組織マネジメントとは【12の組織管理法】課題や実践方法、成長させる工夫を紹介!
2025/04/28
近年、グローバル競争の激化や人手不足など、企業の経営環境が急速に変化してきています。このような経営変化に対応できるよう、組織マネジメントの手法の見直しを検討する企業が増えています。
本記事では、組織マネジメントの概要や種類、成功事例まで詳しく紹介します。組織マネジメントに関する理解を深めたい経営者や、具体的な手法を知りたい人事担当者の方はぜひ最後までご覧ください。
組織マネジメントとは
組織マネジメントとは、円滑に組織を運営するために必要なマネジメント手法のことです。企業の目標達成や成長を実現するために、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を効率的に管理・運用することを指します。
特に、人的資本経営の時代においては、ヒトを企業の資本や投資の対象として捉え、戦略的に運用することが求められています。
マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントとは、経営資源の効率化に向けて戦略や仕組み、計画を作り、実行することです。これに対し、リーダーシップとは社員の目標達成や成長を実現するために、組織を導く力のことを指します。
つまり、リーダーシップとは、マネジメントに含まれる能力の一部であるといえます。
今後求められる組織マネジメントは?
経済産業省が主催する「人材版伊藤レポート」において、日本企業には人的資本経営に基づく価値共創型のマネジメントが必要と示されています。
今後、企業は画一的なマネジメント手法に依存するのではなく、自社の規模や業務内容、社員の状況に応じて、最も価値共創がしやすいマネジメント手法を選択することが求められます。
※参照元:人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~(経済産業省)
これまでの組織マネジメント
これまでの日本企業では、経営層が主要な意思決定を行い、現場に伝達するトップダウン型のマネジメントが多用されていました。
高度経済成長の時代には、盤石な国内需要が見込めたことや、主要産業が有形資産であったこともあり、経営層や上司がある程度「仕事の正解」を理解していたことが背景として挙げられます。
なぜ新しいマネジメント手法が求められるの?
現代では、国内市場が縮小傾向にあるうえ、無形資産を中心としたグローバル競争が激化しています。こうした中では、経営層や上司が持つ過去の成功体験や、現状維持・改善を主とした経営戦略が通用しにくくなります。
そのため、「仕事の正解」を示すのではなく、社員とともに創意工夫しながら事業を運営する必要があるのです。
組織マネジメントって必要?
近年、日本では少子高齢化に伴う人手不足が深刻化しています。また、国内需要が伸び悩み、過酷なグローバル競争に晒されています。
このような環境の中で、ヒト・モノ・カネといった貴重な経営資源を無駄なく運用し、企業の価値向上に繋げるために、自社に合った組織マネジメントの手法の導入が進められています。
組織マネジメントの目的
組織マネジメントの目的は、組織としての目標達成や成長を実現することです。企業の理念やミッション・ビジョン・バリュー、経営方針によって、達成すべき目標や成長の方向性は異なります。
組織マネジメントの手法を検討する際は、経営層と密接なコミュニケーションを行い、ベクトルを合わせることが必要です。
組織マネジメントのメリット
自社に合った組織マネジメント手法が定着すると、以下のようなメリットがあります。
人材育成がスムーズになる
社員一人ひとりのスキルや性格、成長段階に合わせたマネジメントが可能になるため、業務への理解やスキルの習得が促進されます。
結果として、育成にかかる時間や負担を軽減しながら、確実な成長を後押しする体制を整えることができます。
管理職の負担が軽減される
業務や役割の分担が明確になることで、管理職の業務が効率化され、必要以上のマルチタスクや属人化を避けられるようになります。
その結果、マネジメント層が本来の業務に集中できるようになり、組織全体の機動力が向上します。
組織全体の生産性が向上する
無駄な作業や非効率なフローが可視化され、改善につながることで、限られた経営資源を有効に活用できるようになります。
業務の流れが整うことで、部署間の連携もスムーズになり、全体としてのアウトプット向上が期待できます。
組織マネジメントの注意点
組織マネジメントを導入する際には、以下のような点に注意が必要です。
経営層の巻き込みが不可欠
まず大前提として、組織マネジメントは経営層の理解と関与がなければ定着しにくい性質があります。企業としてどのような方向性で成長を目指すのか、その戦略とマネジメント手法が連動していなければ、現場との間で齟齬が生じてしまいます。
そのため、マネジメント手法の選定や見直しを行う際は、経営層を巻き込みながら、全社的な目標と一貫性を持たせることが求められます。
管理職への教育が成功の鍵
実際にマネジメントを実行するのは、現場の管理職であることがほとんどです。したがって、選定したマネジメント手法が適切に運用されるよう、管理職への教育や研修は非常に重要です。
