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女性活躍推進法とは?罰則や助成金、企業が取り組むべき内容、専門用語などを詳しく解説

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女性活躍推進法とは?罰則や助成金、企業が取り組むべき内容、専門用語などを詳しく解説

女性活躍推進法とは?罰則や助成金、企業が取り組むべき内容、専門用語などを詳しく解説

2024/10/30

女性活躍推進法を理解し、女性が活躍できる環境を整えることは、組織にとって大きな価値を持ちます。女性の活躍を促進するこの法律は、単に女性社員の働きやすさを向上させるだけでなく、企業の組織力や生産性の向上にも直結します。

 

導入にあたっては助成金をはじめとする支援も充実しており、今まさに企業が積極的に取り組むべきタイミングです。

 

本記事では、罰則や助成金、必要な取り組み内容、そして専門用語について詳しく解説し、女性活躍推進法の効果的な活用方法をお伝えします。

 

 

女性活躍推進法とは

 

女性活躍推進法とは、正式には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。女性の働き方、環境を改革して、関連情報の見える化・活用の推進を目的とした法律です。 働きたくても働けない女性や管理職の女性割合が少ない日本の問題を解消するために制定されました。

 

2016年4月から施行されており、2020年と2022年に改正されています。就労状況・条件の男女差を解消し、男性の暮らし方や意識改革も進めることで、女性が活躍できる社会にするため導入されました。なお、女性活躍推進法は10年間の時限立法となっています。

 

目的・背景

女性活躍推進法が制定された背景には、日本の女性活躍が世界と比較して遅れていることがあげられます。

ジェンダー・ギャップ指数は、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が発表した「The Global Gender Gap Report 」によれば、2021年で156か国中120位、2022年で146か国中116位と、先進国の中では最低レベルに位置しており、長年にわたって日本の問題となっています。このことは内閣府の男女共同参画局のWEBサイトに掲載されており、日本の大きな問題であると認識されています。

 

前述の「The Global Gender Gap Report 」によれば、特に経済や政治分野の順位が低いのが日本です。例えば、政治分野では国会議員の女性割合が9.9%、大臣の女性割合が10%です。また、経済分野では、管理職の女性の割合は14.7%、女性の平均所得は男性より43.7%低くなっていることが大きな問題となっています。

 

数値の出典元 内閣府 男女共同参画局 WEBサイトの各年度資料:https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/index.html

 

3つの基本原則

女性活躍推進法には3つの基本原則があります。要約すると以下のようになります。

 

1.女性の職場における活躍の機会が積極的に提供され、個性と能力が発揮できる環境を作る

2.男女双方が、仕事と家庭を継続的に両立できる環境を作る

3.本人の意思が尊重される環境を作る

 

女性活躍推進法の条文

女性活躍推進法の条文は以下のような構成になっています。

 

第一章 総則(第一条―第四条)

第二章 基本方針等(第五条・第六条)

第三章 事業主行動計画等

第一節 事業主行動計画策定指針(第七条)

第二節 一般事業主行動計画等(第八条―第十八条)

第三節 特定事業主行動計画(第十九条)

第四節 女性の職業選択に資する情報の公表(第二十条・第二十一条)

第四章 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置(第二十二条―第二十九条)

第五章 雑則(第三十条―第三十三条)

第六章 罰則(第三十四条―第三十九条)

附則

 

また、2022年(令和4年)4月1日より、女性活躍推進 法に基づく一般事業主行動計画の策定・周知・公表 や情報公表の義務の対象範囲が、常時雇用する労働 者数が301人以上の事業主から101人以上の事業主 まで拡大されています。

 

なぜ女性活躍推進法がつくられたの?

