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週休3日制とは【参考になる導入事例付き】概要や働き方タイプ、メリットデメリットを紹介

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週休3日制とは【参考になる導入事例付き】概要や働き方タイプ、メリットデメリットを紹介

週休3日制とは【参考になる導入事例付き】概要や働き方タイプ、メリットデメリットを紹介

2025/02/01

従業員の柔軟な働き方を支援しながら、企業の生産性向上や人材確保にも役立つ制度「週休3日制」。導入に際しては制度設計や労働時間の調整、報酬体系の見直しなど、多くの課題が存在します。

 

本記事では、週休3日制の概要や種類、メリット・デメリットに加え、導入事例を詳しく解説します。週休3日制を検討する際の参考にしてください。

 

週休3日制とは

週休3日制とは、月に1回以上、1週間における休日を3日間とする制度のことです。なお、希望者を対象に週休3日制を導入することを「選択的週休3日制」といいます。

 

日本では、2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」で、働き方改革の手法の一つとして紹介されたことをきっかけに話題になりました。現在は、一部の大企業を中心に、試験導入が進められている状況です。

 

参照元:経済財政運営と改革の基本方針2021(内閣府)

 

「完全週休3日制」との違い

完全週休3日制とは、毎週必ず3日間の休日が発生する制度のことです。たとえば、これまで毎週土・日曜日を休日と定めていた場合、月〜金曜日のうちいずれかの曜日を休日にする必要があります。

 

週休3日制の場合は、月に1回以上、週に3日間休みがあれば良いことになるのです。企業によっては、完全週休3日制よりも柔軟に取り入れやすい制度である場合があります。

 

このように、「完全週休3日制」は毎週3日間の休日が固定的に発生するのに対し、「週休3日制」は月に1回以上の頻度で3日間の休日があれば良い点が大きな違いです。

 

週休3日制の概要

それでは、週休3日制にはどのような特徴があるのでしょうか?

週休3日制の概要として、種類や年間休日などを紹介します。 

 

種類

週休3日制といっても、導入目的やターゲットによってさまざまな種類があります。

全ての種類を紹介することはできませんが、例として、以下のような要素に応じて設計内容が分岐します。

 

・ターゲット層の規模:従業員全員に適用するのか、一部の従業員のみに導入するのか(選択的週休3日制)

・導入の頻度:毎週週休3日制とするのか(完全週休3日制)、頻度を制限するのか(月1回など)

・固定休日の有無:企業の都合に合わせて休日を固定するのか(毎週金・土・日曜日を休日とするなど)・従業員が自由に休日を選べるようにするのか

・報酬や労働時間との関係性:給与を維持するのか(給与維持型)、給与を減らすのか(給与減額型)、休日は減らすが労働時間は維持するのか(総労働時間維持型)

 

年間休日

週休3日制を導入すると、年間休日数はどのように変わるのでしょうか?

 

今回は、完全週休3日制の場合と、月1回だけ週休3日となる場合の2つのパターンで計算していきます。ただし、計算上の都合で、毎週土・日曜日が固定休日だったところから、追加で金曜日が固定休日となった場合を想定します。

 

なお、国民の祝日の日数は2025年時点のものを考慮しており、年末年始・夏季休暇は含んでいません。また、小数点以下は四捨五入します。

 

①完全週休3日制の場合

単純計算による休日数:156日

国民の祝日:19日(ただし、5月3日の憲法記念日が土曜日と重なるため、この条件においては18日)

年間休日数:164日

 

②月1回だけ週休3日となる場合

単純計算による休日数:116日

国民の祝日:19日(ただし、5月3日の憲法記念日が土曜日と重なるため、この条件においては18日)

年間休日数:124日

 

週休3日制のメリット

週休3日制を導入すると、さまざまなメリットがあります。

この章では、週休3日制を導入した場合に企業が得られるメリットとして、以下について紹介します。

 

イノベーションの促進

週休3日制を導入すると、従業員が空いた時間を有意義に使うことができます。

 

