【専門家監修】研修効果が劇的に変わる!5つの重要ポイントと成功事例をわかりやすく紹介
2024/11/29
社内研修は、従業員のスキル向上やモチベーション向上を目的とするだけでなく、組織全体の生産性やエンゲージメントを高める重要な施策のひとつです。
しかし、「研修を実施しても成果が見えにくい」「受講者が積極的に参加しない」といった課題に直面している企業も多いのではないでしょうか?
本記事では、研修効果を劇的に変えるためのポイントや成功事例についてわかりやすく解説します。自社の研修を見直すきっかけにぜひお役立てください。
社内研修の効果を高める方法とは?
社内研修の効果を高める方法として、以下の3点を紹介します。
研修のゴールを明確にする
社内研修を企画する際には、あらかじめ研修を通して実現したいゴールを明確にしたうえで、資料や説明などの内容が一貫するようにしましょう。
受講者への動機づけを行う
受講者に研修を受ける意義や重要性をきちんと説明し、モチベーションを持たせることも重要です。研修の目的や習得すべき内容を直属の上司から伝えるのがおすすめです。
受講者が集中できるよう工夫する
ロールプレイングやケーススタディなど、受講者が積極的に研修に参加する形式を取り入れましょう。また、集中を保つため、適切なタイミングで休憩や場面転換を取り入れることも有効です。
社内研修の費用対効果確認方法
社内研修を効果的に運営するためには、実施後の費用対効果をしっかり確認することが重要です。こちらでは研修の成果を具体的な数値で評価する方法についてご紹介します。
ROI分析
社内研修の費用対効果を確認する方法として、代表的なのがROI分析です。
ROIとは、「Return On Investment」の略語で、投資利益率や費用対効果を表します。社内研修の費用対効果を確認するには、以下の計算式を使って計算するようにしましょう。
ROI(%)=(研修によって得られた利益 ÷ 研修にかかった費用)× 100
「研修によって得られた利益」は、研修の目的に基づいて算出します。たとえば、業務効率化のための研修を導入している場合、研修導入後に削減できた人件費を計算することで、利益額を求めることができます。
もしROIが100%を下回る場合は、研修によって得られた利益が費用を下回ることになるため、十分な価値を生み出していないと考えられます。
さらに、前年度や他部署と比較することで、研修の費用対効果をより詳しく分析することが可能です。たとえば、研修を改善する前後でROIを比較し、数値が改善していれば、十分な費用対効果を得られたといえるでしょう。一方で、ROIの数値が下がっている場合には、研修方法を見直す必要があるかもしれません。
ぜひROI分析を活用して、社内研修の費用対効果を確認してみてください。
社内講師・社外講師のどっちが効果的?
社内研修の効果を高めるには、社内講師と社外講師のどちらがよいのでしょうか?
結論としては、企業に特化した内容を教える場合には、社内講師の方が効果的です。一方で、社内にはない知見やノウハウを獲得したい場合には、社外講師を活用するのがおすすめです。
それでは、社内講師と社外講師のメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
社内講師|メリット・デメリット
社内講師とは、人事部や教育担当者など、研修を開催する社員のことをいいます。社内講師を活用するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
・社内のルールや考え方、企業独自の技術やノウハウなど、企業に特化した研修ができる
・部署の特徴や、社員の目線など、社内の事情を理解したうえで講義を行うことができる
・金銭的なコストがかからない
デメリット
・社内にはない知識やノウハウを教えることが難しい
・研修準備の負荷による他業務への影響が懸念される
・講師によって教える能力に差が出る
社外講師|メリット・デメリット
社外講師とは、アウトソーシングサービスなどを活用し、社外から招致する講師のことです。社外講師を活用するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
・プロフェッショナルから学ぶことで、社内にはない知見やノウハウを吸収することができる
・プログラム内容が標準化されているため、すぐに研修を開催できる
・社員にかかる負担を最小限にすることができる
デメリット
・外部の人間であるため、企業に特化した内容を教えるのは難しい
・社外講師に頼ってばかりだと、いつまでも研修企画や運用のノウハウが社内に蓄積しない
・講師を招致するにあたって、金銭的なコストがかかる
社内研修の効果を高めるポイント5選
この章では、社内研修の効果を高めるために、企画・運営の段階で意識したいポイントを紹介します。
社内研修の目標を決める
社内研修の目標設定がはっきりしていると、研修プログラムの内容や講師の説明が一貫したものになるため、受講者がねらい通りの学びを得やすくなります。
プログラムの設計を明確にする
プログラムの設計が明確になることで、受講者がスムーズに研修を理解することができます。また、講師にとっても説明しやすくなります。
講師の選定・社外講師の活用
適切な講師を選定することで、研修の質が上がり、受講者がより深い学びを得ることができるようになります。必要に応じて、社外講師を活用することも有効です。
社内研修の効果測定をおこなう
研修の際に効果測定をすることで、研修の課題が抽出され、受講者へのフォローアップや次回研修の改善を行うことができます。
研修コストとメリットのバランスを考慮する
研修を運営する際には、コストとメリットのバランスを考慮することも重要です。研修の目的を明確化し、時間や工数、費用を割くべきポイントを整理することで、効果を得るために必要な投資を割り出すことができます。
社内研修の目標の決め方
社内研修の目標を設計する際には、ありたい姿を明確にしたうえで、現状とのギャップを把握し、課題を設定することが重要です。
まずは、企業のビジョンや経営戦略をもとに、組織が向かうべき方向性や社員に求めるスキルを可視化します。このとき、階層や職種ごとに異なる目標を設定するのも有効です。
