両立支援等助成金とは【ワークライフバランスを実現】知っておきたい制度・活用術を紹介
2024/02/28
少子高齢化が加速する昨今、妊娠・出産・育児や介護といった家庭生活と仕事を両立できる社会の実現が求められています。従業員が妊娠・出産・育児や介護を目的として休業し、休業後も安心して復帰できる環境づくりをすすめる中小企業事業者を支援する制度に「両立支援等助成金」があります。
この記事では「両立支援等助成金」の概要や申請要件、助成額について解説していきます。
両立支援等助成金とは
「両立支援等助成金」は、従業員が出産や育児・介護と仕事を両立しやすい環境づくりをすすめる事業者を対象とした助成金制度です。対象者や助成内容の異なる「出生時両立支援(子育てパパ支援助成金)」「育児休業等支援」「介護離職防止支援」「不妊治療両立支援」の4つのコースから成ります。
両立支援等助成金の活用例
「両立支援等助成金」は下記状況などで効果的に利用することができます。
育児休業・介護休業取得時
従業員が育児や介護を理由に休業した際、一定の条件下で事業主に助成金が支給される場合があります。利用することで、育児・介護休業制度の整備の促進につなげることができ、従業員のワークライフバランスを向上させることができます。
業務代替時の支援
従業員が育児・介護休業を取得する際、業務を代替する従業員を新たに雇用したり、業務を代行する従業員に手当等を支給する場合、助成金が加算され支給される場合があります。せっかく休業を取得したものの、業務状況が気になり育児や要介護者の介護・治療と仕事の両立が難しくなるといったことのないよう、業務代替を整備することは重要です。
従業員が育児や要介護者の介護や治療と仕事の両立を安心して行うために、両立支援等助成金の利用が効果的です。
職場復帰後の支援
両立支援等助成金の「育児休業等支援コース」では、職場復帰後支援の項目も設定されています。育児と仕事の両立が難しい労働者のため、育児・介護休業法を上回る「⼦の看護休暇制度」または「保育サービス費用補助制度」を導⼊した事業者には助成金が給付される場合があります。
「⼦の看護休暇制度」は出生児の育児についてはもちろん、コロナ禍やインフルエンザの蔓延等のため、小学校休業により出生児と併せて兄弟姉妹の育児が必要となる場合にも便利な制度です。制度の導入は従業員が安心して職場復帰するための環境整備につながります。
従業員への制度活用の案内
両立支援等助成金はいずれのコースも事前に従業員への制度周知が利用条件となっています。あらかじめ全従業員に制度案内を行い、利用しやすい環境づくりを心がけましょう。
両立支援等助成金のコース内容
両立支援等助成金には下記の4つのコースが設けられています。
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
「出生時両立支援コース」は、男性労働者が育児休暇を取りやすい環境整備を行い、実際に男性従業員が育児休暇を取得した中小企業事業者に助成される制度です。育児休暇取得時(第1種)や男性労働者の育児休業取得率上昇(第2種)に伴い給付されます。
第1種、第2種それぞれの要件と支給額について解説します。
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出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)の助成金額
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※第1種の対象労働者は同一の育休について、育児休業等支援コースは申請できません
育児休業等支援コース
労働者が育休の取得と職場復帰を円滑に行うための環境整備を行う中小企業事業者に助成されます。「育休取得時・職場復帰時」「業務代替支援」「職場復帰後支援」の3項目が設定されています。それぞれの項目について下記に解説します。
【育休取得時・職場復帰時】
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【業務代替支援】
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※育休取得者が有期雇用の場合、10万円加算される
【職場復帰後支援】
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育児休業等支援コース加算項目:自社の育休取得状況等の情報を両立ひろばに公開した場合、2万円が加算されます(全体を通して1回のみ)
介護離職防止支援コース
事業者が「介護支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の介護休業取得や職場復帰に取り組み、実際に労働者が介護休業の取得、または介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両⽴支援制度)を利用した場合、事業主に助成されます。「介護離職防止支援コース」について、介護休業と介護両⽴支援の2つの項目に分け解説します。
【介護休業】
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【介護両⽴支援制度(介護のための柔軟な就労形態の制度)】
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介護離職防止支援コースの助成金額
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※<個別周知・環境整備加算の条件>
●対象労働者に対し、介護休業・両⽴支援制度の⾃社制度の説明を資料により⾏う
●対象労働者に対し、介護休業を取得した場合の待遇についての説明を資料により⾏う
●社内の労働者に、仕事と介護を両⽴しやすい雇用環境整備の措置を2つ以上行う
不妊治療両立支援コース
不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備や両立支援プランを策定し、不妊治療に利用可能な休暇制度や両立支援制度を利用させた中小企業事業主に対して助成されるコースです。「環境整備・休暇の取得等」と「⻑期休暇の加算」の2つの項目が設定されています。
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不妊治療両立支援コースの助成金額
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両立支援等助成金のメリット
両立支援等助成金を利用することで、下記のメリットが期待できます。
従業員のワークライフバランス向上
仕事を優先して育児や介護が思うようにできない、あるいは仕事を辞めなければならないといった状況に悩む労働者は多いです。両立支援助成金の利用は、従業員が仕事をしながら仕事以外の生活も希望のバランスで営める環境整備の促進につながります。
女性のキャリア形成の促進
両立支援の環境が整っていない企業では、仕事を続けたくても出産・育児や介護を理由に断念しなければならないケースが多くあります。両立支援助成金を利用し、休暇や職場復帰のしやすい環境を整えることで、女性のキャリア形成の促進が可能になります。
離職率の低減
出産や育児、介護を理由に仕事を辞めるケースが減るため、離職率が低減します。
優秀な人材の確保・定着
ワークライフバランスの整った企業で働きたいと考える労働者は多いです。両立支援環境の整備は優秀な人材の確保・定着にもつながります。
両立支援等助成金のデメリット
一方で下記のデメリットが発生する可能性もあります。
申請が複雑で手間がかかる
助成金を受給するためには必要書類が多く、準備に手間がかかります。また、年度によって申請要件が変更されることやコースが新設されたり廃止されたりといったこともあります。申請が複雑で手間がかかるため、途中であきらめてしまうといったケースも考えられます。
申請から受給まで時間がかかる
助成金は取組を決定して申請すればすぐに振り込まれるわけではなく、手引きに沿った取組の遂行や申請書・必要資料の提出、事務局の審査が行われて初めて受給が決定します。社内で助成金の利用を決定してから支給までは時間がかかり、なおかつ万が一審査で通らなかった場合は不支給となる点がデメリットと言えます。
両立支援等助成金の注意点
両立支援助成金はコースごとに要件が異なり、やや煩雑です。受給要件に合致するかどうかはもちろん、提出書類や添付資料の不備、申請期限には注意が必要です。
両立支援等助成金の審査通過ポイント
策定プランやプランにそって実施した取組が支給要領に合致しており、両立支援を促進する目標につながるものであるかがポイントになります。
助成金の相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ
助成金は上手く活用することで事業活動に大きなメリットを生む反面、申請方法が煩雑なため申請をあきらめてしまう事業者の方も多いようです。申請方法が分からない、自社が助成金の対象か確認したい、そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。
まとめ
少子高齢化による労働者の確保が困難になる中、家庭生活と仕事を両立できる職場環境づくりは企業の大きな課題となってきます。人材を確保し労働者のモチベーションを高め、企業全体の生産性を高めるために、ぜひ両立支援等助成金の申請を検討してみてください。