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高年齢雇用継続給付金とは【なぜ廃止?】改正点や注意点、よくある質問をわかりやすく解説!

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高年齢雇用継続給付金とは【なぜ廃止?】改正点や注意点、よくある質問をわかりやすく解説!

高年齢雇用継続給付金とは【なぜ廃止?】改正点や注意点、よくある質問をわかりやすく解説!

2024/07/17

2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正により、従業員の65歳までの雇用確保が企業に義務付けられ、60歳以降も働き続ける方が増えています。高年齢雇用継続給付金は、60歳到達時点と比較して賃金が75%未満の60歳以上65歳未満である雇用保険被保険者に支払われる給付金です。

 

この記事では高年齢雇用継続給付金の概要や申請方法、利用する際の注意点について詳しく解説します。

利用を検討している事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

高年齢雇用継続給付金が2025年に廃止!

2020年4月の通常国会において、高年齢雇用継続給付金制度は2025年4月1日より段階的に縮小、廃止されることが可決されています。

 

「高年齢雇用継続給付金」が廃止される理由

廃止される背景には、高年齢者雇用安定法の改正があります。65歳までの雇用確保の義務や70歳までの定年引上げ、定年廃止などが努力目標として設けられたことで、65歳以上の高年齢者が働きやすい環境が整いつつあることが廃止の理由とされています。

 

縮小・廃止はいつ?

2025年4月1日より、新たに60歳に到達する方から給付額が縮小されます。いつまでに廃止になるかについて具体的な日にちは決定していませんが、段階的に縮小、廃止される予定となっています。

 

縮小後の給付率

2025年4月1日より給付率は下記表のとおり縮小されます。

 

給付対象者の変更点

 

2025年3月31日までの給付率

65歳に達するまでの期間について、60歳以後の各月の賃金の15%を支給

2025年4月1日以降の給付率

65歳に達するまでの期間について、60歳以後の各月の賃金の10%を支給

 

給付対象者

下記①、②を満たす方

 ①被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満である労働者

 ②60歳以後の各月に支払われる賃金が60歳到達時点の賃金額の75%未満である労働者

 

高年齢雇用継続給付金とは

高年齢雇用継続給付金は、60歳以上の高齢者が働き続けるために支援するための給付金です。雇用保険制度のひとつであり「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つから成ります。

 

高年齢雇用継続給付金の特徴

ここでは高年齢雇用継続給付金の特徴や、それぞれの概要について解説します。

 

給付金の目的

60歳以降も働き続ける労働者の大幅な賃金低下を防ぎ、就業へのモチベーションを維持し、雇用継続を支援・促進することを目的としています。

 

給付金の種類①|高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降に失業保険による基本手当や再就職手当を受け取っておらず、継続して同じ会社で働き続ける方で、一定の条件を満たす場合に支給されます。

 

給付金の種類②|高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は、退職後に基本手当を受給した後、60歳以降に再就職した方のうち、一定の条件を満たす場合に受給できます。再就職手当は受け取っていないことが条件の1つとなっています。

 

【高年齢雇用継続基本給付金】の概要

高年齢雇用継続基本給付金を支給できる対象者と支給期間は下記のとおりです。

 

支給対象者

以下の①~③のすべてに該当する方

60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者であること

被保険者であった期間が5年以上あること

60歳到達時点と比べ、60歳以後の賃金が75%未満であること

 

支給期間

被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月までが支給期間となります。60歳時点で被保険者であった期間が5年に満たない場合、5年に至った月から支給対象となります。

 

60歳到達時に被保険者であった期間が5年ある場合(赤線:60歳到達)

被保険者期間

60歳~65歳

5年以上

支給期間

 

60歳到達時に被保険者であった期間が5年ない場合(赤線:60歳到達)

被保険者期間

被保険者期間

~65歳

4年

1年

支給期間

 

【高年齢再就職給付金 】の概要

高年齢再就職給付金を支給できる対象者と支給期間は下記のとおりです。

 

支給対象者

以下の①~⑥のすべてに該当する方

60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者であること

被保険者であった期間が5年以上あること

離職し基本手当を受給した後、60歳以降に再就職している

基本手当の支給残日数が100日以上残っていること

再就職後の月収が、基本手当の基準となった賃金日額×30倍と比較し75%未満であること

再就職手当を受け取っていないこと

 

支給期間

再就職前日の基本手当支給残日数

給付金支給期間

200日以上

再就職日の翌日から2年間

100日~199日

再就職日の翌日から1年間

 

※いずれも支給期間中に65歳に到達した場合は到達月で支給は終了します

 

 

高年齢雇用継続給付金の申請プロセス

高年齢雇用継続給付金の申請は基本的に対象労働者を雇用している企業が行います。ここでは、申請に必要な書類や流れを解説します。

 

高年齢雇用継続基本給付金の場合

 

