【社労士監修】新入社員研修とは何する?目的や実施期間、内容例をわかりやすく解説!
2024/12/23
新入社員研修を行うことで、社員は企業の理念や職場での自分の役割を理解し、円滑に業務を開始できるようになります。多くの企業で行われている新入社員研修ですが、どのような研修を行うべきか迷うケースが見られます。
この記事では、新入社員研修の目的や具体的な実施方法、メリットやデメリットについてわかりやすく解説します。
研修の内容を理解し、より効果の高いプログラムを実施しましょう。
新入社員研修とは何をするの?
新入社員研修では、グループワークやeラーニング、配属先でのOJTなど、企業の目的や方針に応じた多様な形式で実施されることが一般的になっている、企業が新たに入社した新卒社員や中途社員に対し行う教育プログラムです。
研修内容には、会社の理念や、業務の進め方、基本的なビジネスマナーやコミュニケーションスキル、メンタルヘルスといった勤務する中で必要になる基礎知識やスキル習得が含まれます。
新入社員研修の目的
研修の目的は、新卒採用と中途採用で異なります。以下にそれぞれの目的について解説します。
新卒採用の社員
新卒採用の社員に対して、社会人として必要な基本的な知識やスキルを習得させ、業務への適応を促進することが主な目的とされています。研修をしっかりと実施することで、企業全体の生産性や業務効率の向上が期待されます。
中途採用の社員
中途採用の社員に対する研修は、すでに一定の職務経験を持つ社員が新たな職場の環境に適応し、早期に力を活かすことができることを目的としています。企業の理念や方針、社内ルールの理解やシステムを使用するためのスキル習得、チームでの自身の役割や連携方法の理解といった内容がメインとなります。
新入社員研修の平均実施期間
新入社員研修の期間は、企業の規模や業種によって変わるため必ずしも一定ではありません。新卒では3ヶ月〜6ヵ月、中途では1ヵ月〜3ヵ月程度が例として挙げられますが、企業の規模や業種によって大きく異なります。
新人社員研修で学べる内容例
新人社員研修では、基本的なマナーのほか、業務の効率化を図るための技術や知識、さらに課題解決やクレーム対応など、実際の業務に業務に必要なスキルや知識を学ぶことができます。
以下に代表的な内容を紹介します。
ビジネスマナー
服装や身だしなみ、敬語の使い方や電話対応、メールの書き方、名刺交換といったビジネスパーソンとして友好的な人間関係を築いていくための行動・ふるまいを学びます。
コンプライアンス
会社が事業を行う上で守らなければならない法律・規則を学びます。また、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントについてや情報セキュリティといった、働く上でトラブルになりやすい事柄についても取り上げられます。
業務スキル
業務に必要な知識や技術について学びます。ExcelやWord、パワーポイントといったPCの基本的なアプリケーションの使い方、社内システム、営業であればアポイントの取り方やプレゼンテーションなど、実践的なスキルを身につけます。
課題解決スキル
課題を解決するため、「5W1H」や「PDCAサイクル」「SWOT分析」などのフレームワークを用い、問題の本質を見極め、課題を正確に分析する手法を学びます。
コミュニケーション
社内外でのコミュニケーションについて学びます。基本となる言葉遣いや礼儀、挨拶、報告・連絡・相談についての知識はもちろん、質問や意見の伝え方、意見が食い違ったときの折衝など、ビジネスのさまざまな場面におけるコミュニケーションのスキルを身につけます。
メンタルヘルス
うつ病や適応障害といった精神的な不調を訴える社会人の増加が問題視されている昨今、メンタルヘルスについて学ぶことは重要です。ストレスマネジメントの手法や、ストレスによって引き起こされる心身の不調、対応についての知識を学びます。
企業理念の理解
企業の考え方や価値観、取るべき行動の指針を表すものが企業理念です。新入社員は企業理念を理解することで、日々の業務において何を大切にすべきかが明確になります。
企業理念を深く理解することは、仕事へのやりがいや誇りにもつながっていきます。新入社員研修で企業理念を学ぶことは、企業と個人の成長にとって不可欠な要素と言えます。
