ハイブリッドワークとは【導入企業例を掲載】導入メリットやデメリットを比較してみましょう
2024/12/23
働き方の多様化が進む中、注目されているのが「ハイブリッドワーク」です。この働き方は、オフィスワークとリモートワークのメリットを組み合わせることで、従業員の柔軟な働き方を支援する新しい仕組みです。
本記事では、ハイブリッドワークの概要やリモートワークとの違い、導入のメリット・デメリット、そして具体的な企業の導入事例について詳しく解説します。
ハイブリッドワークを検討中の方や導入を検討している企業様へ参考になれば幸いです。
ハイブリッドワークとは
ハイブリッドワークとは、出社して職場で働く「オフィスワーク」と、自宅やコワーキングスペースなど、職場から離れた場所で働く「リモートワーク」を組み合わせた働き方のことです。
従業員が自由に働き方を選択できるケースや、「リモートワークは週2日まで」と頻度を制限しているケースなど、企業によってさまざまな導入方法があります。
「ハイブリッドワーク」「リモートワーク」の違い
ハイブリッドワークとリモートワークとの間には、出社に対する考え方の違いがあります。
リモートワークの場合、職場から離れた場所で働くことを前提としています。企業としては、リモートワークを条件に採用した場合、従業員にオフィスワークを要請することが難しくなります。そのため、大切なクライアントとの商談や新人研修、周年記念イベントなど、対面で参加してほしい行事などがあるときにやや不便です。
一方、ハイブリッドワークには、リモートワークとオフィスワークの両方のメリットを取り入れるという意味合いが含まれます。従業員のワークライフバランスに配慮しつつも、必要に応じて出社も要請できるため、企業としてはローリスクで取り入れられるシステムといえるでしょう。
ハイブリッドワークのメリット
それでは、ハイブリッドワークにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
この章では、ハイブリッドワークのメリットとして、以下の5点について取り上げます。
業務の効率化
プログラミングやグラフィックデザインなど、業務によっては静かな環境で集中して取り組んだ方が成果が出やすいものがあります。一方で、企画会議や教育研修など、対面の方がコミュニケーションを取りやすい業務もあるでしょう。ハイブリッドワークを導入すれば、業務の性質に応じて最適な環境を選択することができるため、効率的に業務を進められる可能性があります。
従業員満足度の上昇
ハイブリッドワークを導入すると、出社を前提とした働き方に比べて、リモートワークの頻度が増えます。通勤や移動の工数が減ることで、従業員が時間を有効に活用することができ、ワークライフバランスの改善に繋がります。これにより、従業員満足度が上昇する傾向にあります。
人材確保・定着に貢献
ハイブリッドワークの導入により、従業員の柔軟な働き方を支援することで、求職者から魅力を感じてもらいやすくなります。また、育児や介護とも両立しやすいため、ライフスタイルの変化を理由とする従業員の離職を防ぐことができます。
固定費の削減
ハイブリッドワークを取り入れると、従業員の出社頻度が減り、通勤費を抑えることができます。また、職場のスペースを縮小することで、オフィスの賃料や光熱費などを削減する効果も期待できます。
コミュニケーションの確保
リモートワークの課題としてよく挙げられるのが、自宅勤務による孤独感や企業への帰属意識の低下です。ハイブリッドワークなら、従業員同士が対面でコミュニケーションを取る機会を確保できます。これにより、上司や同僚との交流を通じて孤独感が解消されるとともに、組織のチームワーク向上が期待できます。
ハイブリッドワークの注意点
ハイブリッドワークを導入することによる直接的なデメリットはありません。
ただし、導入する際の注意点として、以下の4点を紹介します。
社内コミュニケーションの分断
オフィスワークを主とする従業員と、リモートワークを主とする従業員に分かれることで、従業員間のコミュニケーションにムラが生まれる可能性があります。こうしたムラが組織内の分断に繋がらないよう、従業員同士が相互に交流する仕組みを作ることが重要になります。
情報格差への対処
リモートワークでは「オフィス内の会議で情報共有したことが、オンライン上で共有されなかったために、リモート参加した従業員に情報が届かなかった」といった事案が発生しがちです。こうした情報格差は、従業員のエンゲージメントの低下に繋がるとともに、インシデントの温床にもなります。ハイブリッドワークを導入する際には、情報格差の発生を防ぐ体制を構築するようにしましょう。
従業員の健康管理
対面でのコミュニケーション頻度が下がることで、管理職が遠隔勤務している従業員の心身の健康状態を把握しにくくなる場合があります。そのため、オンラインツールを活用して気軽に健康相談ができる仕組みを整えるなど、安全衛生管理体制を整備することが重要です。
