働きやすい職場とは?具体例と取り組み方、特徴8選、メリットとデメリットを紹介!
2024/12/23
厚生労働省が令和6年に発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、令和5年の全国の離職率は15.4%。同調査及び「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、会社を離職した理由の上位を占めるのが職場の人間関係や労働時間・労働条件に関わるものであることが明らかになっています。
求職者が入社する企業を選ぶ際、離職率は重要な指標の一つとなります。離職率が高い企業は、働きにくい環境というイメージにつながります。では働きやすい職場とは具体的にどのような環境をいうのでしょうか?
この記事では、働きやすい職場の特徴や作り方、働きやすい職場を作るメリットやデメリットについて詳しく解説します。
働きやすい職場とは?
働きやすい職場とは、社員が心身ともに健康な状態で能力を最大限発揮することのできる場所を指します。働きやすい職場を目指すには、職場環境の整備や効率的な業務フロー、多様性を受け入れる姿勢が重要です。
社員が安心して働ける休暇制度や公正な評価体制が整っていることで、モチベーションや満足度が向上し、企業全体の成果にも繋がるでしょう!
働きやすい職場の特徴6選
働きやすい職場とはどういった職場なのか、よく見られる6つの特徴を紹介します。
柔軟な勤務制度
働きやすい職場の重要な要素の一つは、多様な勤務制度が整っていることです。時間や場所など従来の枠組みにとらわれず、社員が各人の生活事情やライフスタイルに応じた働き方ができる制度が整っている職場は、勤務する上で社員の大きなサポートとなります。
具体的には、フレックスタイム制やリモートワーク、時短勤務、週休3日制や休日の調整などがあげられます。社員はライフワークバランスを保ちながら、高いモチベーションで働き続けることができます。
人間関係が円滑
良好な人間関係が根付いているのも働きやすい職場の特徴です。社員同士が互いを尊重し合い、オープンなコミュニケーションが促進されている会社では、一人ひとりが考えを表現しやすく、ストレスを感じず業務に取り組むことができます。
また、良好な人間関係が構築されている職場では、チームワークや協力の体制も整いやすく、個人では困難な課題も支え合い乗り越えることができます。人間関係が良好な職場は、すべての社員が安心して働ける環境であり、効率的で生産性の高い業務にも繋がります。
明確な評価制度
明確な評価制度が設定されていることは、働きやすさを決める上で非常に重要な役割を果たします。社員の日々の努力や成果を会社が公正に評価することは、会社への信頼感や仕事への意欲を維持する土台となります。
会社の経営方針が明確であり、どのような業績や行動が評価されるのか、はっきりとした基準が設けられていることがポイントです。また、評価についてしっかりとしたフィードバックが行われることも大切です。
明確な評価制度は社員に対して公正さと安心感を提供し、職場の活力を高める要素となります。
適切な報酬制度
働きやすい職場では、適切な報酬が支払われる制度が整備されています。社員の性別や年齢、国籍などに関係なく、業務内容や役職責任、成果に応じた公正な評価のもとで報酬が支払われています。
適切な報酬が支払われている職場では、社員のエンゲージメントや業務意欲が向上し生産性も上がります。逆に、不公平に報酬が支払われていたり、報酬が労働の対価に見合わないと感じられる職場では、社員のモチベーションが低下し、離職率の増加に繋がる可能性があります。
適切な報酬制度は社員の会社への信頼感を高め、やる気を引き出し、職場全体の満足度を高める効果があります。
教育制度の整備
教育制度が整備されている職場は、社員が成長できる環境が整っており、仕事へのモチベーション向上につながります。教育制度には、新入社員研修や業務スキルアップのための定期的な社内研修会の実施、セミナーや講習会の参加、e-ラーニングなどがあります。
各社員がキャリアの方向性について相談できる機会の設定も教育制度の一つと言えます。教育制度が整備されていることは、社員のやる気やエンゲージメントの向上につながり、結果として企業の成長にもつながります。
多様性と包括性の尊重
近年、「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉が注目されています。労働人口の減少やコロナ禍を契機に生まれた新しい価値観、市場の変化などに対応するため、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括性)の推進がビジネスにおいても重要視されてきています。
障がいや性別や年齢、家庭環境や国籍などさまざまな背景を持つすべての社員が尊重される職場は、働きやすく能力を発揮しやすいです。異なる背景や考え方の社員がチームとして協力し合うことができ、創造性や問題解決能力の向上が期待できます。
革新的なアイディアが生まれる可能性が増え、企業全体のパフォーマンス向上にもつながります。
働きやすい職場を作るメリット
働きやすい職場を作ることは、企業に大きなメリットをもたらします。以下に代表的なものを解説します。
従業員の満足度向上
