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エンゲージメントサーベイとは【具体例】導入方法・企業事例・質問事項等、実施すべき企業を解説

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エンゲージメントサーベイとは【具体例】導入方法・企業事例・質問事項等、実施すべき企業を解説

エンゲージメントサーベイとは【具体例】導入方法・企業事例・質問事項等、実施すべき企業を解説

2024/10/22

エンゲージメントサーベイは組織と従業員の結びつきを検証し、分析するためのツールです。有効に活用すれば従業員のモチベーションを高めるとともに、生産性や業績を高めることもできます。

 

人材の確保がどんどん難しくなっている現状では、組織を継続的に成長させるためのツールを有効活用していくことが求められています。

 

 

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは組織と従業員の関係性を指標化する意識調査です。組織の理念、ミッション、バリューという目指すべき方向性や価値観に対して、従業員がどのように捉えているのかを確認します。

 

また、上司や同僚との関係性もあわせて調査することで、組織の課題や従業員の組織に対するコミットメントを測定します。

 

従業員満足度調査とエンゲージメントサーベイの違い

エンゲージメントサーベイと同じような調査で従業員満足度調査があります。労働環境、報酬、福利厚生、人間関係などに対する満足度を質問する調査です。

 

エンゲージメントサーベイが組織との結びつき、信頼関係から現在から将来に渡るパフォーマンスの向上や行動特性の把握を目的としているのに対して、従業員満足度は定点観測として、従業員の今の状況と組織の何に満足不満足なのかを調査します。

 

どんな組織がエンゲージメントサーベイを実施すべき?

エンゲージメントサーベイでは、従業員が組織の方針や価値観に共感し、どれくらい積極的に組織貢献するための行動をしているかを測定することができます。どの組織でも定期的に実施することが望ましいですが、とくに理念やミッション、バリューなどを、新たに制定したりしたり、組織や事業が拡大して変革の時期を迎えている組織には効果的です。

 

成長し続けている企業は、理念やミッションが浸透するよりも目の前の業務に忙殺されているケースがあります。そのような企業がエンゲージメントサーベイを実施することによって、組織的な基盤を構築しながら継続的に事業を成長させていくためのポイントが見つかることも多くあります。

 

また、経営者が交代した会社、事業構造が転換した会社なども組織の問題点を見つけるためにエンゲージメントサーベイは有用であることが多いです。

 

エンゲージメントサーベイの効果

エンゲージメントサーベイは、組織の状況を分析、測定するためのものですが、実施したからといって組織の問題が解決するわけではありません。

 

しかしながら、エンゲージメントサーベイの実施は「経営は従業員の意見を聞こうしてくれている」「経営は従業員を気にかけている」という従業員に対するメッセージになる場合も多くあります。

 

無論、エンゲージメントサーベイ実施後の組織改革を伴わなかった場合には、間違ったメッセージとして捉えられてしまうこともあります。エンゲージメントサーベイの最初の効果としては、管理職層に対して経営の方針を示し、今後の組織改革につなげていくという面が大きいです。

 

 

エンゲージメントサーベイのメリット・デメリット

 

メリット

メリットは大きく分けて3つあります。

 

1つ目は従業員の今の状態をデータで可視化できることです。具体的な調査項目に対して、数値分析できる回答が返ってきます。従業員の返答率が著しく低い場合は別ですが、多くの実施事例で判明しているようにエンゲージメントサーベイの回答率は高い傾向があります。100%の従業員から回答が得られることも多くあります。

 

2つ目は他社との比較ができることです。エンゲージメントサーベイは、サービス提供をしている事業者からどれかを選択して実施することがほとんどです。選択する段階で、自社と同業界・同規模の会社での実施事例が何件あるかなどはヒアリングすることができます。実名での比較は守秘の問題でできませんが、ある程度の比較をすることで業界内での自社のポジショニングを知ることもできます。

 

