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女性管理職とは【社労士監修】必要性や比率、メリット・デメリット、必要なスキルを解説

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女性管理職とは【社労士監修】必要性や比率、メリット・デメリット、必要なスキルを解説

女性管理職とは【社労士監修】必要性や比率、メリット・デメリット、必要なスキルを解説

2024/11/29

女性管理職とは、会社で権限を持ち、業務を指揮する役職に就く女性を指します。

 

近年、女性の活躍や労働人口確保、多様性推進の観点から注目されています。しかし、日本では女性管理職の割合がまだ低く、課題も多いのが現状です。

 

本記事では、女性管理職の必要性や現状、メリット・デメリット、必要なスキルなどをわかりやすく解説します。

 

 

女性管理職とは?

管理職とは、一般的に会社から権限を移譲された従業員を意味します。会社法で定められた取締役などとは異なり、法律で定義された用語ではありません。

 

通常は「課長」「部長」「マネージャー」などの役職であることが多いですが、その内容は組織ごとに様々で、人事・予算・営業などの業務執行に関わる権限を移譲されています。

 

女性管理職の必要性

女性管理職の必要性は、社会全体や企業にとって重要な役割を担っています。ここでは、求められる理由を詳しく説明します。

 

女性の活躍機会と男女平等の推進

女性が管理職に就くことは、男女が平等に社会参画できる機会を作るうえで重要です。これにより、女性の活躍機会を増やし、社会全体のバランスを整えることが期待されています。

 

労働人口の確保

少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が深刻な課題です。子育て中の女性を含め、多くの女性が管理職として労働市場で活躍することで、労働力の確保やリーダーの数を増やすことが可能になります。

 

多様性の確保

女性管理職を増やすことは、組織における多様性を推進するうえでも効果的です。多様な視点を取り入れることで、より柔軟で革新的な組織運営が可能になります。

 

企業における採用と環境整備

企業にとっては、新卒採用時に優秀な女性人材を確保することが競争力を高める鍵となります。そのためには、女性が管理職として活躍できる職場環境や働き方の整備が求められます。

 

女性管理職が存在することで、働きやすい企業であることを示すアピールポイントにもなります。女性管理職の登用は、社会全体の活性化や企業の成長に直結する重要な取り組みといえるでしょう。

 

 

女性管理職の比率について

独立行政法人 労働政策研究・研修機構によれば、厚生労働省が発表した2022年度の「雇用均等基本調査」結果によると、管理職に占める女性の割合は12.7%で、2021年度調査から0.4ポイント増とわずかに上昇しました。

 

ただし、女性の部長相当職以上がいる企業の割合は12.0%であり、課長相当職以上がいる企業の割合は22.3%を下回っています。課長相当職までは昇進しても、部長相当職まで昇進する女性管理職がいる企業は多くないのが実情です。

 

なお、同調査は2022年10月1日時点にて実施されています。企業調査では常用労働者10人の企業6,000社を対象とし、3,096社から有効回答を得ています。

 

出典元 https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/10/kokunai_02.html

 

女性管理職就任へのメリット

管理職に就任することのメリットは、「報酬が上がる」「成長の機会が増大する」「社内外のネットワークが強まる」ことなどがあげられます。これらは女性に限らず言えることではありますが、女性が管理職に就任した場合、一般的には男性と比較して女性管理職の割合が低いための希少性が追加されます。

 

女性管理職の数が少ないからこそ、意見を求められる機会が増えたり、「女性社員を代表している」と捉えられることにより個人の意見に対する組織内での影響度が高まる可能性もあります。

 

女性管理職は会社の広報活動に参加することも多くなる可能性があるため、社外で様々なコミュニケーションが発生する機会も多いです。人脈形成をすることができれば、より仕事に活用できたり、転職する際にアピールしやすいなどのメリットもあります。

 

女性管理職就任へのデメリット

メリットで記載したように、女性管理職は比率や数が男性と比較して少数である可能性があります。そのため、良くも悪くも取り上げられる機会が増え、人間関係でコミュニケーション量が増大します。

 

周囲からの期待や接する人が増えれば、その分ストレスが増加する傾向があります。また、管理職となると業務の責任と量が増大するため、プライベートや家庭との両立が難しくなることもあります。特に子持ち家庭の場合には時間の制約があるでしょう。

 

