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産業雇用安定助成金とは?各コースの支給要件・注意点・申請の流れをわかりやすく解説

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産業雇用安定助成金とは?各コースの支給要件・注意点・申請の流れをわかりやすく解説

産業雇用安定助成金とは?各コースの支給要件・注意点・申請の流れをわかりやすく解説

2024/02/28

「産業雇用安定助成金」は2021年に創設された比較的新しい助成金制度です。在籍出向を通した既存労働者の能力開発や、企業全体の事業再構築・生産性向上を目指す取組のための新たな雇用が対象となります。

 

事業再構築補助金や、ものづくり補助金の交付を受けている事業者の方、これから在籍出向を考えている企業様にぜひ一度ご確認をいただきたい助成金です。

この記事では「産業雇用安定助成金」の概要や対象者、助成金額について詳しく解説していきます。

 

 

産業雇用安定助成金とは

 

「産業雇用安定助成金」は在籍型出向による労働者のスキルアップ、または生産性向上に資する取組等や新たな事業への進出等の事業再構築を行うため、必要な新たな人材の雇い入れを行う事業主に支給される助成金制度です。

 

産業雇用安定助成金と雇用調整助成金の違い

 

「産業雇用安定助成金」とよく似た名称で「雇用調整助成金」がありますが、両者は助成目的や対象が異なります。

 

雇用調整助成金とは?

 

下記の通り、雇用調整助成金は産業雇用安定助成金と比較し、下記の2点が大きく異なります。

助成金の目的

経済上の理由で事業縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業や出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当や賃金などの一部が助成される

助成対象者

出向を行う際、出向元事業主の負担額のみが助成対象となり出向先事業主は助成対象にならない

 

産業雇用安定助成金の種類

 

産業雇用安定助成金には下記の3つのコースがあります。それぞれの概要や助成対象についてわかりやすく解説していきます。

 

スキルアップ支援コース

 

労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、復帰した際の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させた出向元事業主に対し、出向中の賃金の一部が助成されるコースです。

 

助成対象

出向元事業主において、

  • ・出向元事業者が雇用保険適用事業所である
  • ・労働者のスキルアップを目的として出向を実施すること
  • ・出向復帰後の労働者に対して支払う出向復帰後6か月間の各月の賃金を、出向前の賃金と比較して、いずれも5%以上上昇させる
  • ・職業能力開発推進者を選任していること

といった条件を満たしていることが助成条件となっています。

 

出向元事業主の助成条件や助成対象となる労働者については、他にもいくつかの条件が定められており、助成を受けるためにはこれらを満たすことが必要です。すべての条件については厚生労働省「産業雇用安定助成金ガイドブック スキルアップ支援コース」を参照ください。

 

【スキルアップ支援コースの助成額】

 

中小企業

中小企業以外

助成率

2/3

1/2

助成金額

以下のいずれか低い額×助成率(期間は最長1年)

・出向中の労働者の賃金のうち出向元の負担額

・出向労働者の出向前の賃金の1/2

助成金額の上限

・雇用保険の基本手当日額の最高額/1人1日当たり

・1事業所1年度1,000万円まで

・同一の労働者は1回まで

 

事業再構築支援コース

 

景気の変動、産業構造の変化などの経済的な理由で、一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、事業再構築を行うために、当該事業再構築に必要な新たな人材の受け入れを助成するコースです。

 

助成対象

事業主・労働者が下記の条件を満たす場合に助成の対象となります。

 

【事業主】

  • 令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の第10回以降の「物価高騰対策・回復再生応援枠」または「最低賃金枠」の交付決定を受けている
  • 上記事業再構築補助金の事業計画の「実施体制」中に人材確保に関する事項を記載している
  • 雇用する労働者は「事業再構築補助金」の交付決定を受けた事業に関する業務に就き、下記のいずれかに該当する
  1. 専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する
  2. 部下を指揮および監督する業務に従事し、係長相当職以上

 

【労働者】

「事業再構築補助金」の交付決定を受けた新たな事業への進出等の事業再構築に係る業務に就く者であって、次に該当する人

  • 次の1、2のいずれかに該当する者
  1. 専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する
  2. 部下を指揮や監督する業務に従事し係長相当職以上
  • 年間に350万円以上の賃金が支払われている

 

この他にもいくつかの条件が設定されています。すべての条件については厚生労働省「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)のご案内」をご参照ください。

 

【事業再構築支援コースの助成額】

 

中小企業

中小企業以外

助成金額

280万円/人

200万円/人

 

※期間は1年間・1事業主5人まで

 

産業連携人材確保等支援コース

 

景気の変動や産業構造の変化などの経済的な理由で、一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に効果を発揮する取組を行う場合にこの取組に必要な人材を雇用する場合に助成されるコースです。

 

助成対象

事業主・労働者が下記の条件を満たす場合に助成の対象となります。

 

【事業主】

  • 令和5年11月29日以降に、中小企業庁の実施する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」の採択、交付決定を受けている

