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DX推進向け補助金まとめ【国・自治体別】必要なコストと申請時の注意点をわかりやすく解説

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DX推進向け補助金まとめ【国・自治体別】必要なコストと申請時の注意点をわかりやすく解説

DX推進向け補助金まとめ【国・自治体別】必要なコストと申請時の注意点をわかりやすく解説

2024/02/27

岸田内閣は主要政策として、「構造的賃上げの実現」「分厚い中間層の形成」「デジタル社会への移行」などを挙げています。これらの施策を実現するためには、中小企業がDX化を推進し、生産性を高め、賃金を上げていくことが必須です。

 

この記事では、中小企業を中心に行われているDX化の支援策について解説いたします。

 

DXとは

DXとは、Digital Transformationの略語であり、直訳すると「デジタルによる変容」となります。

これはスウェーデンにあるウメオ大学の教授エリック・ストルターマン氏が2004年に定義した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」という概念が浸透したからです。

 

日本では、経済産業省が「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義し、国策としてDX化の浸透を進めています。

 

DX化で発生するコスト

DX化を推進する上で、具体的に想定される4つのコストについて詳しくみてみましょう。

 

社内体制構築費

DXは新しいビジネスやサービスを生み出すことを目的としているため、複数の部署が連携して進めていくこととなります。

従って部門を横断する社内体制を構築しなければなりません。そのため、プロジェクトチームを運用するための経費や、コンサルティング会社からのアドバイスを得るための費用などが必要となります。

 

企画・開発・システム導入費

DX化を推進するためには、新規ビジネスの企画から始まり、システム設計、開発、導入といったフェーズごとに経費が必要となります。

事業内容や組織体制に応じて、独自のシステムを開発したりしなければならないケースも想定されます。また、大胆な事業変革を目指す場合は、生産設備や機器などを刷新する費用も発生します。

 

宣伝広告費

新しいビジネスやサービスを生み出すためには、市場調査が欠かせません。また、実際に新規事業を展開するためには、展示会への出展や媒体広告の掲載などが必要となります。

 

人材育成費

DX化推進のためには社員全体のITリテラシーの向上が不可欠です。社内研修を実施したり外部研修機関の講習に参加したりする必要があり、研修費などが必要になります。

 

DX推進向けの助成金・補助金

2022年版「労働生産性の国際比較」によりますと、日本の労働生産性はOECD加盟国38カ国中27位と低迷しています。労働生産性を向上させることが日本全体の大きな課題となっているため、政府はDXの推進に力を入れており、助成金や補助金制度に積極的に取り組んでいます。

こちらでは代表的な助成金・補助金について解説しましょう。

 

IT導入補助金

IT導入補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構による中小企業生産性革命推進事業の一環として実施されています。DX化推進などを目的としてITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入することによる業務効率化や生産性向上を目的としています。

 

対象となるITツールは事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものに限られます(※1)。

また、クラウドサービスの利用料なども補助対象に含まれています。

補助金を申請する中小企業・小規模事業者は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者(※2)」とパートナーシップを組んで申請しなければなりません(※1)。

※1:複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入することで効率化を図るためのコーディネート費やアドバイスを行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援する、複数社連携IT導入枠を除く。

※2:IT導入支援事業者とは、ITツールの説明、導入、運用方法の相談等のサポート、及び補助金の交付申請や実績報告等の事務局に提出する各種申請・手続きのサポートを行う事業者です。

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者が、働き方改革や法制度変更(インボイス導入など)などに対応できるよう、新商品・新サービスの開発や生産・開発プロセスの刷新に必要な設備投資などを支援する制度です。

 

支援類型については以下の通りです。

  • ・省力化(オーダーメイド)枠:人手不足の解消に向けて、デジタル技術などの導入により、生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに対する支援
  • ・製品・サービス高付加価値化枠:革新的な製品・サービス開発への取組みや、今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発への設備・システム投資などを支援
  • ・グローバル枠:海外事業(海外企業との共同で行う事業なども含む)を実施するにあたり、国内の生産性を高めるために必要な設備・システム投資などを支援
  •  

