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360度評価とは【辛いと言われる理由】人事が知るべき導入方法・注意点・企業事例を紹介

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360度評価とは【辛いと言われる理由】人事が知るべき導入方法・注意点・企業事例を紹介

360度評価とは【辛いと言われる理由】人事が知るべき導入方法・注意点・企業事例を紹介

2024/07/18

360度評価とは何か、特徴やそのメリットとデメリット、導入方法や注意点、企業事例をわかりやすくご紹介いたします。

 

企業の人事担当者が知っておくべきポイントを具体的な事例を交えて解説しているので、ぜひチェックしておきましょう!

 

360度評価とは

360度評価は、人事評価の一手法であり、上司、同僚、部下だけでなく、場合によっては他部門の人も評価に参加する、多面的な評価システムです。

 

さまざまな立場からの複数人による評価を行うことで、公正さを高めることが主な狙いとなっています。

 

人事評価と併せて、人材育成や会社の方針の浸透を目的として実施されることもあります。

 

なぜ360度評価は「つらい」と言われる?

360度評価は、評価を受ける側だけでなく、評価する側にとっても「つらい」と感じることがあります。

 

特に同僚からの評価が芳しくない場合、ショックを受けやすいと言われています。上司からの厳しい評価よりも、同僚からの厳しい評価の方がストレスを感じやすい人も多いのでしょう。

 

また、360度評価は匿名で行われることが多く、「誰が自分を評価しているのか分からないため、疑心暗鬼になってしまい、つらい」というコメントが事後調査で出てくることもあるのです。

 

360度評価のメリット・デメリット

 

メリット

360度評価には主に以下の3つのメリットがあります。

 

360度評価のメリット

多様性と公正さの向上

上司が部下から評価を受けることで、多様な視点からのフィードバックが得られ、公正な組織づくりに役立ちます。

組織の方針の浸透

評価基準を理解することは、組織にとって重要な行動を理解することにつながります。全従業員参加型の360度評価は、組織の理念や行動指針の浸透に効果的です。

評価の納得性

多人数の評価

を基にした360度評価は、上司一人による評価よりも納得感が得られやすいです。納得性が高い評価は、評価結果を受けての改善意欲を高めます。

 

デメリット

他にも、360度評価では主な3つのメリットが存在します。

360度評価のデメリット

導入の時間的コスト

全従業員が評価に関わるため、評価制度を理解させるまでに時間がかかります。評価の質を高めるためには、評価者自身が評価傾向を確かめる研修も必要です。

社内の人間関係への影響

評価の匿名性を保つ必要がありますが、少数部門やリモートワークなどで接する人が少ない従業員の場合、評価者が予想できてしまうことがあります。これが社内の人間関係に悪影響を与える可能性があります。

 

360度評価の特徴

360度評価の特徴は、多くの従業員が評価プロセスに参加し、上司、同僚、部下など様々な立場の人々が評価を行う点です。これにより、多面的で公正な評価が可能になります。

 

また、評価項目は全従業員に共通するか非常に近い内容で設定されることが一般的です。特に専門化された組織では、評価の複雑性を避け、共通の理念や行動指針に基づいて評価を行うことで、評価の一貫性と信頼性が高まります。

 

360度評価の導入ポイント

 

評価の匿名性の確保

360度評価する側とされる側の匿名性を確保することが前提です。

 

システム的な情報漏洩を避けるために、人事評価システムの導入やパスワードルールの整備、評価シートの誤送信を防ぐシステムの構築が必要です。

 

全従業員から理解を得る

360度評価に参加する人が評価の目的や項目を理解し、高いモチベーションを持って臨まないと評価の品質が担保できません。

 

中身の伴わない評価は、評価の正確性、納得性を下落させます。

 

まずは経営幹部メンバーに100%の理解を得て、従業員に伝道することが重要となるでしょう。

 

実施目的・重要性の周知

全従業員参加型であるため、実施の目的や重要性を浸透させることが重要です。

 

導入前に組織的なサーベイを実施し、抽出された課題を解決するために360度評価を実施することを公表することで、目的や重要性を周知できます。

 

評価項目の厳選

評価項目は全従業員に理解が浸透している項目に厳選することが重要です。理念や行動指針に基づく行動を具体的に評価できるようにする必要があります。

 

人によって解釈が様々になり、評価の品質に影響が出ることを避けるため、評価項目は厳選した上で具体的にする必要があります。

 

サーベイ・アセスメントツールの導入

サーベイ・アセスメントツールの導入は、組織の現状を把握し、従業員の能力や意識を評価するための有効な手段です。

 

データに基づく客観的な評価とフィードバックを行うことで、組織全体のパフォーマンス向上と従業員のエンゲージメント向上を実現することができます。

 

サーベイ・アセスメントツールとは?

