最低賃金 全国平均で時給1,004円に 平均引上げ額は過去最大の43円
2023/08/30
今年10月から適用される2023年度の最低賃金が各都道府県で出そろい、厚生労働省から発表されました。
厚生労働省の審議会は先月最低賃金を地域ごとに39円から41円、全国平均で41円引き上げ、初めて時給が1、000円を超えて1,002円とする目安を示していました。
引上げ額は過去最大の43円に
この目安を受けて、各都道府県に置かれた地方最低賃金審議会にて審議を重ね、その年度の最低賃金が都道府県労働局長により決定されました。目安を超えた引上げをした都道府県は23、目安を下回った都道府県はなく、平均引上げ額は43円。これは調査を始めた昭和53年以降過去最大です。また全国の平均時給は1,004円となりました。
この背景には物価上昇が続く中、賃上げの流れを維持、拡大し、非正規雇用の労働者や中小企業に波及させることや、賃金の低い労働者の労働条件の改善を図ることで経済の健全な発展につなげようという国の方針があります。しかし企業にとってはまず人件費の増大につながり、結果として利益の減少となります。これは飲食店や小売店などのサービス業で人件費の割合が高い中小企業に多く見られます。
助成金を上手に活用して社員のモチベーションもアップ
・業務改善助成金
こちらは事業場内で最も低い賃金の引上げをして、生産性を向上させようとする中小企業、中小企業主を支援する助成金です。大規模企業は対象外です。
事業場内の最低賃金を一定額以上引上げ、設備投資(たとえばPOSレジや勤怠管理システム、特殊車両等)、また専門家のコンサルティングによる業務フローの改善などを行った場合に、その費用の一部が助成されます。
業務改善を図ることで労働時間の短縮が図れます。それにより人件費の総額も一定額は抑えられます。
この他にも生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む
中小企業向けに「働き方改革推進支援助成金」。有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成される「キャリアアップ助成金」などがあります。
助成金にはもちろん審査もあり、場合によっては社内の就業規則などを見直す必要も出てくるかもしれません。
でもそれは、就業規則や規定が法改正には対応しているか、今の社会情勢に沿っているかなどを確認するいい機会かもしれません。
厚生労働省のページでは詳しいリーフレットなども掲載されています。