情報漏洩リスクの管理
従業員がコワーキングスペースなどを活用しているときに、のぞき被害などによって、社内の機密情報が外部に漏れる事例が増えています。ハイブリッドワークを導入する際には、セキュリティソフトやのぞき見防止フィルターを導入するなど、情報漏洩リスクに対処する必要があります。
ハイブリッドワークの導入ポイント
この章では、ハイブリッドワークを導入する際のポイントについて説明します。
対応できる環境の整備をする
ハイブリッドワークの成功に欠かせないのが、オフィスワークとリモートワークの両方に対応できる環境整備です。
具体的には、以下の5つのポイントに注意しましょう。
ITインフラの整備
ハイブリッドワークを実現するためには、ITインフラの整備が必要です。従業員間の情報格差が発生すると、エンゲージメントや業務品質の低下などの事態に繋がる可能性があります。社内SNSやWeb会議システムなど、自社の業務環境に適したITシステムを導入し、従業員がスムーズに連携できるようにしましょう。
セキュリティ対策の強化
ハイブリッドワークを行うにあたって、セキュリティ対策は非常に重要です。自宅やコワーキングスペースでは、セキュリティ確保が難しくなりがちです。そのため、従業員に対する情報セキュリティ研修の徹底や、のぞき見防止フィルターの導入、セキュリティソフトのインストールなどを通して、安全性を高めるようにしましょう。
プロジェクト管理ツールの導入
ハイブリッドワークでは、プロジェクト管理ツールを導入することがおすすめです。プロジェクト管理ツールとは、案件の進行状況やスケジュールをチーム内で共有できるシステムです。ミスコミュニケーションを防ぐだけでなく、業務を効率化することができるため、ぜひ導入してみてください。
サポート体制の整備
ハイブリッドワークの効果を最大化するためには、企業側のサポート体制の整備が重要になります。たとえば、出社時のコミュニケーションスペースの確保や、心身の不調を気軽に相談できるオンライン相談窓口の設置などが挙げられます。
柔軟な勤務制度の導入
ハイブリッドワークの導入にあわせて、勤務制度を見直すこともおすすめします。従業員によっては、育児や介護の都合で、定時での勤務が難しい場合があります。フレックスタイム制など、従業員が働く時間を柔軟に選べる勤務制度を導入することで、優秀な人材を確保しやすくなります。
ハイブリッドワークの導入事例
企業のハイブリッドワークの導入事例について紹介します。
日本国内
株式会社ベネッセホールディングスでは、個人の業務状況に合わせて、出社するか在宅で勤務するかを選べるハイブリッドワークを導入しています。オフィスは固定席がない「フリーアドレス」となっており、オープンなコミュニケーションスペースが設けられていることで、チームでの価値創造を生み出しやすくしています。
株式会社サイボウズでは、10年前からリモートワークの導入に積極的に取り組んでおり、現在はハイブリッドワークを取り入れています。自身の働き方を自由に宣言できるため、従業員が育児や介護とバランスを取りながら安心して業務に取り組むことができます。また、情報格差を生まない仕組み作りにも工夫が見られます。
海外
Spotifyでは、全ての従業員がマネージャーと相談の上、オフィスワークやリモートワーク、ハイブリッドワークの中から適した働き方を選べる「My Work Mode」という考え方を導入しています。また、全国的にコワーキングスペースを契約しているため、従業員は働く国や都市を柔軟に選ぶことも可能です。
Microsoftでは、ハイブリッドワークを導入することで、ビジネス上のニーズへの対応と個人のワークスタイルの尊重を両立しています。出社が必要な場合にはスムーズに集合できるよう、従業員に対して「オフィスに集まる意味・価値」を共有している点にも工夫が見られます。
参照元:働く環境の整備(株式会社ベネッセホールディングス)・サイボウズのハイブリッドワーク10年史(株式会社サイボウズ - THE HYBRID WORK)・Introducing Working From Anywhere(Spotify - HR Blog)・Our approach to hybrid workplace flexibility(Microsoft)
まとめ
今回、ハイブリットワークとはどういった意味なのかを解説しました。ハイブリッドワークを導入すると、優秀な人材の確保や業務効率化など、さまざまなメリットがあります。一方で、「情報漏洩リスクをどのように管理すれば良いのか」「どんなITシステムを導入すれば、情報格差の発生を防ぐことができるのか」など、お困りの方も多いのではないでしょうか。
ハイブリットワークに対応するためには、適切な計画と準備が欠かせません。効果的な運用をするためには、企業の現状や目的に合った環境整備やサポート体制を構築することが重要となります。ぜひ本記事を参考に、ハイブリッドワークの導入をご検討ください。