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ケイパビリティとは【わかりやすく解説】重要性・評価方法・具体例・よくある質問を紹介

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ケイパビリティとは【わかりやすく解説】重要性・評価方法・具体例・よくある質問を紹介

ケイパビリティとは【わかりやすく解説】重要性・評価方法・具体例・よくある質問を紹介

2024/11/13

近年、「ケイパビリティ」という言葉がビジネスの場で注目を集めています。企業や組織が持つ「組織ならではの強み」「組織力」を指すこの概念は、特に変化の激しい現代社会において、その重要性が増しているのです。

 

新型コロナウイルスの流行を契機とした働き方の変化や、グローバル化の進展により、ビジネス環境は日々大きな変化を遂げています。こうした状況の中で、企業が持続的に成長していくためには、自社の「ケイパビリティ」を正確に見極め、それを最大限に活かすことが欠かせません。

 

この記事では、ケイパビリティの基本的な概念から、評価方法や高め方、具体例まで詳しく解説します。

 

 

ケイパビリティとは

ケイパビリティとは英語で「能力」「才能」「性能」といった意味を持つ言葉です。ボストン・コンサルティング・グループのジョージ・ストークス等が1992年に発表した論文では「ケイパビリティはバリューチェーン全体に及ぶ組織的能力」と定義されています。

 

ケイパビリティの例として挙げられるのが、スピードや効率性。製品や市場など単体ではなく、事業全体のプロセスについての強みです。具体的には、組織内で培われた技術、知識、リソース、人材、プロセスなどが一体となって生み出される力とされ、他社には真似できない価値を提供することが可能となります。

 

一方で特定の技術力や製造能力といった強みは「コアコンピタンス」と定義しています。

 

ケイパビリティの重要性

コストダウン、差別化、集中を柱とする従来の競争戦略は、業界や競争相手が明確であることを前提としていました。しかし変化が激しく、境界線のないグローバルな現代の社会経済において、これまでの競争戦略だけでは企業は生き残ることが難しくなってきています。

 

新しい技術の流入や景気の動向、グローバル化といった外的要因に左右されない組織力が重要になります。自社のケイパビリティを正確に把握し、向上させ活用していくことがこれからの社会で事業を維持していく重要なポイントとなります。

 

コンピテンシー・コアコンピタンス・ケイパビリティの違い

 

「コンピテンシー」「コアコンピタンス」「ケイパビリティ」は、ビジネスにおける企業や組織、それを構成する個人の能力や強みを表しますが、それぞれ異なる意味を持ちます。ここでは3つの言葉の意味や違いを解説します。

 

「ケイパビリティ」と「コンピテンシー」の違い

「ケイパビリティ」は組織全体の総合的な力を表す一方、「コンピテンシー」は個人が持つ、仕事をする上での能力やスキルを表します。

 

言葉

意味

ケイパビリティ(Capability)

企業や組織が持つ、目的を達成するための総合的な力。個人ではなく組織全体の力を指します。

コンピテンシー(Competency)

個人の持つ、職務や役割を効果的に行うための知識・スキルを指します。

 

「ケイパビリティ」と「コアコンピタンス」の違い

「ケイパビリティ」が特定の技術ではなくビジネスプロセス全体における強みを表す一方、「コアコンピタンス」は企業の競争優位性の源泉となる能力や技術を指します。たとえば、ホンダ社のエンジン技術やグーグル社の検索アルゴリズム、データ分析技術などは両社を支えてきた重要なコアコンピタンスと言えます。

 

言葉

意味

コアコンピタンス(Core Competence)

企業が競争優位を築くにあたり中核を担う能力や技術

 

 

ケイパビリティの評価方法

自社のケイパビリティを評価するにはいくつかの方法があります。以下に代表的な2つのアプローチを解説します。

 

SWOT分析

SWOTは「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」の略です。SWOT分析は、組織の強みや弱みと言った内部環境と外部環境(機会、脅威)を把握するフレームワークです。

 

組織のケイパビリティを強化し、成長させる方法を明確にできます。

 

 

プラスとなる要因

マイナスとなる要因

内部環境

Strengths(強み)

Weaknesses(弱み)

外部環境

Opportunities(機会)

Threats(脅威)

 

以下にSWOT分析を用いた具体的なケイパビリティの評価方法を解説します。

 

1. 【Strengths(強み)】を把握する

組織全体における競争優位性のある要素を洗い出します。

 

例)生産力・高品質・スピードなど

 

 

2. 【Opportunities(機会)】を分析する

自社が属する市場の動向や好景気、規制の緩和など、外部環境が及ぼすポジティブな影響を分析します。

 

例)競合他社の撤退・減税・業界内の景気回復など

 

外部環境からの機会を生かせる競合優位性のある強み=ケイパビリティを把握する

 

 

3. 【Weaknesses(弱み)】と【Threats(脅威)】を明確にする

自社の弱みを特定し、克服するための対処を行います。

例)知識や人員の不足、効率の悪さといった組織力のマイナスとなる要素

 

外部環境が及ぼすネガティブな影響を分析し、リスク管理や予防策を講じます。

例)競合の新規参入・増税・法規制強化など

 

ケイパビリティを把握し、弱みを克服し脅威対策することで、より能力を強化することができる

 

ギャップ分析

ギャップ分析は、現状の能力と理想や目標とする状態との間にある差(ギャップ)を特定する方法です。ケイパビリティを評価し、目標達成に向けた具体的な行動計画を立てるために有効です。

 

