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介護休暇とは【条件・申請方法まとめ】給与や同居について、要介護認定は必要か詳しく解説

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介護休暇とは【条件・申請方法まとめ】給与や同居について、要介護認定は必要か詳しく解説

介護休暇とは【条件・申請方法まとめ】給与や同居について、要介護認定は必要か詳しく解説

2024/04/09

高齢化と少子化が進む昨今、介護が必要な人が増える一方、介護を担う人材は減少しています。介護と仕事の両立が難しく、離職せざるを得ないケースも見られます。

 

家族に介護が必要になった時、仕事と介護を両立するために利用できる制度として「介護休暇」があります。「介護休暇」とは、労働者が要介護状態の家族の介護を目的に取得できる休暇制度です。

 

この記事では「介護休暇」の概要や取得できる条件、申請プロセスや使用する際の注意点について詳しく解説していきます。「介護休暇」の取得を考えている人や、仕事と介護の両立を希望する人はぜひ参考にして下さい。

 

介護休暇とは

 

介護休暇とは、要介護状態の家族を介護するために労働者が休みを取得できる制度です。労働者の権利として育児・介護休業法で定められており、労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できます。

 

介護保険制度の介護サービスや育児・介護休業法の両立支援制度を組み合わせ、仕事と介護の両立に活用できます。対象となる要介護状態とは負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を言います。

 

詳細な条件は厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」を参照下さい。

 

介護休暇と介護休業の違い

 

介護休暇と同様、要介護状態の家族を介護するために労働者が休みを取得できる制度として「介護休業」があります。両制度には「取得できる休暇日数」「休暇中の給付金の有無」「申請方法」や「対象者」といった点に違いがあり、利用する際は自身の条件に合ったものを選択する必要があります。

 

介護休業とは

 

ここからは介護休業制度について「取得できる休暇日数」「休暇中の給付金の有無」「申請方法」及び「対象者」について順に解説します。

 

取得できる休暇日数

 

対象家族1人につき3回まで、通算93日まで取得できます。取得例1のように1回の取得で93日を取得することもでき、また例2のように分割して合計が93日となるような日数での取得も可能です。

 

取得例1.

介護休業 取得①

93日

 

取得例2.

介護休業 取得①

取得②

取得③

33日

30日

30日

 

 

介護休業中の給付金

 

雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます。一定の条件については、厚生労働省「介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて」をご参照下さい。

 

対象労働者

・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)

・休暇取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日まで継続して雇用される予定の労働者

 

 

労使協定を締結している場合対象外となる労働者

 

・入社1年未満の労働者

・申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者

・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

 

 

介護休暇の概要

 

ここからは介護休暇制度について「被介護者の範囲」「取得できる条件」「申請できないケース」及び「取得できる休暇日数」を順に解説します。

 

被介護者の範囲

 

対象となる被介護者の範囲は次の表の通りです。

祖父母(父方)

配偶者

祖父母(母方)

配偶者の父母

父母

本人の子供

本人の兄弟姉妹

本人の孫

 

 

取得できる条件

 

要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある被介護者を介護する労働者であること

 

※要介護状態の詳細については厚生労働省「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」を参照下さい

 

 

申請できないケース

上記「取得できる条件」に合致する場合でも、下記のケースでは申請ができない点に注意が必要です。

 

・日雇い労働者である場合

・労使協定を締結している場合

 入社6か月未満の労働者

 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

 

 

休暇日数

 

「介護休暇」制度で取得できる休暇日数は下記です。

取得可能な休暇日数

  • 対象家族が1名…5日まで/1年
  • 対象家族が2名…10日まで/1年

 

 

また、取得可能な休暇単位は下記となっています。

取得可能な休暇単位

  • 1日または時間単位
 

※ただし時間単位での取得を除外する労使協定を締結している場合、対象の労働者は1日単位でのみ取得可能です

 

 

介護休暇がおすすめな人とは?

 

以前は1日または半日単位の取得のみだった介護休暇制度ですが、現在は時間単位での取得が可能になっています。通院・入金付き添いやケアマネージャーなどとの打ち合わせなど、短時間の用事がある人は大変使い勝手の良いおすすめの休暇制度と言えるでしょう。

 

 

介護休暇の申請プロセス

 

介護休暇の申請は大変シンプルなプロセスとなっています。

 

申請に必要な書類

 

社内で規定の様式がある場合は、作成し事業者に提出します。ただし書類での申請は必須ではなく口頭申請でも問題ありません

 

 

手続きの流れ

 

休暇取得を希望する当日までに、書類または口頭で事業主に申し出をします

 

 

 