事業再構築補助金

ポストコロナ時代における経済社会の構造変化に対して、新分野への展開、事業転換、業種・業態転換、または事業再編といったような、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業の支援を目的とした補助金です。

 

必須要件が下記の通り定められています。

  • ・事業計画を作成し認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
  • ・補助事業が終了した後、3~5年以内に付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上の増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上の増加を達成すること。

2023年末までに11回公募が実施されており、12回以降に関しては各方面から上げられた問題点について見直しを実施した上で公募を再開する予定とされています。

 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、中小企業などの小規模事業者が経営体制を見直し、持続可能な経営計画を作成した上で行う販路の開拓や業務効率化、生産性向上などの施策を支援するために、経費の一部を補助する制度です。

特別枠として、賃金引上枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、災害支援枠があります。災害支援枠は被災した小規模事業者が災害からの事業再建に向けた支援のための枠です。

例えば、令和6年能登半島地震により被害を受けた石川県、富山県、新潟県、福井県に所在する小規模事業者などを対象に公募が実施されています。

 

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、契約社員や派遣社員といった、いわゆる非正規社員のキャリアアップを促進するため、正社員登用に関する施策や処遇の改善などに取り組んだ事業主に対して支給する助成金制度です。

 

正社員化支援

  • ・正社員化コース:有期雇用労働者等を正社員化
  • ・障害者正社員化コース:障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換
  •  

処遇改善支援

  • ・賃金規定等改定コース :有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額する
  • ・賃金規定等共通化コース :有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用する
  • ・賞与・退職金制度導入コース :有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積立てを実施する
  • ・短時間労働者労働時間延長コース:有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用する
  • ・社会保険適用時処遇改善コース(新設) :有期雇用労働者等に新たに社会保険を適用させるとともに、労働者の収入を増加させる
  •  

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは、テレワークを制度として導入し、実施することで、人材確保や労務管理改善などの観点から、効果をあげた中小企業事業主に対して助成金を支給する制度です。

 

以下の取り組みが対象となっています。

  • ・就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • ・外部専門家によるコンサルティング
  • ・テレワーク用通信機器など(※3)の導入・運用
  • ・労務管理担当者に対する研修
  • ・労働者に対する研修

※3:機器だけでなく以下のサービス利用料も助成対象となります。

  • ・リモートアクセス及びリモートデスクトップサービス
  • ・仮想デスクトップサービス
  • ・クラウドPBXサービス
  • ・Web会議等に用いるコミュニケーションサービス
  • ・ウイルス対策及びエンドポイントセキュリティサービス
  •  

成長型中小企業等研究開発支援事業

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)とは、中小企業が大学や研究機関などと連携して、研究開発やその成果の事業化・販路開拓を行う取組を最大で3年間支援する事業です。

 

下記12分野が支援対象とされています。

  • ・デザイン開発に係る技術に関する事項
  • ・情報処理に係る技術に関する事項
  • ・精密加工に係る技術に関する事項
  • ・製造環境に係る技術に関する事項
  • ・接合・実装に係る技術に関する事項
  • ・立体造形に係る技術に関する事項
  • ・表面処理に係る技術に関する事項
  • ・機械制御に係る技術に関する事項
  • ・複合・新機能材料に係る技術に関する事項
  • ・材料製造プロセスに係る技術に関する事項
  • ・バイオに係る技術に関する事項
  • ・測定計測に係る技術に関する事項
  •  

【自治体提供】DX推進向けの助成金・補助金

日本政府は2020年に目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」という内容を掲げています。

このビジョンの実現のために、総務省は自治体と連携してDX推進に向けた支援を積極的に行っています。

ここでは6つの事例についてご紹介します。

 

東京都|躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

東京都及び(公財)東京都中小企業振興公社は、2021年から「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を実施しています。

