必ずご確認ください。

 

【対象外】キャリアアップ助成金受給事業者

 

7つの対象事業主は助成金受給ができない

下記の7項目のうちいずれかに該当する事業者は、キャリアアップ助成金の受給申請をすることができません。

 

1.支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない

2.支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った

3.性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託している

4.暴力団と関わりがある

5.暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している

6.支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している

7.支給決定時に、雇用する労働者が0名である

 

キャリアアップ助成金申請の手順

ここからは、実際にキャリアアップ助成金の受給申請をする手順を解説していきます。

 

手順1|キャリアアップ計画書作成・提出

厚生労働省HP「キャリアアップ助成金」の申請様式ダウンロードより様式第1号キャリアアップ計画書をダウンロードし記載します。厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」,p55に詳細な記載例が掲載されています。

 

目標については、あやふやな記載ではなく、いつまでに何人といった具体的な数字を盛り込むことがポイントです。作成後、事業所のある都道府県の労働局に提出します。

出所:厚生労働省HP「キャリアアップ助成金

 

手順2|就業規則に転換制度を規定・提出

受給申請するコースの条件となる転換制度を新たに就業規則などに規定し、労働局に届け出を行います。手順1、2は実際に転換を行う前に実施する必要があります。

 

手順3|正社員化など転換の実施

手順2で労働局に届け出た内容のとおりに対象労働者の転換を実施します。

 

手順4|転換後6ヶ月間雇用後に支給申請

各コースの取り組み実施から6か月間の賃金支払い後、支払った日の翌日から2か月以内に支給申請書を作成の上、労働局に提出します。支給申請書は計画書と同様、厚生労働省HP「キャリアアップ助成金」の申請様式ダウンロードより入手できます。厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版」,p56-62に詳細な記載例が掲載されています。

 

キャリアップ助成金支給申請書の一部

出所:厚生労働省HP「キャリアアップ助成金

 

手順5|審査・支給決定

支給申請書を提出後、労働局で書類の確認が行われ、内容に問題がなければ確定通知が交付され助成金の振込が行われます。

 

キャリアアップ助成金申請時の注意点

ここではキャリアアップ助成金申請時に見落とされやすい注意ポイントを解説します。

添付資料に不備がないか確認する

 

決められた期間内に受給申請書を提出する

  • 受給申請書は各コースの取り組み実施から6か月間の賃金支払い後、支払った日の翌日から2か月以内に労働局に提出する必要があります。取り組みを実施しても期限を超えると交付されなくなってしまいますので、期限に気を付け提出しましょう。

 

賃金3%以上増額には含まれない手当がある

  • 正社員化コースや賃金規定等改定コースの条件の賃金3%以上増額の「賃金」には下記のものは含まれません。
 

通勤手当や食事手当などの実費補填

歩合給や時間外労働手当といった変動のある手当

賞与

 

 

キャリアアップ助成金に関する無料相談は?

組織・人材育成なら「サプナ社会保険労務士法人」

補助金や助成金は上手く活用することで事業活動に大きなメリットを生む反面、申請方法が煩雑なため申請をあきらめてしまう事業者の方も多いようです。申請方法が分からない、自社が助成金の対象か確認したい、そのようなお悩みをお持ちの方はぜひ一度「サブナ社会保険労務士法人」にご相談ください。

 

まとめ

今後もさらに加速する働き方の多様化。社内のすべての労働者のモチベーションを高め、生産性を高めるために、ぜひキャリアアップ助成金の申請を検討してみてください。

 

参考:

厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」,

 

厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)


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