人材レビューを行う

人材レビューにギャップ分析を用い、従業員の現状のスキルや能力が組織の目標にどの程度対応しているかを評価し、現状と目標達成のために必要な能力のギャップを把握します。改善を必要とする点を明確にすることができます。

 

ギャップを埋めるためのトレーニングなど対策をすることで、企業はより競争力を高め成長することができます。

 

改善計画の策定

ここでは、ケイパビリティを向上させるための改善計画の策定方法やプロセスについて解説します。

 

トレーニングプランの作成

1. 改善計画のゴールを設定

初めに改善の目的を定義します。生産性や顧客満足度の向上、コスト削減といった改善計画の具体的なゴールを設定します。

 

2. ギャップ分析

現状と目標間にあるギャップを分析し、現状不足している各従業員のスキルや能力を特定します。

 

3. トレーニングプランの設計

不足しているスキルや能力を高めるためのトレーニングプランを設計します。

 

例)

技術トレーニング(PCスキルや機械操作)

コミュニケーションスキルトレーニングなど

 

また、改善計画には従業員のトレーニング以外にも、技術投資や業務フローの効率化などの施策が考えられます。

 

定期的な評価を行う

改善計画の進捗を定期的にモニタリングします。設定したゴールに対する達成度を都度評価します。改善計画実行は一度で終了するのではなく、継続的に行うことが重要です。

 

組織を取り巻く外部環境の変化に合わせて、改善計画の設定と実行、評価を繰り返します。

 

ケイパビリティマッピングを行う

ケイパビリティマッピングは、組織が持つケイパビリティを整理し可視化する方法です。ケイパビリティマップを作成することで、どの領域に組織の強みや弱点があるのかを明確に把握できます。

 

ケイパビリティマップを作成する目的(ケイパビリティの強化や現状把握など)を明確にし、現状のケイパビリティをリスト化します。場合によっては階層化し、各ケイパビリティの関連性を把握します。

 

作成したマップを元に、ギャップ分析を行います。製造業における簡単なケイパビリティマップの例を紹介します。

 

ケイパビリティのカテゴリ

ケイパビリティ

現在の成熟度

(10段階)

目標とする成熟度

(10段階)

ギャップ対策

技術

加工技術

8に向けた設備投資

組立技術

品質

品質管理

10

ISO認証取得

人材

技術者のスキル

5

技術習得トレーニング実施

サプライチェーン

在庫管理

在庫管理システムの導入

 

他企業との比較をする

ケイパビリティ評価の方法として、競合他社と自社のケイパビリティを比較し、競争優位性や改善点を明確にすることが有効です。以下は製造業におけるケイパビリティの他社比較の具体例です。

ケイパビリティのカテゴリ

ケイパビリティ

自社の成熟度

(上~下)

他社Aの成熟度

(上~下)

他社Bの成熟度

(上~下)

比較結果

技術

加工技術

組立技術

品質

品質管理

人材

技術者のスキル

他社A,Bに遅れをとっている

サプライチェーン

在庫管理

在庫管理システムに改善の余地あり

 

 

ケイパビリティを高めるメリット

ケイパビリティを高めることには企業に多くのメリットがあります。以下はケイパビリティを高めることで得られる主なメリットです。

 

・競争優位性が高まる

・品質が向上する

・効率性が高まる

・コスト削減につながる

・リスク管理の強化

・新たな市場の開拓につながる

 

ケイパビリティを高めるデメリット

ケイパビリティを高めることは、下記のデメリットにつながる可能性があります。

 

・コストが増加する

・人材や時間といったリソースの消費が必要となる

・投資に対して効果が発揮されないことがある

 

ケイパビリティの具体例

ここでは企業で活用されるケイパビリティの具体例を紹介します。

 

1. Amazon社

物流・配送能力、クラウドサービス(Amazon Web Service)

2. ホンダ社

ディーラー管理

3. ナイキ社

ブランド管理、技術革新力

 

 

ケイパビリティに関するよくある質問

 

ケイパビリティを向上させる具体的な方法は?

ケイパビリティを向上させるためには、組織全体の能力やプロセスを見直し、継続的に改善を行うことが重要です。以下に、具体的な方法を詳しく説明します。

 

【人材開発】

人材開発:継続的なトレーニングや研修、教育を通じて、社員のスキルや能力を向上させます。

 

【プロセスの見直しと改善】

業務や生産プロセスを見直し、無駄を削減し効率性の高いプロセスに改善します。

 

【サプライチェーンの見直しと強化】

供給先との関係を強化しリスク管理を徹底するとともに、DX推進などにより商品配送を効率化させます。

 

リモートワークで重要なケイパビリティとは?

リモートワークにおいて重要となるケイパビリティは下記の3点です。

 

【ツールの導入】

社員同士がリアルタイムでやり取りのできるコミュニケーションツール(zoomや Slackなど)を導入し、コミュニケーションと情報共有が問題なく行える環境があること

 

【デジタルセキュリティの強化】

機密情報や個人情報が外部に漏れることのない強靭なセキュリティ環境が整っていること

 

【業務の自動化】

契約締結や請求処理など、すべてがオンラインで完結する業務の自動化ができていること

 

まとめ

変化の激しい現代社会において、外部環境に左右されないケイパビリティの把握と活用は、事業の持続的成長に欠かせません。

 

SWOT分析やギャップ分析を通じて現状を評価し、改善計画を策定することで、競争力を高めることが可能です。一方で、コストやリソースの消費といった課題も伴いますが、適切な投資によって企業成長や新たな市場開拓が期待できます。

 

競争優位性を強化し、持続可能な成長を実現できるよう、ぜひこの記事を参考にケイパビリティを向上させましょう!


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