働きやすい環境づくり~不妊治療と仕事の両立支援①
2022/05/17
近年、晩婚化などを背景に不妊治療を受ける夫婦が増加しており、また、毎年妊娠される方のうち数万人が不育症の可能性があるといわれています。2018年に厚生労働省で実施した調査によると、不妊治療をしたことがある、またはする予定があるとの回答が14%となっています。
また、不妊治療などの生育補助医療による出生児の割合も2019年には全出生児の7%にあたり、約14.3人に1人の割合になります。
2022年4月からは体外受精などの不妊治療に対しての保険適用が拡大されています。
治療と仕事の両立は難しい?
しかしながら、不妊治療をしている方たちは「治療と仕事との両立」に苦しんでいます。先述の厚生労働省の調査によれば、不妊治療と仕事が両立できずに仕事を辞めた、または両立できず雇用形態を変えたと答えた割合が70%におよびました。
引用先 厚生労働省:不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
両立が難しい理由は、通院回数の多さ、精神面での負担の多さ、体調や体力面で負担が大きいためなどとなっています。待ち時間など通院にかかる時間が読みにくい、医師から告げられた通院日に外せない仕事が入ったり、仕事の日程調整が難しいという意見もあります。
引用先 厚生労働省:不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
引用先 厚生労働省:不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
また、不妊治療のことを職場で共有しているかという質問には、不妊治療をしている(または予定している)人のうち、「一切伝えていない(または伝える予定はない)」が最も多く、「職場ではオープンにしている(またはオープンにする予定)」と答えたのは1割強にとどまっています。職場でオープンにしていない理由は「不妊治療をしていることを知られたくないから」「周囲に気づかいをしてほしくないから」「不妊治療がうまくいかなかったときに職場に居づらいから」などの回答が多く、職場での不妊治療に対する意識や、それを受け入れる環境が十分に整っていないことがわかります。
残念なことに、不妊治療をしていることを職場に一部でも伝えている人のうち、職場で上司や同僚から心ない嫌がらせや不利益な取り扱いを受けたという人も一定数存在するのも事実です。
不妊治療の実態を把握している企業は少数
引用先 厚生労働省:不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
グラフからもわかるように、職場の8割の人が不妊治療についての実態を知らず、また約7割の企業で、不妊治療を行っている従業員の把握が出来ていません。
そもそもがセンシティブな問題でなかなかオープンにはしづらいものがあるかもしれませんが、周囲から理解を得られなかったり、また通院回数が多くなると職場に迷惑がかかってしまうのではないかといった不安も、治療と仕事を両立していくうえで難しくなってくることなのでしょう。
職場にとって重要な戦力である社員を失ってしまうのは企業にとってもマイナスなことです。
働きやすい環境づくりのためにはこの「両立支援」はひとつの大きなテーマになっていくと思われます。