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再雇用制度とは【使える助成金】定年後の適用条件や成功・失敗例、注意点など詳しく解説

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再雇用制度とは【使える助成金】定年後の適用条件や成功・失敗例、注意点など詳しく解説

再雇用制度とは【使える助成金】定年後の適用条件や成功・失敗例、注意点など詳しく解説

2024/11/19

定年を迎えた従業員が再び職場で活躍するための制度として、多くの企業で導入が進んでいる「再雇用制度」。特に高齢化社会が進む日本では、経験豊富な人材を活用しながら人手不足を補う手段として注目を集めています。

 

しかし、制度を導入・活用するには、助成金の活用方法や適用条件、成功・失敗の事例をしっかりと理解しておくことが重要です。

 

この記事では、再雇用制度の概要や利用する際のメリット、デメリット、適用条件などについて詳しく解説します。

 

 

再雇用制度とは

再雇用制度とは、定年年齢を65歳未満に定めている企業が、定年を迎えた従業員と一旦退職した後に再度雇用契約を結び、65歳まで働けるようにするものです。高年齢者雇用安定法により、企業に従業員の65歳までの雇用確保が義務付けられているのです。

 

この制度は、労働者の経験やスキルを活用しつつ、企業の人材不足を補う目的があります。

 

「再就職」との違い

再雇用制度と再就職はどちらも高齢者が働き続けるための方法ですが、下記の違いがあります。

 

 

再雇用制度

再就職

雇用先

これまでと同じ職場で就業

新しい職場で就業

雇用条件

給与や待遇に変更が生じることがある

仕事内容や給与、待遇が大きく変わる可能性がある

 

「勤務延長制度」との違い

勤務延長制度も高齢者が定年後に働き続ける方法の一つですが、再雇用とは仕組みや特徴に違いがあります。

 

 

再雇用制度

勤務延長制度

雇用先

これまでと同じ職場で就業

これまでと同じ職場で就業

制度の仕組み

定年退職後、新たに再雇用契約を結ぶ制度

定年後に従業員の雇用契約をそのまま延長する制度

雇用条件

給与の減額など待遇に変更が生じることがある

基本的に定年前と同じ条件で雇用される

 

再雇用制度のメリット

再雇用制度を利用する際、企業には多くのメリットがあります。以下に主なメリットをまとめました。

 

・高齢者従業員の経験、スキルを継続して生かすことができる

・少子高齢化による労働力不足に対応ができる

・新規採用や新人教育にかかるコストを抑えることができる

 

再雇用制度のデメリット

一方で再雇用制度を利用することでデメリットが生じる可能性もあります。考えられるデメリットは下記のとおりです。

 

・再雇用前と比較して給与が低くなる、役職からの退任などの待遇変更により、高齢者従業員のモチベーションが低下する

・人材の新陳代謝が遅れる場合がある

 

再雇用制度の適用条件

ここでは再雇用制度の具体的な適用条件を解説します。

 

対象年齢

再雇用制度の対象年齢は、一般的に60歳以上(定年を60歳とする場合)。

 

※定年が65歳未満の企業は希望する従業員に対し、65歳までの雇用保証が義務づけられています。また、現状定年が65歳以上の企業においては70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています。そのため働ける年齢は各企業によって異なります。

 

契約内容

一般的に一年単位で更新される有期契約となります。

 

給与待遇

再雇用制度にて雇用されている時の給与は、勤務時間の短縮や職務の変更により定年前よりも低い水準となることが多いです。責任ある業務の担当や役職からの退任となるケースが多く見られます。

 

再雇用制度の注意点

企業が再雇用制度を利用する際、注意したいポイント3点を解説します。

 

1.定年前と比較して、給与が不合理に低い場合違法となる

再雇用後の業務内容や責任の程度が変わる場合は、それに応じて給与を設定することは問題ありませんが、不合理に低い場合は違法となる点に注意が必要です。

 

2.各種手当の扱い

定年前に支給されていた通勤手当、皆勤手当、住宅手当といった各種手当は再雇用後も変わらず支給しなければなりません。

 

3.有給休暇の扱い

有給休暇は、定年前からの勤続年数を通算して日数を計算のうえ付与します。注意点として、再雇用後に所定労働日数が減る場合、付与日数を再計算する必要があります。

一方で再雇用時に所定労働日数、時間が変更されても定年退職時に既に付与されていた有給休暇はそのまま持ち越しとなります。

 

 

高年齢者の雇用促進に活用できる助成金

国や地方公共団体による、企業が高年齢者を積極的に雇用する際に活用できる助成金は多くあります。以下に代表的なものをまとめました。

 

65歳超雇用推進助成金

65歳以上への定年引上げ等や高年齢者の雇用管理制度の整備等を行う企業に対して助成される制度です。以下の3つのコースから成ります。

 

65歳超継続雇用促進コース

下記4点のいずれかを実施した事業者に対し助成金が支給されるコース

 

・定年の65歳以上への引き上げ

・定年の廃止

・希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用

・他社による継続雇用制度の導入

 

高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入や改善、職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入といった高年齢者向けの雇用管理制度の整備を行った事業者に対し、助成金が支給されるコース

 

高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成金が支給されるコース

 

・有期契約労働者として契約した期間が通算5年以内の者

・無期雇用転換日において64歳未満の者

 

各コースの支給要件詳細や支給額については下記をご参照ください。

厚生労働省「令和6年度65歳超雇用推進助成金のご案内」

 

