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メンター制度とは【成功例・失敗例】詳しい導入方法や注意点、重要性を理解しましょう!

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メンター制度とは【成功例・失敗例】詳しい導入方法や注意点、重要性を理解しましょう!

メンター制度とは【成功例・失敗例】詳しい導入方法や注意点、重要性を理解しましょう!

2024/11/13

メンター制度は、新入社員や若手社員の成長を支援し、企業全体の定着率や業務効率を向上させるための人材育成制度です。近年、多くの企業で導入される一方、準備不足による失敗例も少なくありません。

 

この記事では、メンター制度の基本的な仕組みから、成功例や失敗例、導入の手順や注意点、そして企業にとってのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

 

 

メンター制度とは

メンター(mentor)には、「指導者・助言者」という意味があります。企業におけるメンターとは、新入社員の相談に乗り、精神的なサポートをする役割を担う先輩社員のことを意味しています。

メンターに任命されるのは、新卒新入社員の場合には年齢の近い、入社3~5年目の先輩社員が一般的です。対象者は新卒などの若手社員に限らず、経営幹部にメンターが付く場合もあります。

メンターには顧問的な立場の人材が選ばれる場合もあり、様々な形での活用があります。

 

「メンティ」との違い

一方、助言を受ける立場の社員は「メンティ」と呼ばれています。メンティ(mentee)には、「被育成者」という意味があります。メンターがメンティを指導し、相談にのりながらサポートしていきます。1対1の関係で業務に関するアドバイスや精神的なサポートを行っていきます。

 

「メンタリング」との違い

メンタリングとは、メンターと呼ばれる指導者がメンティーと呼ばれる指導を受ける側と対話を通じて、メンティーの成長を支援する人材育成のやり方を意味しています。メンタリングでは、メンターがメンティーのキャリアや人間関係、精神面などの様々な課題や悩みに対して、一緒に「どうしたらより良くなるのか」を考えていくのが一般的です。

 

「メンター」は、メンティーの過去の経験を共有したり、目標設定や達成までのアプローチにアドバイスを行ったりします。「メンタリング」は、企業の社員教育の一環として行われることが多く、メンターは直属の上司ではない人間が選ばれます。

 

別の部署の人をメンターにすることで、メンティには多角的な視点からの知見を得られる可能性もあります。

 

コーチング・ティーチングとの違い

職場におけるコーチングとティーチングは、どちらも人材育成の方法のひとつとして活用されています。コーチングは、相手から答えを引き出す質問を投げかけたり、共感や傾聴の姿勢から気づきを与えたりする方法です。気づきを与え、ともに考えることはしても解決方法や答えの明示は行いません。一方、ティーチングは、相手に解決方法や答えを与える形で指導して、教える側が既に身につけている仕事の知識や技術を提供します。

 

メンター制度とエルダー制度との違い

メンター制度とは、他部署の先輩社員がメンターとして任命され、業務や人間関係について、相談や助言を通して、成長をサポートすることが多い制度です。一方でエルダー制度は広義な意味でのOJT制度の一貫として、原則として同じ部署の先輩が選ばれます。

 

メンタル面でのサポートだけではなく、業務を覚えたり、部門に馴染んだりして早期に戦力化することを主な目的としています。

 

OJTとの違いは?

OJT制度は、業務成果の向上を目的として、同じ部署の上司や先輩社員が技術やノウハウを業務を通じて指導する制度です。メンター制度やエルダー制度と異なり、1対1の関係が必ずしも組まれているわけではありません。

 

また、エルダー制度には、メンタル面のサポートや配属部門になれるためのサポートが含まれていますが、一般的なOJT制度は業務やスキルの習熟に主眼がおかれています。

 

メンター制度の重要性

メンター制度は、メンティとなる対象者によって目的が異なります。新入社員がメンティの場合、主な目的は早期離職の防止や定着率の向上です。新入社員や若手社員は業務への不安を抱えやすいため、メンターがいつでも相談できる相手と寄り添うことで、不安を解消し、仕事への意欲を維持しやすくなります。

 

一方、中堅社員以上がメンティとなる場合は、視野の向上やリーダー育成が目的となります。他部門からの異なる視点でのアドバイスを受けることで、視野が広がり、仕事の幅を広げたり、行き詰まりを打破したりする効果が期待できます。また、多部門連携業務のスキル向上にもつながります。

 

メンター制度の導入により、社員は会社が人材育成やケアを重視していると感じやすくなります。この制度は、短期的に業績に直結するわけではありませんが、社員に中長期的な安心感を与えることで、良質な組織風土の形成に寄与します。さらに、メンター制度は社内コミュニケーションの活性化や、メンター自身が学びを得る機会を提供するなど、組織全体にとって多くのメリットをもたらすのです。

 

 

メンター制度のメリット

会社側としてのメリットは、「社員の定着率が向上すること」「社内コミュニケーションが活性化すること」「人材育成とケアを重視していることを広報できること」などがあげられます。

 

メンターとメンティのメリットとしては、「メンティは不安を解消したり、新たな視点の気付きが得られる」「メンティーは悩み相談やケアをすることにより、通常の業務では得られない経験を通じて、部下のマネジメントスキルを得られる」が良い点でしょう。

 

