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働き方改革推進支援助成金とは?全コース内容・メリットやデメリット・申請方法を解説

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働き方改革推進支援助成金とは?全コース内容・メリットやデメリット・申請方法を解説

働き方改革推進支援助成金とは?全コース内容・メリットやデメリット・申請方法を解説

2024/02/28

少子高齢化や育児・介護との両立など働く方のニーズの多様化により、労働者の確保が難しくなっています。昨今、企業において、雇用機会の拡大や労働者が個人個人の状況に応じて多様な働き方を選択できる環境整備は急務です。

 

労働時間の縮減や年次有給休暇の促進といった労働環境の整備を行う際、ぜひ利用したいのが「働き方改革推進支援助成金」です。「働き方改革推進支援助成金」は、中小企業が就業環境を改善し事業の生産性を向上させることを目標とし、有給休暇の取得推進や時間外労働の削減といった働き方改革に取り組む際、その環境整備に必要な費用の一部を助成する制度です。

 

この記事では、当制度の概要や対象者についてコース別に解説していきます。

 

 

働き方改革推進支援助成金とは

 

働き方改革推進支援助成金には5つのコースが設けられており、それぞれ助成内容が異なり達成すべき成果目標もコース別に設定されています。この記事では、各コースの概要や対象事業主について詳しく解説します。

 

働き方改革推進支援助成金のコース内容

 

適用猶予業種等対応コース

 

2024年4月より、これまで規制猶予されていた建設業、運送業、病院等、砂糖製造業といった、適用猶予業種等へも時間外労働の上限規制が適用されました。「適用猶予業種等対応コース」は、これらの業種の事業者が従業員の時間外労働の削減や週休2日制の推進といった労働環境の整備、働き方改革の取組に対して助成される制度です。

 

成果目標の達成を目指し、下記の1~9の取組のいずれか1つ以上を実施し、達成状況に応じ助成金が支給されます。対象となる取組は「団体推進コース」以外の4コースは同内容となっています。

 

対象となる取組

1. 労務管理担当者に対する研修

2. 労働者に対する研修、周知・啓発

3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング

4. 就業規則・労使協定等の作成・変更

5. 人材確保に向けた取組

6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新

7. 労務管理用機器の導入・更新

8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

9. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

※研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます。

※パソコン、タブレット、スマートフォン等、汎用性があると考えられる機器は原則対象外です。

 

対象事業主

「適用猶予業種等対応コース」は下記の1〜4すべての条件を満たす事業主が対象です。

 

1

労働者災害補償保険(労災保険)が適用されている

2

交付申請時点で成果目標の設定に向けた条件を満たしている

(成果目標については厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」に詳細が記載されています)

3

交付申請時点で、対象事業場において年5日の年次有給休暇の取得に向け就業規則を整備している

4

常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等については5,000万円以下)の建設業・運送業・病院等・砂糖製造業の事業を行っている

 

労働時間短縮・年休促進支援コース

 

2020年4月1日から、中小企業に時間外労働の上限規制が適用されています。「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、これに対応し生産性を向上させ、時間外労働の削減や有休・特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む事業者に助成金が給付される制度です。

 

成果目標の達成を目指した取組を実施し、その達成状況に応じ助成金が支給されます。対象となる取組は「団体推進コース」以外の4コースは同内容となっています。「労働時間短縮・年休促進支援コース」については、上記「適用猶予業種等対応コース」に記載しています。

 

対象事業主

「労働時間短縮・年休促進支援コース」は下記の1~3すべての条件を満たす事業主が対象です。

 

1

労働者災害補償保険(労災保険)が適用されている

2

交付申請時点で成果目標の設定に向けた条件を満たしている

(成果目標については厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」に詳細が記載されています)

3

交付申請時点で、対象事業場において年5日の年次有給休暇の取得に向け就業規則を整備している

 

勤務間インターバル導入コース

 

2019年4月から、勤務終了後、一定時間以上の休息を設け、労働者の生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入が努力義務化されています。成果目標の達成を目指した取組を実施し、その達成状況に応じ助成金が支給されます。

 