3つ目のメリットとしては、組織改善のポイントを知ることができます。従業員の本音を数値化することで明らかになる課題もあるでしょう。また、エンゲージメントサーベイのサービス提供事業者は、人事コンサルタントサービスを同時に提供していることも多くあります。こうした事業者から提案をうけること、他社での改善事例をヒアリングすることで自社の組織的な改善点が明らかになります。

 

デメリット

デメリットは、時間的なコストと労力がかかることです。全社的に実施するため、多くの従業員の時間を使います。事前のサーベイの設計、その後の組織改善のためには、人事部門と同時に経営者が時間と労力を使うことが求められます。

 

また、結果を適切に公開しない、組織の改善が行われない、社内への説明が不足している場合には、エンゲージメントサーベイをきっかけに組織風土が悪化する可能性もあります。

 

エンゲージメントサーベイの注意点

エンゲージメントサーベイの注意点は、主に3つです。

 

・実施目的と測定したものは何なのかを明確にする

・分析をする場合には数字の背景や相関関係にあるデータが何であるかを考える

・結果の公表と組織的な改善を行う

 

エンゲージメントサーベイの実施ポイント

実施する際のポイントは、注意点であげたことを問題化させないための準備を行うことです。

 

実施目的と測定指標を明確にするためには、経営の課題とエンゲージメントサーベイの内容をリンクさせることが必要です。経営課題から逆算して、エンゲージメントサーベイの測定内容を仮説検証しながら設定することで、やるべきことが明確になります。その結果として得られた改善施策は、経営陣に了承を得られる可能性が高いでしょう。

 

経営陣の合意を得た改善策とセットにして結果を公表すれば、従業員の理解も得られやすくなるでしょう。

 

 

エンゲージメントサーベイの質問項目

 

相応しくない質問項目

エンゲージメントサーベイは、組織的な問題を数値化して分析や検証します。数値化できないような質問項目では分析可能な結果が得られません。

 

シンプルでわかりやすく、はいかいいえで答えられる、もしくは数字的な指標で答えられる質問が適しています。相応しくない項目は、それらの反対となるような曖昧ではい、いいえ、数字で答えられない項目です。

 

また、個人の尊厳やプライベートを害するような質問も内容として相応しくありません。質問項目の内容ではありませんが、質問項目が多すぎても効果的な結果が得られない可能性があります。

 

質問項目の具体例

会社の理念の理解度を確認する質問をするには、理念を項目ごとに分解し、その共感度を確認する質問が良いでしょう。その上で「この会社で働くことに誇りを感じているか?」「経営陣は理念に基づき、事業計画と目標を設定していると感じるか?」という質問で重層的な確認を行うこともあります。

 

働きがいを確認する質問としては、「会社の事業目的、戦略、サービス内容を理解しているか?」「会社の事業の方向性と私のキャリアの方向性は一致しているか?」「会社は成長の機会を提供しているか?」という質問で、やるべきこと、やりたいこと、できることの一致が計画的に行われているか確認すると効果的です。

 

また職場の人間関係を確認する質問も効果的です。「上司はあなたの特性を理解して、仕事を割り振っているか?」「同僚と仕事の分担と協力はうまくいっているか?」などの質問で上司、同僚、または他部門などとの関係性を確認すると良いでしょう。

 

エンゲージメントサーベイの導入方法

導入には自社で質問項目を作成する方法と、サーベイサービス事業者が開発している内容を導入する方法があります。

 

自社で作成したり、外部業者にカスタマイズを依頼して独自のサーベイを構築するのには、非常に多くの時間と工数、経費が必要となります。他社との比較、効率的な導入を念頭に置くならば、外部のサービス事業者の中から自社に合った質問を準備している事業者を利用することが良いでしょう。

 

業者によっては、自社に必要な質問だけ抜き出すようなセミカスタマイズは可能です。

 

 

エンゲージメントサーベイの分析手段

 

クロス集計

クロス集計とは、異なる属性(セグメント)の回答、同一質問において比較することです。年齢、入社歴、部門、役職、人事評価など、どのようなセグメントで分けるかはサーベイの目的と仮説に寄って異なります。クロス集計をすると、異なる属性間で生じた差や理由が、エンゲージメントに与える影響を分析できます。