サーベイは、組織の方針や価値観、周囲の環境についての意識調査を行います。

 

アセスメントは、一人ひとりの適性や能力を定量化するためのプロセスです。これにより、評価の正確性を高めることができます。

 

アフターフォローを実施

評価の導入や運営に関しては、アフターフォローも大切です。

 

サーベイの結果をビフォーアフターで比較し、評価の効果を確認し、必要に応じて改善していくことが評価の質を高めるポイントです。

 

360度評価の導入プロセス

360度評価の導入プロセスとしては、組織ごとに調整は必要ですが、以下のようなステップをとることが一般的です。

 

1.360度評価の導入目的の設定と経営トップによる意思決定

2.理念、行動指針、ミッション・ステートメントの言語化

3.サーベイの実施および組織の課題の分析

4.360度評価の項目の策定とアセスメントツールによる評価基準の具体化

5.評価制度への組み込み、運用方法の決定、社内説明資料の作成

6.社内研修による360度評価の目的、趣旨、内容の浸透

7.実施

8.効果検証、アフターフォロー

 

360度評価の導入の注意点

まず、組織に適しているかを確認します。

 

例えば、リモートワーク主体の組織では、導入に多大な労力を要します。導入と運用のコストを試算し、準備を怠らないことが重要です。

 

例えば、海外のグループ拠点と結んだリモートワーク主体で開発を行うような組織に360度評価を導入するには相当の労力を要します。言語や文化背景が異なる人材で構成されている組織では、言葉の定義を共通化、定義化するだけでも大変です。

 

組織に適した評価方法であるか、導入と運用の金銭的、時間的コストがどのくらいかかるか試算した上で導入を検討しなければなりません。その上で、導入に時間がかかることを理解して、社内への理解浸透をはかることが重要です。

 

理念や行動指針を早期に浸透させたいから、準備不足のまま導入するにはリスクがあることを理解しなければなりません。

 

360度評価のフィードバックポイント

評価コメントは実際の行動に基づき、匿名性を保ちつつ、相手を否定せずに気づきを促す表現にしなければなりません。

 

評価コメントは実際の行動に基づき、匿名性を保ちつつ、相手を否定せずに気づきを促す表現にしましょう。

 

フィードバックコメントの例

360度評価のフィードバックコメントとしては、行動実績に対するコメントをすることが大切です。評価に際しては、推測に基づくコメントではなく、実際の行動に対するコメントをしなければなりません。

 

また、匿名性が保たれるコメントであること、表現はなるべく相手を否定するよりも、気づきをうながすようなコメントに記載することもポイントです。コメントをつける360度評価を実施する際には、実施目的に「人材育成」をいれておくと効果的です。

 

例えば、新しいことへのチャレンジに消極的な人に対しては、「挑戦しない」という否定表現ではなく、「前向きなチャレンジをしたらもっとよくなる」という肯定的な表現のコメントをいれるように推奨すると良いでしょう。

 

360度評価の項目例

360度評価は前述したように、行動指針のように組織共通の価値観が評価項目であることが一般的です。組織によって、その内容は異なります。

 

行動指針を分解して評価項目として抽出します。例えば「お客様を感動させ、社会に前向きな変化をもたらす」という行動指針であると仮定します。

 

これを分解し、例文にすると「①お客様の目線での行動」「②相手の期待値を上回る行動」「③前向きに取り組む姿勢」「④諦めずに取り組む姿勢」「⑤変化を恐れない行動」という5つの項目になります。

 

360度評価の導入事例

360度評価を導入している有名な企業はトヨタ自動車です。

 

世界的に有名なトヨタ自動車では、2019年に上司によるハラスメントによる労災が認定されることがおきました。トヨタ自動車は後に謝罪し、和解が成立しています。再発防止策の1つとして導入されたと言われているのが課長級以上の従業員に対する360度評価です。

 

「人間力」をキーワードにした360度評価は、1万人以上いるトヨタグループの管理職の評価に活用されていると言われています。

 

まとめ

360度評価は、多人数参加型の評価システムであり、組織の行動指針の浸透、管理職の意識改革、人間性を軸とした人材育成に効果的です。

 

しかし、多くの従業員が理解し、前向きに参加することが必要です。導入を主導する経営者や人事部は、サーベイや人事システムを活用し、入念な準備を行うことがポイントです。

 

企業の人事担当者は、この評価制度をうまく活用し、組織全体の成長と発展に役立ててください。

 

 


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