対象となる取組は「団体推進コース」以外の4コースは同内容となっています。「勤務間インターバル導入コース」については、上記「適用猶予業種等対応コース」に記載しています。成果目標については厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」をご参照ください。

 

対象事業主

「勤務間インターバル導入コース」は下記の1~5すべての条件を満たす事業主が対象です。

 

1

労働者災害補償保険(労災保険)が適用されている

2

次のいずれかに該当する事業場を有している

  • 勤務間インターバルを導入していない事業場
  • 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
  • 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場

3

交付申請時点及び支給申請時点で、対象事業場において36協定が締結・届出されている

4

対象事業場において過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある

5

交付申請時点で、対象事業場において年5日の年次有給休暇の取得に向け就業規則を整備している

 

労働時間適正管理推進コース

 

2020年4月1日から、賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されました。「労働時間適性管理推進コース」はこれに対し、生産性を向上させ、労務の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に助成される制度です。

 

対象となる取組は「団体推進コース」以外の4コースは同内容となっています。「労働時間適性管理推進コース」については、上記「適用猶予業種等対応コース」に記載しています。成果目標については厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)」をご参照ください。

 

対象事業主

「労働時間適性管理推進コース」は下記の1〜5すべての条件を満たす事業主が対象です。

 

1

労働者災害補償保険(労災保険)が適用されている

2

対象事業場において、交付決定日より前の時点で、勤怠管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを有していない

3

交付申請時点及び支給申請時点で、対象事業場において36協定が締結・届出されている

4

対象事業場において、交付決定日より前の時点で、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていない

5

交付申請時点で、対象事業場において年5日の年次有給休暇の取得に向け就業規則を整備している

 

団体推進コース

 

中小企業事業主の団体・連合団体が対象となる助成金です。傘下の事業主が時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組を実施した場合、その事業主団体等に対して費用の一部が助成されます。

 

成果目標の達成を目指し、下記の1~10の取組のいずれか1つ以上を実施し、達成状況に応じ助成金が支給されます。成果目標については厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」をご参照ください。

 

対象となる取組

1. 市場調査の事業

2. 新ビジネスモデル開発、実験の事業

3. 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)の事業

4. 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業

5. 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業

6. 好事例の収集、普及啓発の事業

7. セミナーの開催等の事業

8. 巡回指導、相談窓口設置等の事業

9. 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業

10.人材確保に向けた取組の事業

 

対象団体・連合団体

対象となる団体は、3事業主以上(共同事業主においては10事業主以上)で構成されており、それぞれ次のいずれかに該当し、1年以上の活動実績がある事業主団体等です。

 

事業主団体

  • 企業組合、商工組合といった法律で規定する団体等
  • 上記以外の法人格を有する事業主団体であって、次の1~4に該当する団体
  1. 団体の目的、組織、運営及び事業内容を明らかにする規約等を有する
  2. 法人格を有する代表者と事務局の組織が制定されている
  3. 構成事業主が労働時間等の設定の改善に向けた気運の醸成、啓発等の事業を適正に実施できる
  4. 定款、会則等において、構成事業主への指導等の規定を有している

 

共同事業主

  • 共同する全ての事業主の合意に基づく協定書を作成している等の要件を満たしている

 

上記のほか、対象となる事業主団体・共同事業主についてはそれぞれ細かな条件が設定されています。条件は厚生労働省「申請マニュアル」をご参照ください。

 

働き方改革推進支援助成金のメリット

働き方改革推進支援助成金を利用することで、下記のメリットが期待できます。

 

労働環境の改善が可能

 

企業が時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進への取組に注力することで、労働者の負担や就業環境の改善につながります。

 

従業員のワークライフバランスの向上

 

働き方改革推進支援助成金に該当する取組により、有休休暇や時間外労働の削減等が促進されることで、従業員のワークライフバランスは向上します。結果として従業員の仕事へのモチベーションがアップし、企業全体の生産性の向上につながります。

 

事業成長・社会的イメージの向上

 

前述の従業員のワークライフバランスや企業全体の生産性向上は、企業の売上アップや利益増大を支える大きな力となります。労働者を大切にする取り組みは社会的な信用につながります。企業で働きたいという人が増え、優秀な人材の確保が可能となります。

 

働き方改革推進支援助成金のデメリット

 