働きやすい職場では、社員のストレスが軽減し業務に集中することができ、仕事の質が向上します。また、リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な制度によりワークライフバランスを取ることができ、社員が各々のプライベートの時間を大切にできるようになり、職場への満足度が向上します。
離職率の低下
社員の職場への満足度向上は離職率の低下にもつながります。離職が減り人材が定着することにより、採用活動のコスト削減の効果も期待できます。働きやすい職場を通じ、離職が減ることは結果として、企業全体の成長を支える重要な要素となります。
優秀な人材の確保
労働人口の減少が加速する現代において、求職者にとって働きやすさは企業選びの大きな基準となっています。優秀な人材は給与や待遇はもちろん、自分の力を活かせそうな職場かといった業務環境にも大きな関心を持っています。
柔軟な働き方や、多様性が認められる環境か、そして人間関係は良好であるかといった働きやすさのポイントが整備されている企業には、多くの求職者や優秀な人材が集まります。
ウェルビーイングの向上
働きやすい職場の整備は、社員のワークライフバランスを守り、生活の質を向上させます。また、人間関係が良好でコミュニケーションが円滑な職場は、協力的でポジティブな雰囲気であり、ストレスの軽減ややる気の向上につながります。
働きやすい職場は、社員のウェルビーイングを向上させるための必須要素と言えます。
企業イメージの向上
社員を大切にし働きやすい職場を整備する会社は、求職者や取引先、消費者からの評価が高まります。フレックスタイム制やリモートワークの導入など、柔軟で包括的な働き方を推進する会社は時代と社会のニーズに応えていると認識され、ポジティブな印象を与えます。
このような企業イメージの向上は、結果的に競争優位性の確保や持続可能な成長につながります。
働きやすい職場を作るデメリット
コストが増加する
働きやすい職場を作るためには、リモートワークの推進に必要なIT設備やセキュリティ対策、新たな勤怠システムの導入など、初期投資が必要になります。これらの設備投資は企業にとって短期的なコスト負担となる場合が多いです。
また、柔軟な働き方を支えるための設備更新や、運用に伴うランニングコストも増加する可能性があります。
管理負担が増大する可能性がある
柔軟な勤務形態や福利厚生を導入することで、管理者の業務負担が増えるケースがあります。例えば、フレックスタイムやリモートワーク制度の運用には、個々の勤務状況を正確に把握し管理する仕組みが必要です。
さらに、多様なニーズに対応するための調整業務や、制度導入後の社員へのサポートも負担になることが考えられます。
しかしながら、働きやすい職場を作ることにはコストや管理面での負担増加の可能性があるものの、適切に対処すれば、長期的には大きなメリットにつながるでしょう。
働きやすい職場にするための内容
働きやすい職場にするための具体的な施策を紹介していきます。
人事評価制度を整備する
評価内容にはっきりとした基準を設けるとともに、評価についてしっかりとしたフィードバックが行われることも大切です。社員の性別や年齢、国籍などに関係なく、成果に応じた公正公平な評価が行われるよう制度を整備します。
働きやすい職場環境を整える
育児や介護の負担を抱える人をはじめ、さまざまな背景を持つすべての社員が安心して仕事に取り組めるよう、時間・場所にとらわれず柔軟に働ける勤務制度を整備します。
ハラスメント対策に取り組む
会社はハラスメントに対する明確な方針を策定し、どのような言動がハラスメントに該当するのかを明示します。研修の実施や相談窓口の設置を通じ、すべての社員が安心して働けるようハラスメント対策に取り組みます。
学習環境の整備と支援
業務スキルアップのための研修会の実施、セミナーや講習会の参加、e-ラーニングの実施といった学習化環境の整備を行います。社員の学習環境を整備し、持続的な成長を支援します。
働きやすい職場づくりの事例
以下に働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業の事例を紹介します。
はごろもフーズ株式会社
はごろもフーズ株式会社では、社員がメリハリをつけて働ける環境を整えるため、「早がえり」運動を全国で実施しています。これにより、遅くとも21時までには退館することを推奨。また、年に一度、3日間連続で有休を取得する制度を設け、プライベートの充実を図っています。
株式会社野村総合研究所
株式会社野村総合研究所では、労働時間に一定の上限を設けるとともに、裁量労働制を導入。この制度により、社員の自由な働き方を尊重しつつ、成果を重視した効率的な業務遂行を実現しています。
積水ハウス株式会社
積水ハウス株式会社では、男性社員が育児に積極的に参加できる環境を整えるため、1カ月以上の育児休業を完全取得する取り組みを実施。これにより、社員の家庭生活との両立のサポートを行っています。
まとめ
社員が働きやすい職場を作ることは、社員が働く上での満足度の向上や生活の質の向上に寄与するとともに、企業の生産性向上や持続的な成長につながります。この記事を参考に、時代に即した働きやすい職場づくりを推進してみましょう。
参考:厚生労働省 静岡労働局.”「魅力ある職場づくりに取り組む企業 事例集Vol.2」”,
内閣府.”全ての人が活躍できる働き方の推進に向けた取組事例集”,