新入社員研修の実施方法
研修の目的や目標をはっきりと決め、必要な内容を洗い出した上でカリキュラムを設定します。期間やスケジュールも考慮し、設計した新入社員研修を実施します。
目的や人数などに応じ、さまざまな研修方法があります。以下に代表的な方法について解説します。
グループワーク
グループワークは与えられたテーマに対し、複数人のグループに分かれディスカッションや意思決定、成果発表などを行う方法です。新入社員間で意見の相違を尊重し、協力し課題の解決策を見つける能力の向上が期待されます。
また、新入社員同士のコミュニケーションを深め、協力して課題を解決する力を養うための活動と言えます。グループで成果発表した結果を共有し、フィードバックを受けることでこれからの業務に活かすことができます。
ケーススタディ
ケーススタディは、実際のビジネスシーンで発生した事例をもとに、適切な対応の仕方を学ぶ方法です。答えを出すことを目的とせず、課題をどのように分析し、どのように解決策を導き出していくかというプロセスが重要になります。
研修参加者は早期に職場に適応できるために必要な判断力、問題解決力を身につけることができます。新入社員間で意見を出し合い、多角的な視点で解決策を探ることでチームワークやコミュニケーション能力の向上も期待できます。
レクリエーション
レクリエーションは簡単なゲームや課題を通じ、新入社員をリラックスさせ社員間のコミュニケーションを促進するための手法です。研修中の緊張や疲れをほぐし、社員同士の距離を縮め信頼関係を築く機会を作ることができます。
スポーツ活動や、室内で行う簡単なゲームなどが一般的です。社員同士協力して課題を解決するゲームなどを通じて、リーダーシップやフォロワーシップを自然に学ぶことができるのも利点の一つです。
レクリエーションは楽しいだけでなく、研修でのストレスを軽減しモチベーションの向上にもつながります。集中力や学習効率が高まり、研修の効果を深め高めることができます。
ロールプレイ
ロールプレイは実際の業務において、よくある場面を想定し、それぞれの役割を模擬的に体験する手法です。新入社員に必要なスキルやコミュニケーション能力を向上させることができます。
過去の具体的な事例を学ぶ「ケーススタディ」と似ていますが、ケーススタディは主に座学で行い、ロールプレイでは模擬的に体験する点が異なります。一対一の顧客応対でのビジネストークを想定したロールプレイや、複数の相手へのプレゼンテーションロールプレイなどがあります。
eラーニング
eラーニングは、パソコンやタブレットなどを利用し、オンラインで提供される学習プログラムにより行う研修方法です。場所や時間にとらわれず実施できるため、会社にとっても社員にとっても負担の少ない手法であると言えます。
eラーニングでは、業務に必要なスキルや専門的な知識を動画やテキストで得ることができます。各々の理解度に応じて繰り返し学習できるものが多く、無理なく研修効果の向上が期待できます。
各社員の学習進捗もオンラインで管理することができ、会社側にとっても人的コストを最小限にしながら効果が得られるメリットの大きい手法です。
メンター制度
メンター制度は、先輩社員(メンター)が新入社員(メンティー)に対して指導を行い個別にサポートするものです。メンターは業務指導を行うとともに、新入社員の不安や疑問に対しアドバイスを行います。
新入社員は不安や分からないことがあっても、誰に相談してよいか分からず一人で抱え込んでしまうことがあります。気軽に相談できるメンターの存在は新入社員の安心感を与え、早期離職といったトラブル防止にもつながります。
また、新入社員の指導を行うことでメンターの指導力の向上も見込めます。新入社員の成長はもちろん、メンターとなる社員自身の成長も期待できます。
OFF JT
OFF-JT(Off-the-Job Training)は、実際の業務から離れて、職場外で行われる研修です。外部の講師に依頼しビジネスマナーの研修を行ったり、外部のセミナーに参加するなどがOFF-JTにあたります。
