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特定求職者雇用開発助成金とは【簡単に概要・コース解説】メリット・デメリットを紹介!

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特定求職者雇用開発助成金とは【簡単に概要・コース解説】メリット・デメリットを紹介!

特定求職者雇用開発助成金とは【簡単に概要・コース解説】メリット・デメリットを紹介!

2024/04/09

高齢化と少子化が加速する現代、日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)は減少を続けています。総務省の「平成29年度版情報通信白書」によると、生産年齢人口は2030年には約6,773万人、2060年には約4,418万人にまで減少すると考えられています。

労働者の確保は事業活動を継続していく上で重要なファクターです。通常の雇用が困難となる対象者を積極的に雇用していくことも大切になります。

 

この記事では、事業者が通常の雇用が困難な対象者を雇用した場合に支給される、特定求職者雇用開発助成金について詳しく解説していきます。

 

人材を確保しながら助成金を受けることができるため、特定求職者雇用を検討している場合はぜひ利用したい制度です。制度利用を検討していたり、興味をお持ちの事業者の方は参考にして下さい。

 

特定求職者雇用開発助成金とは

「特定求職者雇用開発助成金」とは、障害者や高齢者等の就職困難者を採用した事業主を対象に支給される助成金制度です。ハローワーク等の紹介により、継続雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として採用する事業主が受給できます。

通常の雇用が難しい就職困難者の雇用機会の拡大や雇用の安定、事業者側の労働者確保といった目的で実施されています。雇用される労働者の状況に対応した5つのコースが設けられています。

 

特定求職者雇用開発助成金の活用メリット

「特定求職者雇用開発助成金」を活用することで、事業者に下記のメリットが生まれます。

助成金を受給できる

原則返済が不要な助成金を受給できます。受給した助成金は雑収入の扱いとなり、使用用途を事業者が決めることができます

即戦力となる人材の確保がしやすい

諸条件により就職が困難な求職者であっても、優秀な人材は多く存在します。人材不足に悩む事業者にとって、即戦力と成り得る人材を実質的に低コストで雇用できる点は、大きなメリットと言えます

 

デメリットはある?

一方で、場合によっては下記のデメリットが生じる可能性もあります。

事務手続きが煩雑

制度変更が多くあり、常に厚生労働省のHP等で最新の情報を確認しつつ、申請書類の作成や必要書類の用意等の事務作業を行う必要があり、手間となる可能性があります

助成金の受給まで時間がかかる

助成金は申請をしたからといってすぐに支給されるわけではなく、事務局での審査を経て支給されます。助成金を雇用対象者の賃金に充てる等の使い方は難しく、資金繰りに余裕を持って事業を行う必要があります

 

特定求職者雇用開発助成金の概要

ここからは「特定求職者雇用開発助成金」制度の目的や受給条件について解説します。

 

助成金の目的

この助成金は、60歳以上の高齢者や何らかのハンディキャップを抱えている等、就職が特に困難な人の雇用機会の増大・安定を促進することを目的としています。

 

受給条件

助成金の受給には「ハローワークもしくは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること」をはじめ、各コースにそれぞれ必要条件が定められています。申請を行う際は、それぞれのコースの受給条件に自社が合致しているかを確認する必要があります。

各コースの受給条件は「特定求職者雇用開発助成金のコース」の項目で解説します。

 

特定求職者雇用開発助成金のコース

ここでは「特定求職者雇用開発助成金」に設けられている5つのコースについて、説明します。

 

特定就職困難者コース

「特定就職困難者コース」概要

高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、雇用保険の一般被保険者として継続雇用する事業主に対して助成金が支給されます

 

支給要件(1、2のいずれも満たすことが必要)

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること
  2. 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として継続して雇用すること

 

 

※支給要件には1、2の他いくつかの条件があります。詳細は厚生労働省「雇用関係助成金共通の要件」をご参照下さい

支給額(カッコ内は中小企業以外)

対象となる労働者

支給額

対象期間

短時間労働者以外

高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等

60万円(50万円)

1年

(1年)

重度の身体・知的障害者、

45歳以上の身体・知的障害者・精神障害者

240万円

(100万円)

3年

(1年6ヵ月)

重度障害者等を除く身体・知的障害者

120万円(50万円)

2年

(1年)

短時間労働者

※一週間の所定労働時間20h~30h未満

高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等

40万円(30万円)