 

因子分析

因子分析は統計学のデータの分析手法です。因子分析を行うと、複数の設問に対する回答から、共通する因子を抽出することができます。つまり、エンゲージメントが高い社員に共通する要素や、低い社員に共通する要素を抽出して比較検討することで組織における問題点を洗い出します。

 

回帰分析

回帰分析は、特定の要素と分析したい要素の関連性を分析します。例えば社内の人間関係が、どのようにエンゲージメントに影響するかを把握する際は、回帰分析を使う場合があります。

回帰分析は、主に3種類あり、要素が単独の単回帰分析、要素が複数の重回帰分析、数学的な分析を使うロジスティック回帰分析に分類されます。

 

クラスター分析

傾向が似ている回答者を同じグループに分類して、それぞれのグループごとで結果を比較する手法を、クラスター分析と呼びます。クラスター分析をすると、グループの状態に応じた分析を行うことができます。

 

クラスター分析には、少量のデータ分析に適した階層クラスター分析と大量のデータ分析に向いている非階層クラスター分析があり、使い分けが必要です。

 

エンゲージメントサーベイの企業事例

エンゲージメントサーベイを実施している企業としては、スターバックスがあります。

 

スターバックスには、サービスに関するマニュアルがほとんどありません。スターバックスの価値観をスタッフに浸透させ、スタッフが自発的に行うことを重要視しています。それらを図る上で、エンゲージメントサーベイで会社の価値観に共鳴しているかを定期的に測定し、組織的な改善に活かしています。

 

スターバックスではスタッフをパートナーと呼び、従業員はスターバックスという会社と対等であり、尊重される存在であると定義しています。スターバックスでは会社の価値観を浸透させるとともに、個人としての将来像や目標をパートナーに考えもらい、その上でスターバックスの仕事で何を身につけたいかを共に考え「個人の成長目標」を決めていきます。

 

まとめ

エンゲージメントサーベイを行うことで組織内の人的課題を測定し、分析することができます。組織的なトラブル防止や組織活性化につなげることができます。

 

実施の際は、準備をきちんと行うことが最も重要です。自社に合ったエンゲージメントサーベイを設計し、分析したうえで、最適な改善施策を講じる必要があります。そのためには、経営陣に実施と改善の決断をもらうと同時に、従業員の理解を促進する活動をし続けることが重要です。

 

ストレスチェック・モラールサーベイ・パルスサーベイとの比較

 

ストレスチェック

ストレスチェックは、従業員一人ひとりが自身のストレス状態を正しく把握し、心身の不調を予防することです。従業員50人以上の従業員が働く事業所では、年1回のストレスチェックの実施が義務付けられており、50人未満の事業所でも実施は「努力義務」とされています。エンゲージメントサーベイでは組織全体の問題を抽出するのが目的ですが、ストレスチェックでは質問をストレスに絞り、ストレス不調者を抽出し、事前に治療と対策を行うことを目的としていることが違いです。

 

モラールサーベイ

モラールサーベイは従業員満足度調査とも呼ばれています。従業員の、「やる気」「不満」を測定することが目的のため、質問は職場環境や報酬に対する意識調査が中心となります。エンゲージメントサーベイは、会社と従業員のエンゲージメント(結びつき)を測定する調査で、満足度だけではなく会社への貢献、価値観の一致など中長期にわたる関係性を問う質問も多く見られます。。

 

パルスサーベイ

パルスとは脈拍という意味です。パルスサーベイは1週間から1ヶ月などの短期間で行われることが多く、質問も多くて10問程度であることが多いです。短期間で調査を繰り返すことで、現場の状況をリアルタイムで把握し、短期間でフィードバックしていくためのサーベイです。まずはエンゲージメントサーベイで全体の状況を分析し、その後短期間で確認する項目に絞ってパルスサーベイを行うと効果的です。

 

 


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