また、同格の存在の絶対数が少ないため、一人で孤独に悩んでしまうことも想定できます。女性管理職に対するサポートやケアが少ない場合、せっかく就任したのにパフォーマンスが落ちたり、短期間で離職したり、元のポジションに戻ることを希望したりすることもあるのが実情です。

 

 

【企業側】女性管理職のメリット

女性管理職が増えると、女性社員の相談先が増えて女性の離職率が低下する可能性があります。また、社内の就業環境としては、女性社員のロールモデル化によって社員のモチベーションが向上したりするメリットがあります。

 

女性が長く働ける環境が構築されることは、多様な働き方が認められていることと同意義であることも多くあります。これらは男性社員にとっても、育児や介護などのライフイベントと就業を両立させることができる環境である可能性が高いと言われています。

そのような環境を整えることで、採用に際してのアピール力を高め、離職率を低下させていくことが可能になります。

 

人材不足は組織にとって永遠の課題であることが多いでしょう。女性管理職を増やすことで組織力と採用競争力を高められることが企業側のメリットと言えるでしょう。

 

【企業側】女性管理職のデメリット

女性管理職が増えると、企業側は就業環境を整備したり、多様な意見に対応することが求められるでしょう。何らかの組織的な変化と改善をしなければ、女性管理職を登用しても早期離職や抜擢失敗などの結果に終わる可能性があります。

 

組織的なコストが上昇することをあらかじめ想定したうえで、女性管理職登用のメリットを活かした組織的なリターンを増大する工夫をすることが企業側には求められます。

 

投資とリターンを見極めながら、中長期的な視野に立ち、女性管理職の登用と環境整備を同時並行で進めていかなければなりません。

 

女性管理職に必要となるスキルは?

女性管理職に求められるスキルは、まずは基本的なマネジメント力。「女性管理職」だからといって男性管理職と違う役割を求められるということは、基本的にはありません。

 

管理職であれば、性別に関わらず求められる能力、職務は同じです。例えばビジネスを進めていく上でのビジョンを示すこと、部下にやる気を起こさせパフォーマンスを上げること、職場を円滑に回していくこと、トラブルにも冷静に対応していくことなどです。

 

ただし、女性管理職の人数は多くなく、プライベートに時間を割かれることもあるでしょう。こうしたことに対応するためには、相談できる人を事前に作っておくコミュニケーション力や優先順位をつける力、段取り力などを持っている女性管理職は活躍が長続きする可能性が高いです。

 

女性管理職を増やすおすすめの支援プログラム

女性管理職を増やすためには、まず候補者を育成することが重要です。そのために、以下のような施策が効果的です。

 

リーダーシップ研修の導入

女性管理職候補を育成するには、リーダーシップ研修が効果的です。特に、社外研修や異業種交流を含むプログラムを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

 

・多様性の視点を学べる

社内だけの研修では、多様性や異なる業界の視点を取り入れるのが難しい場合があります。外部講師や他企業の女性リーダーと接することで、より幅広い視野を得ることができます。

 

・女性のロールモデルを確保

社内に女性管理職が少ない場合でも、外部との接点を持つことで女性リーダーのロールモデルを見つけることができます。

 

導入コストはかかりますが、社外講師や他社の女性と触れ合う機会を持つことで、女性が自分なりのリーダー像を確立していく支援をすることができます。

 

働きやすい環境の整備

女性管理職が効率的かつ長期的に活躍するためには、働きやすい環境を整備することが重要です。以下の施策が考えられます。

 

・リモートワークの整備

ワークライフバランスを保つために、柔軟に働けるリモートワーク制度を導入します。これにより、育児や介護など家庭の事情を抱える女性でも働きやすくなります。

 

・クラウド型システムの活用

効率的な業務遂行のために、クラウド型のスケジュール管理やプロジェクト管理ツールを導入します。これにより、時間管理の精度が上がり、よりスマートな働き方が可能となります。

 

 

女性管理職選任の注意点

安易に女性管理職の数だけ増やしても組織運営に支障をきたす可能性もあります。本質的には、性別に関わらずリーダーシップ開発の教育と機会を設けることで女性管理職を増やしていくことが、組織の人材の有効活用から大切です。

 

また、生産性を高める働き方は女性管理職の選任とは関係なく重要です。生産性を高めれば、労働時間は短縮される可能性が高く、結果として女性管理職を選任するハードルは下がるでしょう。

 

女性管理職の選任は、会社のイメージアップや数値目標の達成が目的ではなく、社会の人材を有効に活用し、生産性を高める働き方を促進することが重要であるとの認識を組織全体で持つことが重要です。組織全体でそのようなコンセンサスがあれば、女性管理職の選任がスムーズに進むでしょう!