メンター制度のデメリット

メンター制度はメンタル面でのケアやサポートが中心となるため、短期的な成果には直結しにくい制度です。短期的な業績を重要視している人にとっては、「いらない」制度であるとも言えます。

 

また、メンター制度のデメリットとしてあげられることは、「メンターの負担が増大すること」、「メンターとメンティの相性が良くないと双方に悪影響がでること」、「メンター個人の能力に左右されること」、「メンターとメンティ間のことは他に相談しにくいため、両者の間で問題が起きたときに解決しにくいこと」などがあげられています。

 

メンター制度の導入方法

 

必要な準備物

メンター制度を導入するにあたっては、組織内の状況を導入者が把握しておくことが必要になります。導入する際に、目的や改善指標を設定しますが、組織内の状況と課題を理解しておかないと目標の設定ができなくなります。事前に人事データベースを整備し、全体の離職率、部門や階層別の離職率、社員の能力把握、サーベイを実施しての意識調査などを行っておくことが準備として必要になります。また、メンターとメンティの相性が悪いとメンター制度が有効に稼働しないため、組織内全体に適性検査を実施したり、人事評価などの情報からパーソナリティを把握しておくことも必要な準備です。

 

導入手順

メンター制度の導入手順は一般的には以下のようになります。

 

①組織内の状況把握、事前準備

②制度の目的、目標の設定

③重複する人事制度がないかなどの確認

④制度の基本設計

⑤経営の承認と社内広報

⑥メンター候補者への事前研修

⑦対象者の選定

⑧実施、分析、改善

スムーズに導入するためには、各手順での確実な業務が必要になります。

 

例えば、エルダー制度が導入されているときなどは、重複が起きてしまう可能性があります。組織内での理解を得て、制度を円滑に運用するためには、細かな調整と組織内への継続的な広報が欠かせません。また、制度の基本設定では、守秘義務や面談時間(原則、就業時間内であること)などメンティーの心理的安全を高めておくことも重要です。

 

 

メンター制度の注意点

メンター制度の注意点としては、デメリットであげたことへの対策をあらかじめしておくことがあります。メンターの負担が増大しないように、業務効率化をしておくことや業務が集中している人間をメンターにしないことが必要です。

 

また、事前にメンターへの研修を実施することで、メンター個人に左右されることで問題が出ないように最低限の均質化をはかることも重要となります。相性が悪いとどちらかが感じたときには、相談窓口をを設けて早期に解消する仕組みなども設けておくと制度が安定して運用しやすくなるでしょう。

 

メンター制度の導入事例

メンター制度を導入している代表的な会社としてトヨタ自動車があります。トヨタ自動車では新入社員を会社全体で受け入れる仕組みの一つとしてメンター制度を取り入れています。トヨタ自動車では直属の先輩や上司にしかなかった相談チャンネルを増やして、年次が近く似たような経験をしている先輩がメンターになるように設計しています。HRサーベイシステムを導入したりすることによって、メンター制度がより有効に機能するようにしています。

出典元:https://toyotaconnected.co.jp/recruit/workplace/develop.html

 

メンター制度の失敗例

メンター制度の失敗の多くは事前準備の不足が原因です。メンターの業務状況を把握しないままメンターに選任してしまい、業務負荷でメンター側が多大なストレスを抱えてしまったり、相性を考慮せずにメンター・メンティの関係を設定したため、双方が離職してしまうこともあります。また、メンターと直属上司が非常に親しい場合には、メンターに相談しにくいなどの失敗事例もあります。

 

メンター制度は、中長期的な視野にたった制度です。そのため、準備不足で運用上の問題が生じると社内から「いらない」という声が大きくなる可能性があります。導入する場合には、専門家や人事サービスの会社に相談するなどして準備を整えてから導入するほうがよいでしょう。

 

メンター制度に関するよくある質問

 

どうやってメンターを選びますか?

メンティの属性によりますが、基本的な条件は以下のとおりです。

 

①上司ではない

②同じ部門に所属していない

③年齢が近い

④聴く力や受容性が高い

⑤人材育成に対して積極的

⑥業務過多ではなくメンターを受けられる業務量

 

これらを指標としながら、適性検査の結果や社内の人間関係も考慮にいれて選ぶことが大切です。パフォーマンスの高い社員であっても、業務量が多かったり、自分の意見を強く持っている人などはメンターには不向きである可能性が高いです。

 

メンター制度導入のコストは?

メンター制度の導入コストは、事前準備に関することと、導入に際して外部の専門家や会社に委託するかによって変わります。通常は、事前準備として適性検査やサーベイの実施費用、メンター制度設計のコンサルティングとアドバイス、メンター研修の外部委託などの費用が直接的なコストとしてかかります。また、それらに対して社内担当者として準備を行う人員の人件費もコストとして見ておく必要があります。

 

メンター制度を導入すると厚生労働省の人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の対象となる可能性があります。コストはかかりますが、厚生労働省の助成金も存在するため、専門家に相談してコストを下げることも可能です。

 

 

まとめ

メンター制度は、新入社員の3年以内離職率を低下させたり、社内コミュニケーションを活性化したり、人材を大切にしていることを発信するなどの効果がある制度です。ただし、事前準備や専門知識がないまま導入すると、効果が見えないか失敗する確率が高い制度でもあります。

導入する際には、きちんと準備を整えて、効果がでるようにしていきましょう。

 


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