2022年10月1日からの「育児・介護休業法」改正で必要な会社側の対応
2022/04/11
2022年4月1日から改正が3段階に分けて施行される「育児・介護休業法」。10月からの改正点が今回の大きな柱となっています。
・産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
・育児休業の分割取得
2022年10月1日までに就業規則の変更が必要
改正に伴い、会社側は2022年10月1日までに就業規則の変更、書式の準備が必要です。
産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間まで休暇を取得可能です。それには要件を満たした従業員が申出をすることが必要です。申出にあたっては、項目も決められており、具体的には「出生時育児休業申出書」にある項目や内容について書面で行います。会社側は就業規則の変更と同時に、こちらの書式の準備も併せて必要になります。
必要に応じて労使協定の締結も必要に
また申出の期限は原則として出生時育児休業を開始しようとする日の2週間前までですが、この申出が円滑に行われるようにするための「雇用環境整備」の実施することを定めた労使協定を締結することで、2週間から1ヶ月以内の範囲内の申出期限を労使協定で定めることが出来ます。その場合も10月1日までに締結する必要があります。この実施することを定める「雇用環境整備」は以下の内容1~3のすべてになります。
1.①~⑤のうち2つ以上の措置を講じること
①育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
②育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③自社の従業員の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
④自社の従業員への育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
⑤育児休業を申し出た従業員が育児休業を円滑に取得できるための業務の配分、人員の配置に必要な措置
の実施
2.育児休業の取得について定量的な目標を設定し、育児休業の取得促進に関する方針を周知すること
3.育児休業の申出について従業員の意向確認を実施し、その意向を把握するための取組みを行うこと
この定量的な目標とは数値目標であり、男性の育児休業の取得状況に関する目標設定が必須です。
また出生時育児休業は期間内であれば、2回に分割して取得することが可能です。ただし2回に分割して取得する場合であっても、原則申出は1回にまとめて行います。まとめて申出をしなかった場合、会社側は2回目以降の出生時育児休業に係る申出を拒むことが出来ます。会社が2回に分割した申出を認めることも問題はありません。
育児休業中も就業が可能になります
出生時育児休業の特徴の1つが、休業中に事前に会社と従業員で個別に取り決めした日や時間に就業が出来ることです。就業を可能とするためには、出生時育児休業期間中に就業させることが出来る従業員の範囲について労使協定を締結することが必要です。そのうえで従業員が書面にて以下を含めた就業の希望を会社側に申し出ます。
・就業することが出来る日
・就業可能な時間帯その他労働条件(テレワークの可否等)
これに対し会社側は
・就業することが出来る日のうち、就業させることを希望する日(就業させることを希望しない場合はその旨)
・就業させることを希望する日の時間帯、その他の労働条件
を申出をした従業員に対し書面にて通知します。このとき従業員が申し出た就業可能日に必ず就業させるというものではなく、就業させないことも可能です。
この会社側の提示に対して、休業開始予定日の前日までに従業員が同意を行った範囲内で就業させることが出来ます。同意を得た場合は、同意を得た旨、就業させることとした日時、その他の労働条件を従業員に書面にて通知します。
育児休業は、子どもを養育するために一定の期間、労働の義務を免除する制度です。そのことから育児休業中は就業しないことが原則です。そのため就業期間中の就業については、会社側から従業員に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、従業員の意に反するような取扱いは出来ません。そして従業員側も育児休業中の就業に関しては上限が定められています。
・休業期間中の就業日数の合計は、出生時育児休業期間の所定労働日数の半分以下
・休業期間中の労働時間の合計は、出生時育児休業期間の所定労働時間の合計の半分以下
・出生時育児休業開始予定日、出生時育児休業終了予定日に就業する場合は、所定労働時間に満たない時間
このように2022年10月からは新制度もスタートし、現行制度との変更点も多くあります。就業規則を変更するにあたり、併せて各規程の見直しも必要になってきます。早めに準備に取りかかりましょう。
労使協定の例や各社内様式の例などは厚生労働省のホームページに掲載されています。