ビジネスマナーのほか、コミュニケーションスキルやコンプライアンス、プレゼンテーションのスキルといった内容を学ぶことができます。OFF-JTは、外部の専門講師から直接指導を受けることができるため、新入社員は業務への深い理解と広い視野を持つ事が期待できます。
OJT
OJT(On-the-Job Training)は、日常の業務の中で業務スキルや専門知識を身につけていく研修手法です。新人社員は、実際の業務に携わりながら先輩社員から指導を受けます。
業務に即した学びができることがOJTの利点の一つと言えます。新入社員は実際の業務の中で経験を積みながら成長する可能性が高まります。
エルダー制度
エルダー制度はメンター制度と同様、先輩社員が新入社員に対して指導を行い個別にサポートするものです。メンター制度が、新入社員のメンタル面のサポートを中心にサポートを行うものであるのに対し、エルダー制度では業務の直接的な指導を主な目的としています。
そのため、一般的にメンターは所属先とは別の部署の人から選ばれることが多く、エルダー制度では直接仕事に関わる同部署の先輩社員が指導役として選ばれることが多いです。
新入社員研修の期待される効果
新入社員研修は企業にとっても社員にとっても多くのメリットをもたらします。以下に主な期待できる効果を解説します。
企業側
新入社員の実戦力を高められる
新入社員が実務に必要な基礎知識やスキルを習得し、早期に戦力として活躍できるようになる。
新入社員の定着率の向上
研修を通じて新入社員の会社への適応を促し、早期離職を防止し定着率を向上させることができる。
社内コミュニケーションの活性化
研修により先輩と新入社員間や指導側・新入社員側同士の会話は増え、相互理解が進み、社内コミュニケーションが活性化する。
既存社員の成長
新入社員各々に対し、最適な育成カリキュラムを作成し研修を行う過程で、指導する側も業務に対する理解が進み、大きな成長の機会となる。
社員側
勤務環境や企業文化の理解が進む
研修により、職場の環境や文化を理解することができる。入社後、どのように仕事を進めていくかの指針が明確になる。
業務知識や基礎スキルの習得
ビジネスマナーや業務に必要なPCスキル等の基礎的な知識を習得することができる。これにより入社後も戸惑わずに業務に携わることができるようになる。
社内ネットワークが構築できる
研修時に先輩社員や同期社員とコミュニケーションの機会が多数あり、職場内の人間関係を築くきっかけができる。
新入社員研修の注意点
研修期間が長い場合、教える側の先輩社員は実務から離れる時間が増え、リソースの負担が大きくなる。新入社員も業務経験を積む機会を失い、モチベーションが低下する可能性があるといったデメリットがあります。また、限られた研修期間内に多くの情報を詰め込み、多くの知識を伝える必要もあるため、カリキュラムが過密になりがちです。
しかし、研修内容を工夫することで指導者側も業務に対する理解が深まり、新入社員側も戦力として高めることができます。研修効果をより良くするためにも、新入社員研修のポイントを押さえておきましょう!
新入社員研修を成功させるポイントは?
新入社員研修を成功させるためには、以下の5つのポイントを意識することが重要です。
適切な研修期間・内容を設定する
研修内容が実務に即したものであるか、研修期間が短すぎたり長すぎることがないかを見極め設定することが重要です。研修担当者は毎年の研修実施内容や成果を分析し、定期的に見直すことが必要です。
講義形式だけでなく参加形式の研修をバランスよく取り入れる
講義形式のみのカリキュラムでは、研修が一方通行となってしまい、新入社員の集中力が低下する可能性があります。さまざまな形式の研修をバランスよく取り入れることが、研修をより効果的なものにします。
社内コミュニケーションの機会を設ける
新人社員研修は新入社員の業務スキルや知識を高めるだけでなく、職場の雰囲気や文化を知る機会となります。新入社員が不安なく業務につけるよう、研修では先輩・新入社員、同僚とのコミュニケーションの機会を多数設けるようにしましょう。
まとめ
新入社員研修は、企業の理念や文化を理解し、業務に必要なスキルや知識を身につける重要なプロセスです。この記事を参考に効率的な研修を行い、新入社員が自信を持って業務に取り組めるようにサポートしましょう。