これは、先端技術・デジタル技術を活用することで持続的な発展を目指す中小企業者などを支援する事業です。

助成対象者は、東京都内に登記簿上の本店又は支店があり(個人にあっては都内で開業届出をして事業を営んでいる者)、2年以上事業を継続している中小企業者などとされています。

 

なお、助成対象事業は下記のとおりです。

  • ・競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進:競争力強化を目指した事業展開に必要な機械設備を新たに導入する事業
  • ・DX推進:IoT、AI、ロボットなどのデジタル技術の活用により、新しい製品・サービスの構築や既存ビジネスの変革を目指すのに必要な機械設備を導入する事業
  • ・イノベーション:都市課題の解決に貢献し、市場の拡大が期待される産業分野において、新事業活動に取り組むことで、イノベーション創出を図るために必要となる機械設備を新たに導入する事業
  • ・後継者チャレンジ:後継者による事業多角化や新たな経営課題の取り組みに必要となる機械設備を新たに導入する事業
  •  

東京都|DXリスキリング助成金

東京都内の中小企業が従業員に対して、民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練を実施する際に係る必要経費の一部が助成される制度です。

具体的には(1社1年度最大64万円・助成率2/3)が助成されます。

 

なお、対象となる経費は下記のとおりです。

  • ・受講料
  • ・教科書代、教材費
  • ・eラーニング実施に係るID 登録料、管理料等
  • ・訓練に付随するヒアリング料等
  •  

山口県|デジタル人材育成支援補助金

山口県内に主たる事業所を有する中小企業が、DX化を推進していくことを目的として、従業員に対してデジタル技術についての民間研修等を受講させた際に、費用の一部を補助金として支給する制度です。

 

なお、補助金額は下記のとおりです。

  • ・一般型:補助率 3/10以内、補助上限 30千円/人、1社あたりの上限150千円
  • ・外部講師招へい型:補助率 3/10以内、補助上限 30千円/回、1社あたりの上限150千円
  •  

2023年現在、募集は終了しています。

 

富士見市|富士見市中小企業チャレンジ支援事業補助金

富士見市内の中小企業が、競争力強化および地域産業の活性化を図るために新たな事業への挑戦に対して、予算の範囲内において補助金として支給する制度です。

 

補助対象となる事業は下記のとおりです。

  • ・経営改善事業:中小企業が経営改善のために、市内にある現行の店舗、事務所、工場などの改装工事を行う事業
  • ・研究開発事業:中小企業が競争力の強化を図るために、自ら開発した新製品又は新技術に係る国内の特許権を取得する事業
  • ・人材育成事業:中小企業が人材育成のために、有用な専門性の高い資格を取得する事業
  • ・販路開拓事業:中小企業が新たな販路を開拓するために、新規でホームページの作成や既存ホームページの刷新を行う事業
  • デジタル・トランスフォーメーション化事業:中小企業がデジタル化に対応したビジネス環境への移行を目的として、デジタル技術の導入推進を行う事業
  • ・経営革新事業:中小企業が新規新事業に取り組み、経営の向上を図るために経営革新計画を策定する事業
  •  

北海道|函館市DX人材育成研修補助金

函館市内の中小企業が、DX化を推進することで地域経済の活性化を図ることを目的として、社内DX人材の育成に要する経費(講習・研修などの受講料、教材費、交通費、宿泊費など)の一部を補助する制度です。

補助対象となる事業は、DXに関する専門的な知識、技能の習得や向上を目的とする内容であり、以下の3つを満たすものです。

  • ・OFF-JTにより行われるもの(eラーニング含む)
  • ・受講案内や受講料などが一般的に公開されており、1人当たりの講座ごとの受講金額があらかじめ定められているもの
  • ・受講する講座の受講時間が6時間以上であること
  •  