労働移動支援助成金(再就職支援コース)

事業規模の縮小等によるリストラ・再編などにより離職を余儀なくされる従業員に対し、企業が再就職支援を職業紹介事業者に委託するなど再就職のための支援を提供する場合に、助成金が支給されます。

 

助成対象となる再就職支援の内容は下記の3点です。

再就職支援

離職する従業員の再就職支援を職業紹介事業者に委託し再就職を実現させた場合

休暇付与支援

離職が決定している従業員に対し、求職のための休暇を与えた場合

職業訓練実施支援

離職する従業員の再就職のための訓練を教育訓練施設等に委託して実施する場合

 

支給要件詳細や支給額については下記をご参照ください。

厚生労働省「早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)」

 

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

65歳以上の高齢者や障害者手帳を所持している方など、就職が困難な求職者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する従業員(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

就職が難しい求職者が経済的な自立を図り、かつ企業側も助成を受けながら人材確保を行える仕組みです。

 

再雇用制度を活用する際には、雇用開発助成金などの助成金を効果的に利用することが重要です。詳しくは、「特定求職者雇用開発助成金の概要やコースを簡単に解説」をご覧ください。

 

また、支給要件詳細や支給額については下記をご参照ください。

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

 

 

再雇用制度のよくある質問

ここからは再雇用制度について、よくある質問と回答をご紹介します。

 

再雇用制度と同一労働同一賃金の関係は?

同一労働同一賃金は、従業員が正社員やパートといった雇用形態の違いに関わらず、同じ職務内容や責任を負っている場合、同じ賃金を受け取るべきだという原則です。同一労働同一賃金は定年後の再雇用時も適用となります。

 

少し給与が下がったとしてもただちに違反となるわけではありません。給与の低下が不合理に低い場合、違反対象となります。

 

再雇用制度に関する法的規制はありますか?

再雇用制度は「高年齢者雇用安定法」に基づいて規制されています。高年齢者雇用安定法では、企業が高年齢労働者の雇用機会を確保するために、65歳までの雇用確保を義務とし、下記のいずれかの措置を取ることを義務付けています。

 

・定年の廃止

・定年年齢の引上げ

・希望者全員を対象とする、65歳までの「継続雇用制度」の導入

 

また、定年年齢を65歳以上70歳未満としている事業主、または継続雇用制度を導入している事業主については、以下のいずれかの措置を行うことを努力義務として定めています。

 

・70歳までの定年引き上げ

・定年の廃止

・70歳までの継続雇用制度の導入

・70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入  ※3

・70 歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業

 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業 ※4

 

※3※4

過半数労働組合等の同意を得た上で、措置を導入する必要があります(労働者の過半数を代表する労働組合がある場合にはその労働組合、そして労働者の過半数を代表する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の同意が必要です。

 

再雇用制度の企業成功例

ここでは高齢労働者の経験やスキルを活かし、企業が労働力を確保しながら組織全体に利益をもたらした再雇用制度の企業成功例を紹介します。

 

大和ハウス工業株式会社

2014年には65歳定年制を改正し、役職定年後の従業員の役割を「理事コース」「メンターコース」「生涯現役コース(プレイヤーコース)」の3つに分け、これまでの経験やスキルを生かしやすい環境作りを行った。

 

2019年4月から「シニアマネージャーコース」を新設。

60歳以前に課長クラスの役職に就いていた従業員が、60歳以降も課長のポジションに残ることができるようになった。

 

これらの取組により、定年後も各人のモチベーションを保ちながら力を活かし、組織の労働力確保につながる雇用体制を整えることができた。

 

株式会社ベイシア

店舗のIT化や在庫を本部で一括管理し、発注を自動化するなど、煩雑な業務を減らし働きやすい環境を整えた。

 

その上で2022年7月に継続雇用年齢を70歳から75歳までに延長し、高齢者が長く自身のスキルや経験を生かしながら働ける仕組みを整え、現在約8割以上の従業員が継続雇用を希望している。

 

再雇用制度の企業失敗例

再雇用制度を利用した際にみられる企業失敗例として、下記があげられます。

 

給与の減額や役職変更による従業員のモチベーション低下

再雇用後、大幅な給与の減額や役職変更により、従業員のモチベーションが低下し、生産性が下がるケースが見られ、組織全体の業務効率低下につながる結果となってしまう場合があります。

 

適切なポジションの提供不足

再雇用者のスキルや経験を活かさない配置がなされると、従業員は自身の価値を感じられず、不満を抱き、モチベーションが低下してしまうケースが見られます。

 

労働時間や業務の身体的負担

再雇用された従業員が定年前と同じ労働時間・業務内容で勤務し、結果として過労による健康悪化を訴えるケースが見られます。

 

 

企業は再雇用制度を導入するのみではなく高齢者が働きやすい環境を整えることが、制度利用を成功につなげるために大変重要であると言えます。

 

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まとめ

再雇用制度は、定年を迎えた従業員の経験・スキルを活かすことができる重要な制度です。年金支給年齢の引き上げに伴い、さらに重要性が増していくと考えられます。

 

ぜひこの記事を参考に、再雇用制度を活用していきましょう。

 

参考:

独立行政法人 労働政策研究・研修機構.”大和ハウス工業株式会社の高齢者雇用の取り組み”,

独立行政法人 労働政策研究・研修機構.”シニア雇用・雇用継続の取組”,

 

 

 


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