大学や専門学校との両立、資格取得、リスキリングなどに取り組む従業員も出てくるでしょう。社外活動で得た学びを職場に持ち帰ることで、業務効率化や新規事業のアイデアに繋がり、イノベーションが生まれやすくなります。

 

優秀な人材の確保・定着

従業員の柔軟な働き方を認めることで、求職者に対するアピールをすることができます。

 

これまでは条件面で採用に至らなかった優秀な人材を、自社に振り向かせることもできるでしょう。また、育児や介護との両立がしやすいため、従業員が自社に定着しやすくなる効果もあります。

 

生産性の上昇

プライベートの時間を確保でき、休息も十分にとれることでストレスが軽減され、仕事へのモチベーションを維持できます。

 

休日という目標が増えることで、限られた時間内で仕事を終わらせようとするため、生産性の向上につながるのです。生産性の向上を図るための業務効率化のきっかけにもなるでしょう。

 

コスト削減

従業員の出勤日数が減ることで、オフィスの光熱費を削減することができます。さらに、休日のオフィス空間をレンタルスペースとして運用すれば、新たな収益源の確保にも繋がります。

 

週休3日制の注意点

週休3日制を導入することには、さまざまなリスクや検討すべきデメリットとされる点があります。

この章では、週休3日制について企業が気をつけるべき点を紹介していきます。

 

1日あたりの業務負荷の増大

週休3日制を導入すると、1日の業務負担が大きくなります。たとえば、総労働時間維持型の場合、1日あたりの労働時間が10時間に増えることになります。

 

これに残業時間が加わることで、従業員に負荷がかかり、心身の健康を崩しかねません。そのため、業務の効率化や自動化など、業務負荷を軽減する施策をあわせて導入することが必要です。

 

報酬に関する懸念

給与減額型の週休3日制を導入する場合、従業員の給与が下がります。希望する従業員にのみ適用する場合は問題ありませんが、全ての従業員に適用する場合は反対する従業員も出てくるでしょう。

 

一方、給与維持型の週休3日制を導入した結果、経営が悪化しては元も子もありません。このように、週休3日制を導入する際の報酬設計は慎重に行う必要があります。

 

機会損失のリスク

休日が増えることで、取引先や顧客とのコミュニケーションにタイムラグが生じます。

 

「アポが取りにくい」「休業日で対応できない」といった理由から、営業機会を失うリスクもあります。こうしたリスクを削減するためには、AIの自動返答システムやシフト制の導入など、工夫を凝らす必要があります。

 

週休3日制の働き方タイプ

週休3日制には、どのような働き方があるのでしょうか?

 

この章では、報酬制度や労働時間との関係に着目して、以下の3つの働き方タイプを紹介していきます。 

 

給与維持型

給与維持型は、週休3日制の導入前後で従業員の報酬額を維持する制度です。従業員にとっては、収入を維持しながら労働時間を減らすことができるため、最も理想的な制度といえます。

 

一方、企業としては、週4日分の労働時間で5日分の成果を上げなければなりません。そのため、業務生産性の向上やプロセスの見直しなど、成果を上げるための工夫が求められます。

 

1日あたりの労働時間

8時間

週あたりの労働時間

32時間

従業員の給与

変動なし

 

 

給与減額型

給与減額型は、労働時間の短縮に伴い、従業員の報酬を減額する仕組みです。人件費と労働時間が比例するため、経営上導入しやすい制度といえます。

 

一方、従業員としては生活に必要な収入が減ってしまうため、エンゲージメントの低下に繋がる可能性が高いです。導入する際には、段階的なトライアル導入や、希望者のみへの適用など、慎重なアプローチが必要となります。

 

1日あたりの労働時間

8時間

週あたりの労働時間

32時間

従業員の給与

減少(8時間分)

 

総労働時間維持型

総労働時間維持型は、週あたりの労働時間を変えないことで、従業員の報酬を維持する制度です。

 