そのうえで、現場社員や管理職にヒアリングを行い、組織や社員の現状を確認します。 そして、ありたい姿と現状のギャップを参考にしながら、教育研修を通して改善すべき課題を設定し、具体的な目標に落とし込んでいきます。
社内研修プログラムの設計方法
社内研修の目標を設計したら、プログラム内容を設計しましょう。この章では、プログラムを設計する基本的な流れを説明します。
研修の要素を整理する
まずは、研修の目標を達成するために学習すべき要素を洗い出します。なるべく多くの案を出したうえで、カテゴリー別に分類したり、優先順位を検討したりして、取り上げるべき内容を整理しましょう。
研修フローを設計する
要素が整理できたら、研修のフローを設計します。受講者に伝わりやすいよう、テーマごとの関連性や進行手順を意識しながら、おおまかな流れを整理しましょう。
時間配分や研修手法を決定する
研修フローが設計できたら、それぞれの要素をどのくらいの時間をかけて説明するか、休憩や場面転換をどのタイミングで取り入れるか、といった時間配分を調整します。
また、必要に応じてロールプレイングやケーススタディなどを取り入れるなど、研修手法も決めていきます。
社内研修講師の選び方
社内講師を選ぶ際には、以下のチェックポイントを意識するようにしましょう。
研修内容に関する豊富な実績がある
知識やスキルが求められる研修を実施する際には、講師がその分野に豊富な実績を持っていることが重要です。受講者から質疑を受けた際にも、より有益な指導やアドバイスができるでしょう。
受講者からの信頼や尊敬が厚い
現場で信頼や尊敬を集めているキーパーソンを講師として選定すると、受講者の動機づけにつながり、より積極的に研修に参加してくれるようになります。
企画構成のスキルがある
たとえ講師が豊富な知見を有していても、研修の組み立てが悪いと、受講者が内容を十分に理解できないことがあります。そのため、講師には、研修の企画構成を行うスキルが必要です。
プレゼンテーション能力がある
受講者の目線に立ち、わかりやすく説明できる人物である必要があります。また、受講者の意欲を高めるコミュニケーション力も重要です。
なお、社内に十分なスキルを持つ方がいない場合は、人事や教育担当者が共同で運営したり、講師の能力を開発することも有効です。また、必要に応じて社外講師を活用すると、研修の効果をより一層高めることができます。
社内研修の効果測定方法
社内研修の効果測定方法としては、カークパトリックモデルを活用することがおすすめです。
カークパトリックモデルとは、ウィスコンシン大学の教授が提唱した教育の効果測定法です。具体的には、教育の効果を「反応」「学習」「行動」「成果」の4段階に分けて測定します。これにより、段階に応じた効果や課題を理解することができます。
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課題が生じている場合には、研修後に対象者にフォローを行ったり、研修内容を改善したりするようにしましょう。
社内研修の費用対効果を高める方法
研修による費用対効果を高めるためには、研修の目的を明確にすることが何よりも重要です。
研修の目的がはっきりしていないと、受講者が研修を通して何を学べばいいのかがわかりにくくなります。また、研修が「やりっぱなし」になり、効果測定や次回への改善がされない要因にもなります。目的を明確化することで、受講者が学びを得やすくなり、課題の抽出や改善もしやすくなります。
また、研修の目的が明確化されると、どのようなポイントに時間や工数、費用などのコストを割くべきかを整理することができます。社内研修はコスト削減の対象になりがちですが、ねらった効果が出なければ本末転倒です。効果を上げるために必要な投資を筋道を立てて説明することができれば、社内の稟議も通りやすくなります。
社内研修の効果が高まった成功事例
それでは、社内研修の効果が高まった成功事例には、どのようなものがあるのでしょうか?この章では、厚生労働省の成功事例集をもとに、参考となる2つの事例について紹介します。
キャリアアップを後押しする制度を創設
株式会社シニアライフアシストでは、キャリアアップを後押しする社内制度を創設することで、研修を従業員のモチベーションアップや定着につなげています。
この社内制度は、従業員が社内外の研修に参加したり、資格を取得したり、社内試験に合格したりすると、等級や給与が上がる仕組みになっています。
この制度を活用することで、未経験社員が社内でスキルアップして管理職になる事例や、パートスタッフが正社員に転換する事例が増えてきています。
YouTubeチャンネルの活用
九州環境建設株式会社では、本社と現場が一丸となって従業員教育をすることで、未経験者の効果的な育成につなげています。その工夫の一つが、YouTubeチャンネルの活用です。
九州環境建設株式会社では、自社のYouTubeチャンネルを開設し、現場で撮影した作業内容や建設機械の使い方、工法などの研修動画をアップしています。これにより、未経験者もスキマ時間を活用しながら、わかりやすく業務を学ぶことが可能です。
参照元:地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集(厚生労働省)
社内研修とは
あらためて、社内研修の意味を理解しておきましょう。
社内研修とは、人事や教育担当者を含む社員が企画・運営する研修のことです。自社の事業や業務内容の周知、ビジョンの浸透など、企業独自の知識やスキルを教える際に有効な研修手法です。
社内研修を行うことで、教育コストを抑えることができるだけでなく、講師の企画構成スキルやプレゼンテーションスキルを向上し、社内に教育研修のノウハウを蓄積することも可能です。ぜひ効果的に活用してみてください。
まとめ
この記事では、社内研修の効果を高めるための具体的な方法や重要なポイントについて解説しました。
研修の目的を明確にし、適切なプログラム設計や講師の選定を行い、研修の効果測定や改善を重ねることで、より充実した内容へと進化させることも可能です。
ぜひ、この記事をヒントに研修運営の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。