制度の背景や目的、期待される役割について丁寧に伝えることで、現場とのギャップを埋め、円滑な実行をサポートする体制を整えることが可能になります。
社内への周知徹底が欠かせない
マネジメント手法を変更・導入する際には、対象となる全社員への丁寧な説明が欠かせません。背景や目的が十分に伝わっていないと、社員の理解や納得が得られず、形骸化してしまう恐れがあります。
変更内容を正しく理解してもらうために、説明会や社内資料を通じた周知を行い、疑問や不安に対するフォローアップも含めて丁寧に対応することが大切です。
組織マネジメントの種類12選
この章では、具体的なマネジメント手法や組織形態、組織構造について紹介します。
トップダウン型
経営層が主体となって意思決定を行い、現場の社員に対して指示を行うマネジメント手法のことです。役員や部門長などのトップ層を中心に意思決定を行うため、迅速な経営判断ができる点がメリットです。
一方、経営層と現場が分断されることで、現場で生じている課題の発見が遅れたり、社員目線での気づきやアイデアが埋没してしまったりするなどのデメリットがあります。
ボトムアップ型
現場から積極的に声を挙げてもらい、意思決定を行うマネジメント手法のことです。現場で生じている課題を発見しやすく、社員がのびのびと意見や気づきを共有することでイノベーションが生まれやすくなります。
その半面、意思決定に関わる人数が増えることで、企業経営にブレが生じたり、スピーディーな経営判断がしづらくなったりするなどのデメリットもあります。
ミドルアップダウン型
中間管理職が中心となって組織運営を行うマネジメント手法のことです。ミドルアップダウン型では、中間管理職がトップ層の経営判断を社員に定着させる役割と、現場の意見を集約してトップ層に提言する役割の両方を持ちます。
激しい経営変化に対応しながら、迅速な意思決定ができる点がメリットですが、中間管理職にかかる負担が大きく、実現させるための人事評価制度や教育制度、環境整備などのハードルが高いマネジメント手法といえます。
機能型
職能や業務内容に応じて人材の所属先を分ける組織形態のことです。日本企業で一般的に導入されている組織の型であり、営業部・技術部・人事部など、部署ごとに組織・人材を管理します。
業務内容ごとに組織が分かれているため、スペシャリストが育成しやすいのがメリットです。一方、プロジェクトにおける責任の所在が曖昧になりやすい点や、部門間での連携が取りにくい点などデメリットもあります。
プロジェクト型
プロジェクトごとに専門的なスキルを持つ人材を集める組織形態のことです。システム・プロダクト開発を手掛ける企業やコンサルティングファームなどで導入されていることが多いです。
案件単位で人材を動かすことができるため柔軟性が高い点や、責任の所在を明確化できる点がメリットとして挙げられます。ただし、頻繁にチームが入れ替わることで知見やノウハウが蓄積されず、人材育成が難しいといった課題もあります。
マトリックス型
機能型・プロジェクト型を掛け合わせた組織形態です。社員は職能や業務内容に応じた組織に加えて、特定の事業やプロジェクトにも所属することになります。
限られた人材を柔軟に活用できるうえ、プロジェクトで得られた学びを部署に還元できるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、所属する組織や担当案件、上長が複数名になることで、優先順位付けや報告・連絡・相談などの場面で社員が困惑することがあります。
人事評価も複雑になるため、導入には一定のハードルがある組織形態といえます。
アジャイル型
個々の社員に適切な権限を付与し、柔軟かつスピーディーな意思決定を促す組織構造です。ソフトウェア開発の手法である「アジャイル開発」の考え方を参考にしています。
顧客からの意見や現場で生じた課題に対してチーム単位で改善策を実行するなど、PDCAサイクルを高速で回せる点が魅力です。一方、インフラ系の事業部や経理部など、正確性や慎重さが求められる部署には向いていません。
また、現場で適時適切な判断ができる人材がいないとうまく機能しない点もデメリットです。
ホラクラシー型
社内に役割や階層が存在しないフラットな組織構造のことです。アジャイル組織では個々の社員に権限が付与されますが、ホラクラシー型では役割に応じて紐づけられたグループごとに権限が付与されるという点で差異があります。
個々の社員が高い自由度で働ける点や、上下関係による精神的な負荷がかからない点がメリットです。ただし、個々の社員には自走できる程度の能力が求められるうえ、適切な人事評価システムを構築するのが難しくなっています。
リーン型
無駄なプロセスを徹底的に省き、高い収益性を目指すマネジメント手法のことです。トヨタ生産方式の基本理念を参考にして開発されました。
リーン型の組織ではヒト・モノ・カネなどの経営資源をぎりぎり必要な分しか用意しないため、人員コストや生産コストを減らし、効率的に組織を運営することができます。
一方、キーパーソンの退職や天災などの環境変化が発生した際には経営危機に陥るリスクがあります。
OKR型
OKRとは、目標と成果指標を軸にした目標管理手法です。OKR型のマネジメントでは、組織目標・部門目標・チーム目標・個人目標につながりを持たせることで、全社員が同じ方向を向いて働くことができます。