1年

(1年)

重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者

80万円(30万円)

2年

(1年)

 

※この他、最新の改正情報や細則については、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」をご参照下さい。

 

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」概要

ハローワーク等の紹介により、発達障害者や難病患者を雇用保険の一般被保険者として継続雇用する事業主に対して助成金が支給されます

 

支給要件(1、2のいずれも満たすことが必要)

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること
  2. 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として継続して雇用すること

※支給要件には1、2の他いくつかの条件があります。詳細は厚生労働省「雇用関係助成金共通の要件」をご参照下さい

 

支給額(カッコ内は中小企業以外)

対象となる労働者

支給額

対象期間

短時間労働者以外

120万円(50万円)

2年(1年)

短時間労働者

※一週間の所定労働時間20h~30h未満

80万円(30万円)

2年(1年)

※この他、最新の改正情報や細則については、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」をご参照下さい。

 

生活保護受給者等雇用開発コース

「生活保護受給者等雇用開発コース」概要

「生活保護受給者等雇用開発コース」概要

ハローワークや地方公共団体で、通算3ヶ月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者を、ハローワーク等の紹介により雇用保険の一般被保険者として継続雇用する事業主に対して助成金が支給されます

 

支給要件(1、2のいずれも満たすことが必要)

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること
  2. 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として継続して雇用すること

※支給要件には1、2の他いくつかの条件があります。詳細は厚生労働省「雇用関係助成金共通の要件」をご参照下さい

 

支給額(カッコ内は中小企業以外)

対象となる労働者

支給額

対象期間

短時間労働者以外

60万円(50万円)

1年(1年)

短時間労働者

※一週間の所定労働時間20h~30h未満

40万円(30万円)

1年(1年)

※この他、最新の改正情報や細則については、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)」をご参照下さい。

 

就職氷河期世代安定雇用実現コース

「就職氷河期世代安定雇用実現コース」概要

就職氷河期に正規雇用の機会を得ることができなかった等の理由により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な人をハローワーク等の紹介により、正規雇用労働者として雇い入れる事業主に助成金が支給されます

 

支給要件(1~6の全てを満たすことが必要)

  1. ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用すること
 

 【雇用する労働者について】

  1. 1968年(昭和43年)4月2日~1988年(昭和63年)4月1日生まれの人
  2. 雇用日前日以前の過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間が通算1年以下
  3. 雇用日前日以前の過去1年間に正規雇用労働者等として雇用されていない
  4. ハローワーク等の紹介時点で安定した職業に就いておらず、かつ個別支援等の就労に向けた支援を受けている
  5. 正規雇用労働者として雇用されることを希望している

※この他、細則については、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」をご参照下さい。

 

支給額(カッコ内は中小企業以外)

支給額

対象期間

60万円(50万円)

1年(1年)

 

成長分野等人材確保・育成コース

「成長分野等人材確保・育成コース」概要

当コースには下記の2つのメニューが設定されています

 
  1. 【成長分野】

就職困難者を「成長分野の業務」にハローワーク等の紹介に雇用し人材育成に取り組   む事業者に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースより高額の助成金が支給されます

    

成長分野には情報処理・通信技術者と研究・技術の職業があります

それぞれの内容については、厚生労働省「職業分類表 改訂とその経緯」をご参照下さい

    

  1. 【人材育成】

ハローワーク等の紹介により未経験の就職困難者を雇用し、人材開発支援助成金による人 材育成、賃上げを行った事業者に特定求職者雇用開発助成金の他のコースより高額の助成 金が支給されます

 

人材開発支援助成金については、下記をご参照ください

厚生労働省「人材開発支援助成金

 

支給要件

共通要件に加え、各メニューごとに設定された要件全てを満たすことが必要です

 

【成長分野・人材育成共通要件】

  • 対象労働者の種別に合致する特定求職者雇用開発助成金の他のコースの支給要件をすべて満たすこと(例として就職氷河期世代の人の場合は就職氷河期世代安定雇用実現コース)
 

【成長分野】

  • 対象労働者を「成長分野等の業務」に雇用すること
  • 対象労働者に対して、雇用管理改善もしくは職業能力開発にかかる取組を行う
  • 上記の実施報告書を作成提出する
 