介護休暇申請時の注意点

 

ここまで介護休暇の概要や申請方法についてお伝えしてきました。実際に申請を行う際、特に注意したい点を下記にまとめました。

 

介護人数が3人以上の場合も休暇日数は10日

介護対象家族が1名では5日/1年、2名の場合は10日/年の取得が認められていますが、3人以上になった場合でも、10日を超える休暇は取得できません

介護休業給付金は対象外

介護休業では場合によっては介護休業給付金が支給されますが、介護休暇は対象外となっています

法令では中抜けが定められていない

介護休暇は時間単位で取得できますが、就業時間の途中に抜けて再び戻ってくる中抜けは法令上は認められていません

 

 

 

助成金の相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ

 

家族に介護が必要になった時、仕事と介護の両立を希望する労働者にとって「介護休暇」を初めとする両立支援制度は大変心強いものです。積極的に利用したいですね。

 

とは言え、制度を初めて利用する際は勝手が分からず戸惑ってしまうものです。また、労働者を雇用する事業者側も知識と経験を持っていない場合、スムーズな制度運用が難しくなります。

 

サプナ社会保険労務士法人では労働者・事業者側いずれの立場からも多くのご相談をいただいております。円滑に制度利用が進められるよう、ご案内しております。事業主が申請できる「両立支援等助成金・介護離職防止支援コース」「介護休業取得応援奨励金」といった制度についても併せてご紹介しております。

 

仕事と介護の両立を目指す労働者の方、社内で制度利用を進めたい事業者の方はぜひ一度、サプナ社会保険労務士法人にご相談ください。

 

介護休暇についてよくある質問

 

ここからは、介護休暇についてよくいただくご質問と回答内容をご紹介します。

 

介護休暇中の給与は支払われる?

 

介護休暇中の給与の支払いについては、法令では定められていません。介護休暇中の給与の取り扱いについては、勤務先によります。

 

そのため、介護休暇取得前に社内担当部署や就業規定などで確認するようにしましょう。

 

 

同居していなくても介護休暇は取れる?

 

同居していない家族の介護が目的でも介護休暇の取得は可能です。以前は対象家族のうち祖父母・兄弟姉妹・孫については同居かつ扶養していることが条件となっていましたが、現在はその条件も撤廃されています。

 

 

要介護認定は必要?

 

介護認定を受けていなくても、介護休業の対象となります。休暇取得対象となる、家族の要介護状態とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態です。

 

常時介護を必要とする状態については、判断基準が設けられており、基準に合致するかどう   どうかで判断します。

 

 

介護休暇取得日は有給にすべき?

 

介護休暇を取得した場合、取得日が給与支払い対象にするかどうかは各事業者によります。

現状、法令で介護休暇取得日の賃金についての取り決めはありません。

 

 

介護中の社員に離職してほしくない場合は?

 

高齢化や少子化が進み、労働力の確保の困難さが増す現代、既存の社員のスキルアップや長期勤務を望む事業者は多いです。一方で、仕事と介護の両立問題に直面する社員も増加しています。

 

介護中の社員とはしっかりとコミュニケーションを取り、両立支援制度の周知や利用しやす   い環境を整えるようにしましょう。

 

また、誰もが安心して介護休暇や休業などの制度を利用できるよう、取得する社員を引き継ぐ周囲の社員へのサポートも怠らないようにしましょう。   

 

 

まとめ

 

厚生労働省の令和3年度介護保険事業状況報告(年報)によると、令和3年時点で介護認定を受けている人の数はおよそ6,818千人にも及ぶことが明らかになっています。平成12年の人数と比較し約2.69倍に増加しており、今後もさらに増えることが見込まれます。

 

高齢化と少子化の加速により、労働・介護人口の減少が予測される中で、日本社会の維持・成長において、仕事と介護の両立が大きなファクターとなることは間違いありません。

 

令和3年1月に介護休暇制度が変更になり、時間単位での休暇取得が可能となり、より利用しやすく改善されてきています。今後も両立支援の必要性が増すとともに、さらなる改善が見込まれます。

 

一方で制度を受けたい労働者や事業者の「利用したいが内容が複雑で不安がある」という声も聞かれます。制度の導入を希望する方は、ぜひこの記事の内容をご参考にしてみてください。不明な点は専門家に相談するなどして最新の情報を把握し、制度を最大限利用しましょう。

 

 

参考

厚生労働省.”常時介護を必要とする状態に関する判断基準”.介護休暇制度,

 

厚生労働省.”介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて”,

 

厚生労働省.”報告書の概要”.令和3年度 介護保険事業状況報告(年報),

 

 


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