※以降の数値、調査の出典元

厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進等に係る現状及び課題

 

働いていない就業希望の女性がいる

労働意欲があるにも関わらず、再就職できない女性が多いことは日本の課題です。2021年の15〜64歳の女性の就業率は71.3%、2022年は72.4%、2023年は73.7%となっています。

 

コロナ後に徐々に向上しているものの、厚生労働省が公表した「女性の活躍推進が求められる日本社会の背景」では、女性の就業率と潜在労働力率の差が大きいことがわかっています。

 

産後の就業継続が難しい

第1子出産を機に約5割の女性が離職するなど、出産・育児を理由に離職する女性は依然として多いのが現状です。厚生労働省の調査では、出産1年前の有職率は70~75%で推移していますが、出産半年後の有職率は30~35%で推移しています。

 

出産を機に退職した理由としては、第1位は「家事育児に専念するため」ですが、第2位は「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立が難しいので辞めた」となっています。

 

出産や育児後は非正規雇用労働者が多い

厚生労働省の調査によれば、 就業を希望しながらも働いていない女性(就業 希望者)は約231万人にのぼります。出産・育児後に再就職した場合も、パートタイム 労働者等になる場合が多く、女性雇用者における非正規雇用労働者の割合は56. 0%となっています。

 

管理職の女性割合が低い

管理的立場にある女性の割合は約15%(2019年)と、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、国際的に見ても低いのが現状です。

 

女性が責任ある立場を得られていない現状の理由としては、男性中心の組織風土が残っていること、育児と仕事を両立させる制度が整備されていないこと、社内にロールモデルの存在が少ないことなどがあげられます。

かつて政府は2020年の段階で、管理的立場の女性比率の目標を30%としていましたが、その半分にも満たないのが現状です。

 

 

【法改正後】女性活躍推進法で義務化された内容

 

女性活躍推進法で義務化された内容は主に3つです。

 

1.女性活躍に関する情報公表の義務化

2.労働者101人以上300人以下の事業主での一般事業主行動計画の策定・届け出の義務化

3.男女の賃金格差の公表義務化

 

一般事業主行動計画の策定や情報公表はこれまでも義務化がされてきましたが、2022年4月からは、労働者101人以上300人以下の事業主にも義務化されたことで、対象となる事業主が拡大されました。実際の事業主数と届出を行っている事業主数には大きな開きがあると言われています。

 

【改正】女性活躍推進法の目的に沿った対応・取り組み方とは?

改正女性活躍推進法の目的に沿った対応・取り組み方は、組織ごとに様々です。ただし、労働者が101人以上の組織には義務化された内容があるため、取り組み方は計画性をもって進めることが必要です。

 

取り組み方のステップとしては以下の流れが一般的です。

 

1.自社の女性の活躍状況を数値で把握し、課題を分析する

2.組織の経営方針、事業目標に合わせて課題を解決する意味を明確にする

3.経営者側で、組織の事業計画に女性の活躍状況の改善を盛り込む判断を下す

4.組織数値目標と取組内容を盛り込んだ行動計画を策定・届出・周知・公表する

5.補助金の申請なども含む予算の確保、主導するメンバーの確保を行う

6.計画を実行するとともに確認と改善を行う

 

【政府実施】女性活躍推進法への取り組み

 

政府は指針として以下の女性活躍推進法への取組みをあげています。

 

1.2025年までに女性役員の比率を19%にすること

2.2030年までに女性社員比率と女性管理職比率を30%にすること

 

ちなみに「2030年までに女性管理職比率を30%にする」という目標は、内閣府のサイトでは「国連ナイロビ将来戦略勧告で提示された30%の目標数値や諸外国の状況を踏まえて」と説明されています。30%という数値は「クリティカル・マス」と呼ばれる比率で、組織に質的な変化を起こす目安とされています。

 

えるぼし認定制度

えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づき、女性が働きやすく、女性の活躍を推進している企業が取得できる制度です。 えるぼしの「える」はアルファベットの「L」に由来し、「Lady」や「Lead」、「Laudable」などを意味します。

厚生労働省が運営しており、認定を受けた企業は「えるぼし」のマークを使用できるようになり、企業のイメージ向上や人材確保に役立ちます。

 

えるぼし認定制度の取得メリット

企業が女性活躍推進の取り組みとしてえるぼし認定を取得すると、次のようなメリットが期待できます。

 

・労働省の公表や自社広告に認定マークを掲載できる

・女性活躍加速化助成金や公共調達の優遇措置が受けられる

・企業イメージの向上につながる

・女性の採用力が上がる

 