申請に必要な書類

高年齢雇用継続給付支給申請書

(※ 初回は高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」の用紙を使用)

払渡希望金融機関指定届

 

※様式はハローワークインターネットサービス 帳票一覧よりダウンロードが可能です。

 

上記の申請書類に下記の資料を添付し申請します。

雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書(管轄のハローワークにて入手)

支給申請書と賃金証明書の記載内容を確認できる書類

(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など)

被保険者の年齢が確認できる書類等(運転免許証か住民票の写し)

 

※あらかじめマイナンバー届け出済の方は年齢確認書類の写しを省略できます

 

手続きの流れ

 

①被保険者

受験資格確認票・初回支給申請書を記入し事業主に提出

②事業主

受験資格確認票・初回支給申請書に賃金証明書を添付しハローワークに提出

③ハローワーク

事業主に受給資格確認通知書・支給(不支給)決定通知書・次回分の支給申請書を交付

④事業主

被保険者に受給資格確認通知書・支給(不支給)決定通知書・次回分の支給申請書を交付

⑤ハローワーク

被保険者へ給付金支給

 

高年齢再就職給付金の場合

 

申請に必要な書類

高年齢雇用継続給付支給申請書

(※ 初回は高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」の用紙を使用)

払渡希望金融機関指定届

 

手続きの流れ

①被保険者

受験資格確認票・初回支給申請書を記入し事業主に提出

②事業主

受験資格確認票・初回支給申請書をハローワークに提出

③ハローワーク

事業主に受給資格確認通知書・支給申請書を交付

④事業主

被保険者に受給資格確認通知書・支給申請書を交付

⑤被保険者

支給申請書を記入し事業主に提出

⑥事業主

支給申請書をハローワークへ提出

⑦ハローワーク

事業主に支給(不支給)決定通知書・次回分の支給申請書を交付

⑧事業主

事業主に支給(不支給)決定通知書・次回分の支給申請書を交付

⑨ハローワーク

被保険者へ給付金を支給

 

高年齢雇用継続給付金の注意点

 

ここでは高年齢雇用継続給付金を申請する上で知っておきたい注意点を解説します。

 

申告期限

高年齢雇用継続給付金の初回申請期限は支給対象月の初日から起算して4ヶ月以内です。被保険者が受給を希望する場合、事業主は余裕をもってハローワークに申請書類を提出するようにしましょう。

 

2回目以降の支給申請書の提出期限

2回目以降の支給申請書は、前回の支給対象期間の最終日から起算して2ヶ月以内に提出する必要があります。提出期限を過ぎると、その期間の給付金は受け取れないため、忘れずに申請するようにしましょう。

 

再就職手当と高年齢再就職給付金の併給はできない

再就職手当を受け取っている場合、高年齢再就職給付金の申請対象外となります。いずれも再就職を支援するための給付金ですが、その目的と支給条件が異なるため両者を同時に受給できないため注意しましょう。

 

高年齢雇用継続給付金についてよくある質問

高年齢雇用継続給付金について、弊社によくお問い合わせのある質問と回答をご紹介します。

 

Q1.高年齢雇用継続給付金はいつまで支給される?

高年齢再就職給付金は再就職前日の基本手当支給残日数により支給期間が決まります。残日数が200日以上の場合は再就職日の翌日から2年間、100日以上200日未満の場合は1年間です。ただし、期間の途中であっても、65歳に到達した月で支給は終了となります。

 

高年齢雇用継続基本給付金においても、65歳に到達した月までの支給となります。

 

Q2.パートやアルバイトでももらえる?

所定労働時間が20時間以上の一般被保険者であれば、パートやアルバイトの方も支給対象となります。

 

3.給付金を受けると年金が減る?

厚生年金保険の被保険者のうち、特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金を受けている方が高年齢雇用継続給付を受けられる場合、在職による年金の支給停止及び年金の一部が支給停止されます。支給停止となる年金額は、最高で賃金の6%に当たる金額です。

 

詳しくは日本年金機構ホームページをご参照ください。

 

まとめ

少子高齢化で労働力の確保が難しくなってきている現代、知識や経験豊かな高齢者は貴重な人材と言えます。継続雇用することは、企業にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

 

一方で、年齢とともに体力や一部の能力が低下するケースもあるため、高齢者の継続雇用における賃金は現役時より低くなることが多いです。継続して就業する高齢者の生活を守り、仕事へのモチベーションの低下を防ぐために給付金制度は大きな支えになります。

 

申請手続きにやや時間と労力がかかりますが、デメリットよりはるかにメリットが大きいものです。事業活動の要となる人材確保のため、ぜひこの記事を参考に給付金活用にトライしてみてください。

 

 

参考:

 

厚生労働省.”雇用継続給付”.ハローワークインターネットサービス

 

日本年金機構.”年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整”,

 

 

 

 

 

 


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