※「製品・サービス高付加価値化枠」のみが対象

※事業計画に記載する「実施体制」中に人材確保に関する事項を記載している

※生産量(額)、販売量(額)または売上高等について、ものづくり補助金申請日の属する月の前々々月から前月の3か月間の平均値が、前年同期に比べ10%以上減少している

  • 対象労働者の雇入れについて、下記の全ての条件を満たしている

※雇用保険の被保険者として雇い入れる

※期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れる

※「ものづくり補助金」の補助事業実施期間の初日から末日までに雇い入れる

  • 労働者の雇入れ日前6か月から助成金の支給申請までの期間に、雇用する労働者を解雇していない
  • 雇入れに係る事業所で受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、ものづくり補助金の事業計画書申請日の属する月の前々々月から前月の3か月間の月平均値が前年同期に比べ5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)減少していない

 

【労働者】

「ものづくり補助金」の交付決定を受けた事業に関する業務に就く者であって、次の1と2に該当する

1. 次のいずれかに該当する

専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する

部下を指揮および監督する業務に従事する者で、係長相当職以上

2. 1年間に350万円以上の賃金が支払われる

この他にもいくつかの条件があります。すべての条件については、厚生労働省「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)のご案内」をご参照ください。

 

【産業連携人材確保等支援コースの助成額】

 

中小企業

中小企業以外

助成金額

250万円/人

180万円/人

 

※期間は1年間・1事業主5人まで

 

産業雇用安定助成金のメリット

 

産業雇用安定助成金を利用し、人的投資を行うことで下記のメリットが見込めます。

メリット1

従業員の在籍出向を通じたスキルアップにより、企業全体の生産性が向上する

メリット2

出向先で得られる知識や経験を活かし、社内にはなかった新たな価値創造が期待できる

メリット3

事業再構築や生産性向上に資する取組に必要な人材の獲得・確保を通じ、新分野展開や事業の高効率化をめざすことができる

メリット4

企業成長につながる

 

産業雇用安定助成金のデメリット

 

一方、申請手続きがやや複雑で下記がデメリットになると考えられます。

デメリット1

申請するために必要とされる書類が多く、準備に手間がかかる

デメリット2

年度によって申請要件が変更されることがある。制度の見直しでコースが新設されたり廃止されたりといったことがある

デメリット3

コースごとに書類の提出期限が設けられており、決められた期日どおりに手続きを行う必要がある

 

産業雇用安定助成金の申請プロセス

 

助成金の申請手続きの流れ

 

スキルアップ支援コースと事業再構築支援コース・産業連携人材確保等支援コースでは手続きの流れが異なります。順に解説します。

 

スキルアップ支援コースの申請手続き

1. 出向計画届の作成・提出

出向元事業主が出向計画届を作成し、管轄の都道府県労働局に提出する

2. 出向

計画書の内容に基づき出向実施

3. 出向元へ復帰

対象労働者が出向復帰

支払う出向復帰後6か月間の各月の賃金を、出向前の賃金と比較して5%以上上昇させる

4. 助成金支給申請

出向元事業主が管轄の都道府県労働局に助成金支給申請を行う

5. 審査

支給申請内容について、労働局で審査が行われる

6. 支給決定・振込

助成金の支給が決定し、振込される

 

事業再構築支援コース・産業連携人材確保等支援コースの申請手続き

1. 補助金交付決定

事業再構築補助金またはものづくり補助金の交付決定

2. 労働者雇用

上記補助事業期間内に対象労働者を雇用

3. 助成金支給申請

助成金支給申請書を作成し、都道府県労働局またはハローワークに提出する

4. 審査

支給申請内容について、都道府県労働局、ハローワークで審査が行われる

5. 支給決定・振込

助成金の支給が決定し、振込される

 

産業雇用安定助成金申請時の注意点

 

産業雇用安定助成金申請時の注意点は下記の3点です。

  1. 出向労働者本人が出向を行うことへの同意が必要
  2. 親会社と子会社の間の出向など、資本的、経済的、組織的関連性のある事業者間の出向は対象外
  3. ものづくり補助金や事業再構築補助金交付決定済の企業すべてが対象ではない

※対象事業者は上記の各コース記載内容をご参照ください

 

 

産業雇用安定助成金の申請ポイント

 

産業雇用安定助成金を申請する際は、以下の確認が重要なポイントとなります。

  • ・事業主や労働者が受給対象条件に合致しているか
  • ・スキルアップ支援コースでは出向先の条件、ほかの2コースについては対象となる交付決定済補助金内容に合致しているか

 

助成金の相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ

 

助成金は上手く活用することで事業活動に大きなメリットを生む反面、申請方法が煩雑なため申請をあきらめてしまう事業者の方も多いようです。申請方法が分からない、自社が助成金の対象か確認したい、そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

 

まとめ

 

産業雇用安定助成金の概要や注意点について解説してきました。労働者の確保や人材育成は企業活動を行う上での基盤となります。この記事を参考に、労働者のスキルアップや人材確保を効果的に行い、企業の発展につなげていきましょう。

 

 

 


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