えるぼし認定制度の評価項目

えるぼし認定には、企業の取り組みを評価する5つの項目が設けられており、基準をどれだけ満たしているかで、3つのグレード(★1〜3)が与えられます。評価項目は次の通りです。

 

1.採用:男女の採用比率や競争倍率のバランス

2.継続就業:男女の継続就業年数のバランス

3.労働時間等の働き方:残業時間や勤務制度の柔軟性

4.管理職比率:管理職に占める女性比率

5.多様なキャリアコース:非正社員からの正社員転換など、女性がキャリアアップできる制度の有無

 

認定グレードが高いほど、企業が女性の活躍推進に対して包括的な取り組みを行っていると認められます。

 

「女性の活躍推進企業データベース」の運営

認定を受けた事業主は、「⼥性の活躍推進企業データベース」に基準を満たした項目を実績として公表し、基準を満たさない項目は「事業主行動計画策定指針」により当該項目に関連する取り組みをおこない、その実施状況を公表する必要があります。

 

また、認定取得後の実績や取り組み状況についても、毎年1回以上公表することが求められています。

 

 

女性活躍推進法に違反するとどうなる?

女性活躍推進法には罰則規定がないため、義務を怠っても法的処罰を受けることはありません。ただし、次のような場合に厚生労働大臣による対応がなされる可能性があります。

 

①公表義務のある事業主が公表をしなかったり虚偽の公表をした場合

②厚生労働大臣から報告を求められたにもかかわらず、報告をせず、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料に処せられる可能性があります。

 

また、女性活躍推進法に違反すると、企業イメージの損ないや人材確保の難しさにつながる可能性があります。

 

女性活躍推進法に関する助成金

 

両立支援等助成金

少子化が進む中、厚生労働省は従業員が、働きながら育児休業や育児目的の休暇を取得しやすい環境を企業が整備できるよう制度を導入したり、女性の活躍推進のための取り組みを行う事業主に金銭的な支援をする助成金を設けています。この助成金制度を「両立支援等助成金」と呼びます。

 

 

女性の活躍推進助成金(ジョカツ!)

都内で事業を営んでいる中小企業向けに、女性の新規採用・職域拡大を目的として、女性が少ない職種等に積極的に女性を新規採用・配置する都内中小企業等に対し、職場環境の整備に係る経費の一部を助成します。女性の新規採用・職域拡大を目的とした女性専用設備等の整備費用が該当します。トイレ、洗面所、更衣室、休憩室、仮眠室、ベビールーム(子ども連れで出勤した場合の授乳・オムツ替えなどのスペース)の整備などが該当します。

 

女性活躍推進法で知っておきたい用語

 

M字カーブとは?

M字カーブは、日本の女性が結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだすという特徴を反映したグラフです。この形は、日本の労働環境が、出産・育児に関わらず就業を継続することがむずかしいことや、女性に家事・育児を負担させるような性別的役割の考え方が根強く残っていることを表していると言われています。

M字カーブは、20歳代後半から40歳代前半にかけて労働力率が低下し、30歳代を谷となっています。これは結婚や出産を機に女性が仕事を辞めるため、労働力率が低下するための減少です。育児が落ち着いた時期に再び女性が仕事に復帰するため、労働力率が上昇します。

 

L字カーブとは?

女性活躍推進の課題を表す言葉のひとつに「L字カーブ」があります。これは、女性の正規雇用率を年齢階層別に線グラフで示したときに、20代後半でピークを迎え、その後右肩下がりで低下していく現象を指します。

グラフがアルファベットの「L」を時計回りに寝かせた形に見えることから、この名前が付けられました。

 

まとめ

年々少子高齢化が深刻化しており、人材採用が課題になっています。女性が働きやすい環境を作ることは、新しい組織風土を構築することにもつながります。共働き世帯が増える中、男性の家事・育児参加も求められているため、女性の活躍の推進は男性の働きやすい環境の実現にもつながります。

女性の活躍を推進する方法は数多くあるため、自社に適した取り組みを検討しましょう!

 


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