 

女性管理職の企業事例

女性が活躍している企業を国が認定する仕組みとして、「えるぼし認定」という制度があります。女性活躍推進法に基づいた取り組み状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。そして、より厳しい基準をクリアした時に認定されるのが「プラチナえるぼし認定」です。

 

2022年6月時点で26社となっており、厳しい基準が設けられています。その26社の内の1つが、人材業界のパソナグループです。

 

主な取り組み事例としては、勤務時間や働く地域を支援する仕組みである「ライフサポートコース」、事業所内保育園の「パソナファミリー保育園」。女性トップリーダーの育成を目指す「ワンダーウーマン研修」、女性幹部候補を育成するための合宿プログラム「Women’s Advanced Program(WAP)」、すべての社員がソーシャル・ワーク・ライフ・バランスを実践できるように専門資格を持つ人材が相談をうける「ワーク ライフ ファシリテーター」などの取り組みがあります。

 

出典元:https://www.pasona.co.jp/clients/service/column/women/platinumeruboshi/

 

 

女性管理職についてよくある質問

 

女性管理職が少ない理由は?

まず1つ目の理由は、経営者に男女の役割意識が根強く残っていることです。管理職に登用するためには、多くの企業の場合、経営者の承認が必要です。帝国データバンクの調査によれば2023年における社長の平均年齢は60.5歳。この年代の経営者には固定概念をお持ちの方もいらっしゃいます。

 

2つ目の理由は、管理職における労働時間が長くなることです。女性に限ったことではないですが、ワークライフバランスが確保できていないのに責任が増える管理職にはなりたいと思う人が少ないのが現状です。特に女性に関しては労働時間の関係から、管理職になりたくない人も一定数存在します。

 

3つ目の理由は、会社の支援環境が整っていないことです。家庭と仕事を両立できる環境が整えられていなかったり、管理職になる前段階の教育制度・研修が未整備のこともあります。また、管理職に昇進した後のメンターやフォローの制度も必要になります。

そして最後の理由は、ロールモデルが身近にいないことが多く、イメージできないということです。

 

女性管理職はなぜ必要?

女性管理職が求められる理由は、女性の活躍機会を増やし男女平等に社会参画できる社会を作らないと国際競争力が低下するため、そして労働人口を確保するため、という1点に集約されるでしょう。日本は政治、軍事、経済などの様々な観点から一定の国際的な地位を必要としているため、男女共同参画社会を実現するための指標を設けています。

 

また少子高齢化の人口の観点から、労働力を確保し続けることは継続的な課題であり、女性の就業率を一定以上に保つ必要もあります。それらのことを実現するために、女性の管理職を増やしていく政策を政府は推進しています。

 

海外ではどんな女性管理職の取り組みが行われてる?

女性管理職が活躍している国としては、スウェーデンがあげられます。2021年の管理職における女性比率は43.0%と同時期ではフィリピンの53.0%についで世界で2番目に高い国です。

 

スウェーデンは福祉サービスを国として充実させるための働き手として女性の活用を積極的に進めてきたことがまず背景としてあげられます。

 

高い福祉サービスの財源として、高い税率があり、そのため可処分所得をあげるために家庭内にいた女性が労働市場に出る動機となっていきました。そして、スウェーデンでは量と質の両面での「機会均等」を推進するために、法改正や労使合意を積み重ねています。

 

スウェーデンにおける機会均等政策の最終目標は、女性も男性も、 社会と自らの生活において同等な力を持つこととされています。

 

国の方針としての様々な機会均等政策が、教育やチャンスの均等に繋がり、結果として女性管理職の増加につながっているといます。女性管理職を一過性のものに終わらせないためには、社会全体としてのたゆまない改善が必要なのでしょう。

 

出典元:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2023/03/d2023_3G-3.pdf

出典元:男女共同参画局 研究

 

 

まとめ

女性管理職の登用増加を促進することは、機会均等の社会を実現し、国際競争力を高めるとともに労働力を確保するという国の方針です。行政の制度整備が進められていますが、企業単位でも人事制度の整備や社内啓蒙の促進などを進めることで女性管理職を増加させ、企業としての競争力を強化していくことが大切です。

 


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