大阪府|意欲ある事業者経営・技術支援補助金について

大阪府八尾市は市内の中小企業を対象に、エネルギー、原材料価格などの物価高騰に対応するための対策を支援しています。

補助対象となるのは、エネルギー、原材料価格などによる物価高騰の対策として取り組む新製品・技術開発、新規事業展開、経営改善・技術の向上などにかかる費用や、簡易版KES認証取得(※4)など環境対策にかかる費用です。上限1/2まで補助金として支給されます。

※4:KESとは京都議定書の発祥地、京都から発信された「環境マネジメントシステム」の規格です。

 

DX推進へ補助金申請時の注意点

生産性が低いと言われる日本において、企業の99.7%を占める中小企業のDX化は最重要課題です。総務省を始め、各省庁が積極的に補助金や助成金による支援を強化しています。

ここでは補助金や助成金の申請時に注意すべき点についてご紹介致します。

 

補助金と助成金の違いを理解する

補助金も助成金も、官公庁から支給される返済不要の資金であることは同じです。助成金の主な管轄は厚生労働省で、雇用や労働環境の改善が中心です。一方で、補助金の主な管轄は経済産業省(中小企業庁など)であり、新規事業の支援や地域振興などを目的としています。

 

助成金・補助金を同一事業内での併用は基本的にNG

助成金・補助金の併用は可能です。しかし、同一事業(例えば、AIによる自動検査装置を購入し効率化を図る事業)に対し、複数の助成金・補助金を受けることはできません。

ただし、多くの助成金・補助金には審査がありますので、同一事業であっても申請だけなら、複数への申請が可能です(同一補助金への複数申請は原則不可)。

 

事業計画に合う補助金を選ぶ

補助金も助成金も、管轄によって申請方法や審査の難易度や目的、給付額などに様々な違いがあり、使い方は厳しく限定されます。当然対象経費から外れた支出には支給されませんし、支給されたお金を目的の用途以外で利用した場合は返還しなければなりません。

そのような事態にならないためにも、それぞれの特徴を理解し、自社の状況に最もふさわしい内容の補助金・助成金に申請するように心がけましょう。

 

十分な必要資金を準備する

助成金も補助金も基本は後払いですので、先に対象となる事業や投資を自己資金で実施する必要があります。また、申請したからといって必ずしも支給されるわけではないので、十分な必要資金を準備しておく必要があります。

資金繰りが不安であれば、ベンチャーキャピタルや金融機関から融資を受けるとか、クラウドファンディングで資金を調達するなどの方法もあります。

 

申請期限や申請要件を確認する

補助金・助成金は、申請方法がそれぞれ異なり、複雑ですので、まずは詳細をしっかり確認してください。例えば申請期限ですが、2つ以上設定されていることがあります。1つめは受給審査のための書類を提出する申請期限です。2つめはお金の支給を申請する書類を提出する期限といった具合です。どの期限も過ぎてしまえば受理されません。

また、申請要件が厳密に定められており、自社が該当するかどうかの判断が難しい場合があります。不明な場合は専門家に相談した方がよいでしょう。

 

ご相談は「サプナ社会保険労務士法人」へ

サプナ社会保険労務士法人では、中小企業の事業成長をサポートしています。補助金・助成金は返済が不要な資金であるために、安易に申請してしまいがちですが、手間もかかりますし、逆に資金繰りを悪くしてしまう可能性もあります。もちろん上手に活用すれば経営に寄与させることができますので、補助金・助成金に関心があればぜひご相談ください。オンラインによる無料相談サービスは専用メールフォームにて受け付けています。

 

原則、3営業日以内にプロの見識をもって丁寧に返信させていただきます。

 

 

まとめ

総務省や経済産業省などが実施する補助金・助成金を中小企業が有効的に活用するためには、支援内容を正確に把握したり、申請日などを管理したり、申請書類を作成するなど、やらなければならないことが多数あります。

そのために、申請することを諦めてしまっている中小企業の事業主の方も多いのではないでしょうか。通常業務を損なうことなく支援を受けるためにも、一度専門的に支援している法人に相談してみると良いでしょう。


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