また、チャレンジングな目標設定がなされるため、社員のやる気やチームワークを向上させる効果もあります。一方、人材不足の企業や、業務過多に陥っている企業で導入すると、社員に過度な負担やプレッシャーをかけてしまう可能性もあります。
KPI型
KPIとは、目標を達成するために、各プロセスにおける達成度合いを計測・評価する目標管理手法です。KPI型のマネジメントでは、目標達成するまでのプロセスが管理されます。
個々の社員の取るべき行動が明確化されるため、業務をスムーズに進めることができます。一方で、KPIの設定に問題があると、達成が難しくなってしまうため、管理者の目標設定力が問われる手法といえます。
サーバント・リーダーシップ型
「リーダーがメンバーに奉仕し、適切な方向へ導く」という考え方に基づくマネジメント手法です。サーバントリーダーシップ型の組織では、従業員の成長を支援することで、結果的に組織全体の成長にもつながることを重視するマネジメント手法です。
サーバントリーダーが社員からの信頼を集め、主体的な協力を引き出すことで、結果的に組織が成長しやすくなります。ただし、組織の方向性を調整したり、サーバントリーダーを育成したりするには一定の時間がかかります。
組織マネジメントの重要ポイント
マネジメント手法を実行する際には、以下のポイントを押さえましょう。
・組織が目指すビジョンや経営目標を明確化し、手段の目的化を避ける
・社員に過度な業務負荷や不安感をもたらさないよう、マネジメント手法を変更する際は段階的に導入する
・新たなマネジメント手法が定着するよう、導入の背景や内容に関する教育研修を徹底する
組織マネジメントの課題とは
組織マネジメントの導入にあたっては、「どの手法が自社に合うかわからない」「種類や特徴が理解できていない」といった悩みを抱える企業が多くあります。
特に中小企業やスタートアップでは、リソース不足も重なり、手法の選定が後回しになりがちです。
学び方を工夫しよう!
マネジメントを効果的に取り入れるには、基本知識の習得が欠かせません。まずは本やレポートで概要を掴むのが第一歩です。その上で、外部研修やセミナーで実践的な事例に触れると、現場で使える知見が広がります。
より深く学びたい場合には、組織マネジメント研修やセミナー、MBAの受講も選択肢となります。理論と実務の両面から学ぶことで、自社に合ったマネジメントの姿が見えてくるはずです。
組織マネジメントの実践方法
企業によって導入すべき組織マネジメントの手法は異なります。しかし、どのような企業であれ、組織マネジメントを導入する際には、企業の経営資源や課題を明確にすることが重要です。
明確化を行うにあたって、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱している「組織の7s」を活用される方が多いです。
「組織の7s」とは、企業における7つの経営資源をもとに、最適な事業戦略を考えるフレームワークです。これらの経営資源を棚卸することで、今後の組織マネジメントの方向性を検討しやすくなります。
ハードの3S:戦略(目標達成の方向性)・組織構造(パフォーマンスを最大化するための組織形態)・システム(制度やルール)
ソフトの4S:スキル(自社の競争優位性や強み)・人材(自社の人材全般の情報)・価値観(理念やミッション・ビジョン・バリュー)・スタイル(社風や企業風土)
組織を成長させるための工夫は?
組織の成長を促すために企業が取り組むべきことの一つが、社員のエンゲージメントの向上です。個々の社員が主体的に業務に取り組まなければ、価値共創型の組織を作るのは難しいでしょう。
エンゲージメントを向上させるには、組織マネジメントの導入・浸透に加えて、以下のような取り組みが有効です。
・透明性が高く、公平な人事評価制度を整備する
・教育体制を整え、個々のキャリアアップ・スキルアップを支援する
・心理的安全性の確保に向け、1on1やメンター制度などを導入する
組織マネジメントの成功例
この章では、組織マネジメントに成功した具体的な事例について紹介します。
日立製作所:マトリクス型の組織形態やOKRマネジメントをベースに、経営リーダー候補を選抜して、ストレッチ目標を与えて育成する「Future50」という仕組みを運用している。これにより、グローバルでの人材活用を促し、優秀な人材のエンゲージメントを高めている。
三菱ケミカル:若手社員から改革のための意見・アイデアを吸い上げるボトムアップ型のマネジメントを通じて、人的資本経営に向けた人事制度改革を進める。主体的なキャリア形成や透明性のある処遇・報酬、多様性の促進・支援を軸にした新制度の導入が、多様性の促進や社員の活躍の場の拡大につながっている。
※参照元:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~人材版伊藤レポート2.0~ 実践事例集(経済産業省)
まとめ
この記事では、組織マネジメントの内容や目的、具体的な事例などを紹介しました。
組織マネジメントを導入する際は、自社の経営目標や理念に合わせて、適切な手法を導入することがおすすめです。
ぜひ、本記事を組織マネジメントの手法の検討の際に役立ててみてください。
.png)