反面、下記をデメリットと感じられる事業者もおられます。

 

申請手続きが複雑

 

助成金を受給するためには申請手続きが必要です。必要書類も多く手間がかかる点がデメリットと言えます。また、制度の見直しでコースが頻繁に新設されたり廃止されたりといったこともあり、申請の際、常に新しい情報をしっかりと把握することが必要です。

 

助成金受け取りまでに時間がかかる

 

助成金は申請後すぐに振り込まれるわけではなく、交付申請、取組の実施、支給申請後に審査が実施され、承認されて初めて支給が決定します。助成金の交付申請から支給までは時間がかかり、なおかつ万が一審査で通らなかった場合は不支給となる点がデメリットと言えます。

 

働き方改革推進支援助成金の申請プロセス

 

基本的な申請プロセスは下記の通りです。

 

助成金の申請手続きの流れ

1. 交付申請 交付申請書の提出

交付申請書と事業実施計画を作成の上、必要資料とともに管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。申請に添付が必要な資料は、各コースの申請マニュアル内「Ⅲ 申請書類等の書き方と留意点 交付申請時の提出書類一覧」に記載されています。

 

交付申請書のひな形やマニュアルは厚生労働省HPよりダウンロード可能です。

働き方改革推進支援助成金 (適用猶予業種等対応コース)

働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)

働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)

働き方改革推進支援助成金 (労働時間適正管理推進コース)

働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)

 

2. 交付決定後 事業実施

事務局にて提出書類確認後、交付・不交付の審査が行われ、交付決定次第、決定通知が届きます。この後、計画した事業を実施します。

 

3. 事業実施後 助成金支給申請書を提出

事業を実施し、事業実施予定期間が終了した日から起算して 30 日後の日、または事務局で事前に設定(募集回ごとに異なります)された期日までに支給申請書と事業実施報告書に添付資料を添えて、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。

申請に添付が必要な資料は、各コースの申請マニュアル内「Ⅲ 申請書類等の書き方と留意点 支給申請時の提出書類一覧」に記載されています。交付申請時と同様、支給申請書のひな形やマニュアルは厚生労働省HPよりダウンロード可能です。

 

4. 助成金受給

支給申請書や実施した事業報告書をもとに事務局で審査が行われ、問題がなければ助成金確定となり、助成金受給となります。

 

 

働き方改革推進支援助成金申請時の注意点

  • 助成金の申請は、交付申請から事業実施報告まですべて完了し、事務局の承認後に受給が確定します。申請した事業者すべてに受給されるものではない点、受給まで時間がかかる点に注意が必要です。
  • 助成が適用される費用は、交付決定後に契約や支払いがなされたものに限られます。交付決定前に発生した費用は適用されません。
  • 助成事業の費用の支出は、原則振込払いとなります。支払いに関する請求書・振込依頼書といった帳票の添付が必要となります。

 

働き方改革推進支援助成金の審査ポイント

 

下記に働き方改革推進支援助成金に申請する際にポイントとなる点を3点ご紹介します。

・事業内容が各コースで設定されている成果目標達成を目指すための取組となっているか

・助成申請されている経費が対象外のものではないか

・規定の期日、様式を使用して必要な申請や報告がなされているか

 

助成金の相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ

 

働き方改革推進支援助成金について解説してきました。少子高齢化が進み、労働者の確保が難しい昨今、労働環境の改善、生産性の向上は企業にとって急務と言えます。

 

これらの取組には助成金の利用が大変効果的ですが、間違いなく書類作成を行い、スムーズに申請を行うためには正しい知識が必要です。働き方改革推進支援助成金の内容で疑問をお持ちの方、申請のすすめ方に不安がある方は、ぜひ一度プロのアドバイスを受けられることをおすすめします!

 

サプナ社会保険労務士法人は、助成金に関する充分な知識と豊かな案件対応実績を併せ持つスタッフが在籍しております。安心して間違いのない申請を行えるよう、事業者様をサポートいたします。

 

 

まとめ

 

社内のすべての労働者のモチベーションを高め、事業全体の生産性を高めるために、この記事を参考にぜひ働き方改革推進支援助成金の申請を検討してみてください。


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