【人材育成】

  • 対象労働者が未経験の職業を希望している
  • 対象労働者に対し、人材開発支援助成金を活用した訓練を行い、訓練と連動した業務に従事させる
  • 毎月の賃金を雇用日から3年以内に雇用日と比較し5%以上引上げる

※支給要件にこの他いくつかの条件があります。詳細は厚生労働省「雇用関係助成金共通の要件」をご参照下さい

 

 

1人あたりの支給額(カッコ内は中小企業以外)

対象となる労働者

支給額

対象期間

短時間労働者以外

高年齢者(60歳以上)

母子家庭の母等

就職氷河期世代の人

生活保護受給者等 

90万円(75万円)

1年

(1年)

身体・知的障害者

発達障害者

難治性疾患患者

180万円(75万円)

2年

(1年)

重度の身体・知的障害者、

45歳以上の身体・知的障害者・精神障害者

360万円

(150万円)

3年

(1年6ヵ月)

短時間労働者

※一週間の所定労働時間20h~30h未満

高年齢者(60歳以上)

母子家庭の母等

生活保護受給者等

60万円(45万円)

1年

(1年)

障害者

発達障害者

難治性疾患患者

120万円(45万円)

2年

(1年)

 

※この他、最新の改正情報や細則については、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」をご参照下さい。

 

特定求職者雇用開発助成金の申請プロセス

ここからは、実際に特定求職者雇用開発助成金に申請する際に必要となる書類や、手続きの流れを解説していきます。

 

必要な書類

必要となる書類

支給申請書(様式第3号)

賃金の分かる書類

賃金台帳等

出勤状況の分かる書類

出勤簿等

対象者であることを証明するための書類

医師の診断書・障害者手帳・住民票等

週の労働時間と雇用契約期間の分かる書類

雇用契約書又は雇入れ通知書

対象労働者雇用状況等申立書(様式第5号)

支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)

 

申請手続きの流れ

1.

ハローワーク等から労働者の紹介を受ける

2.

対象となる労働者を雇用する

3.

助成金対象となる期間ごとに労働局またはハローワークで申請の手続きを行う

4.

提出した申請書類の審査が行われる

5.

支給の決定または不支給の通知が届く

6.

                 助成金受給

 

特定求職者雇用開発助成金の注意点

助成金は1度にまとめて支給されるのではなく、定められた支給対象期間毎に複数回にわたり支給されます。

支給回数は各コースによって異なります。毎回、支給対象期の末日の翌日から2ヶ月以内に申請手続きが必要です。

申請手続きを忘れず行うようにしましょう。

 

ハローワーク等の紹介を受けず事業者が労働者を直接雇用した場合、助成金の対象にはならない点も注意が必要です。

 

助成金の相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ

 

助成金は上手く活用することで事業活動に大きなメリットを生む反面、制度の内容や申請方法が煩雑なため利用や導入をあきらめてしまう事業者の方も多いようです。

制度の内容や申請方法が分からない、自社が助成金の対象か確認したい、そのようなお悩みをお持ちの方はぜひ一度「サブナ社会保険労務士法人」にご相談ください。

 

 

廃止された特定求職者雇用開発助成金のコース

より利用しやすい制度の実現のため、特定求職者雇用開発助成金は内容の変更・廃止や追加が進められています。下記の2つのコースは令和4年度末で廃止されています。

 

生涯現役コース

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者の雇用を対象としたコース。廃止後、65歳以上の対象労働者の方は「特定就職困難者コース」の対象となっています。

 

被災者雇用開発コース

東日本大震災で被災したことにより離職した人や被災地での求職者を対象とし設定されていたコースです。

 

まとめ

事業者にとって、人材を確保しながら助成金を受けることができる「特定求職者雇用開発助成金」はメリットの多い制度です。一方で制度を導入したいが内容が複雑で自社が該当するのかが分からない、といった悩みが聞かれます。

制度の導入を希望する人は、ぜひこの記事の内容をご参考にしてみてください。不明な点は専門家に相談するなどして最新の情報を把握し、制度を最大限利用しましょう。

 

参考

厚生労働省."令和3年7月1日から、トライアル雇用助成金(障害者トライアルコースと併用する場合において「特定求職者雇用開発助成金」の制度を一部変更します”,

厚生労働省.”雇用関係助成金共通の要件”,

厚生労働省.”第5回改定 厚生労働省編職業分類 職業分類表 改定の経緯とその内容”,

 


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