従業員としては休日が増え、企業は労働時間を確保できるため、良いとこどりの制度といえます。ただし、1日あたりの労働時間が長くなるため、心身の不調に繋がる可能性があります。導入する際には、メンタルケアやリフレッシュのための仕組み作りが重要になります。

 

1日あたりの労働時間

10時間

週あたりの労働時間

40時間

従業員の給与

変動なし

 

週休3日制の導入ポイント

週休3日制は魅力的な制度である一方で、導入方法を間違えると、企業の経営悪化や、従業員の不満に繋がる可能性があります。

 

この章では、週休3日制を導入する際のポイントとして、以下について紹介します。

 

導入目的の明確化

週休3日制を導入する際には、導入目的を明確化することが重要です。たとえば、主な目的が従業員の定着率向上である場合と、コスト削減である場合とでは、制度設計に大きな違いが出るでしょう。また、制度の納得感を高めるためにも、導入目的を企業全体に周知する必要があります。

 

ターゲット層の可視化

導入目的が明確化されたら、制度の対象となるターゲット層を可視化しましょう。たとえば、従業員全員を週休3日制の対象にするのか、育児・介護などの理由がある従業員のみを対象とするのかなど、企業の状況に応じて検討するようにしましょう。

 

制度の詳細設計

目的とターゲットが明確になったら、制度の詳細を詰めましょう。報酬制度や労働時間との関係、副業の可否、利用期間の制限の有無など、現実的な運用を想像しながら設計することが重要です。また、休日の取り方についても、全員一律にするのかローテーション制にするのかなど、検討の余地があります。

 

週休3日制の導入事例

実際に、企業ではどのような形で週休3日制を導入しているのでしょうか?

この章では、週休3日制を導入している企業の事例を紹介します。

 

株式会社ファーストリテイリング

ユニクロの地域正社員などを対象に、総労働時間維持型の週休3日制を導入しています。

 

この制度では、土日・祝日を含む週4日が勤務日、平日3日が休日となります。企業としては、労働時間を維持しながら、忙しい土日・祝日に人員を確保できるため、リスクの低い導入方法といえるでしょう。

 

SMBC日興証券株式会社

従業員の育児・介護との両立やセカンドライフに向けたキャリア形成支援のため、週3日・週4日勤務を選択できる制度を導入しています。

 

通常勤務者との公平を期すため、労働時間に比例して給与が減る給与減額型の仕組みとなっています。なお、同社では副業が認められるため、従業員は副業を通して収入を維持することもできます。

 

株式会社リクルート

「週休”約”3日制」という独自の仕組みを導入しています。具体的には、1年あたりの休日日数を15日間増やすことで、年間でならして週休2.8日となるよう制度設計されています。

 

給与は維持されるため、給与維持型の週休3日制に近い制度といえるでしょう。自身の裁量で仕事とプライベートを調整できる仕組みを整えることで、従業員がライフイベントなどを理由に退職する状況を改善するねらいもあるようです。

 

参照元:地域正社員の制度(株式会社ファーストリテイリング)SMBC日興証券株式会社の「週3日・週4日勤務制度」国内7社統合を機に、1.6万人で新しい働き方を推進 -多様な人材が、より柔軟に、創造性を発揮して働くための人事制度改訂-(株式会社リクルート)リクルート流、週休3日制ってナニ? 年間の休みを145日に増やした狙いに迫る(株式会社リクルート)

 

まとめ

週休3日制を効果的に活用することで、企業と従業員の双方が恩恵を受けることができます。

 

ただし、導入時にはさまざまな注意点があるため、「自社だけで導入できるか不安」という方も多いのではないでしょうか?

 

導入目的やターゲット層を明確にし、制度設計を慎重に行うことが重要です。さらに、専門的な知見を活用することで、企業に適した週休3日制の導入が可能になります。

 

本記事を参考に、自社に合った週休3日制をぜひ検討してみてください。

 

 


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