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変形労働時間制とは【社労士監修】特徴とメリットデメリット、残業時間の扱いを詳しく解説

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変形労働時間制とは【社労士監修】特徴とメリットデメリット、残業時間の扱いを詳しく解説

変形労働時間制とは【社労士監修】特徴とメリットデメリット、残業時間の扱いを詳しく解説

2025/09/15

変形労働時間制とは、一定時間内で労働時間を調整することで、柔軟に労働日・労働時間を定めることが可能になる制度です。労働基準法では、1日8時間、週40時間以内の労働が基準となっており、それ以上は時間外労働として扱われます。
 
多くの業種では繁忙期と閑散期があり、業務量は365日一定ではありません。変形労働時間制を採用することで、特定の日に長時間労働し、他の日に短時間で退勤するといった柔軟な労働時間の設定が可能になります。

 

この記事では、変形労働時間制の概要やメリット、注意点や導入事例等について詳しく解説します。


変形労働時間制とは


変形労働時間制は、労働時間を一定の期間内で柔軟に調整する制度です。
この制度では一定期間内における総労働時間を基準として、日々の労働時間を調整します。

 

例えば、繁忙期には長時間働き、閑散期には短時間勤務にするなど、労働時間を変動させます。
総労働時間が法定内に収まっている場合は、制度上は残業とならないこともありますが、就業規則や労使協定の定めによっては割増賃金の支払いが必要となるケースもあります。


制度導入には就業規則その他これに準じるものにより定めをしている場合は、1カ月単位変形労働時間制を除いて労使協定が必要となり、労働者の同意を得ることが求められます。

 

変形労働時間制の概要


業務の繁閑に応じて日々の労働時間を変動させつつ、一定期間の総労働時間が法定の範囲内に収まるよう調整する「変形労働時間制」。


まずは、この制度の基本的な定義について確認しましょう!

 

変形労働時間制の定義


労働基準法に定められた1日8時間、週40時間以内の労働基準にとらわれず、一定期間を平均すれば法定労働時間に収まるようにすることで、週、月、年単位で労働時間を変形させることができます。

 

通常、法律に基づき1日8時間を超える労働は時間外労働となりますが、変形労働時間制では日ごと、週ごと、変形期間ごとの法定労働時間を超えた労働時間が時間外扱いとなります。

 

導入する目的とは?


変形労働時間制度を導入する目的は、主に以下の3点にあります。

 

労働時間の効率化


繁忙期と閑散期がある等、1年を通して業務量にばらつきがある場合に、企業が無駄な労働時間を削減し労働力を必要な時に集中させることで、労働時間の効率化をはかります。業務の生産性を向上させることができます。

 

従業員のワークライフバランス向上
業務の少ない日は早めに帰宅できる等、柔軟な働き方の選択をしやすくし、従業員のワークライフバランスの向上につなげることも目的の一つです。

 

コストの削減
閑散期に稼働することでかかる光熱費や通信費、交通費といった費用を抑え、繁忙期の必要な時期に集中して労働を行うことで総コストの削減をはかります。

 

変形労働時間制の種類


変形労働時間制には主に以下のような種類があります。

 

1ヶ月単位の変形労働時間制


1ヶ月を1つの期間として、その期間内で労働時間を調整する制度です。1ヶ月以内の期間を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間(※特例事業は44時間)以内であれば、日・週の法定労働時間を超えた労働時間を設定することができます。

 

例えば月の前半・後半が多忙期の場合、前後半の就業時間を実働10時間とし、それ以外を実働6時間とする等、柔軟な労働時間設定ができます。


※特例事業は常時10人未満の労働者を使用する以下の事業所に適用
・卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
・映画の映写、演劇、その他興業の事業
・病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
・旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

 

1年単位の変形労働時間制


1年を1つの期間として労働時間を調整します。1ヶ月を超え1年以内の期間において、1週間あたりの労働時間が40時間を超えないことを条件に、労働時間の配分を行います。1ヶ月単位の場合と違い、特例事業についても40時間が適用されます。

年単位の変形労働時間制は、季節により繁忙期と閑散期がはっきりしている業種によく利用されています。利用する際は以下の制限が設けられています。

 

・年間の労働日数は原則280日以内とする
・1日の労働時間は10時間以内とする
・1週間の労働時間は52時間までとする
・連続して労働させる日数の限度が6日(特に業務が忙しく期間として特定期間を定めると、その期間は連連続12日まで可能)

 

変形労働時間制とする対象期間が3ヶ月を超える場合は更に次のような制限があります。
・対象期間中に、週48時間を超える所定労働時間を設定するのは連続3週間以内
・対象期間を初日から3ヶ月ごとに区切った各期間において、週48時間を超える所定労働時間を設定した週の初日の数が3以内

 

1週間単位の変形労働時間制


1週間を1つの単位として労働時間を調整する制度です。1週間の労働時間が40時間を超えない範囲かつ、1日10時間以内で設定します。この制度を利用できるのは、30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店に限られています。

また各日の労働時間は、少なくとも1週間前には書面で通知することが必要となります。

 

フレックスタイム制


一定の「清算期間」と呼ばれる期間(最大3ヶ月以内)に定められた総労働時間の枠内で、従業員が始業と終業時間を柔軟に調整することができます。この制度では「コアタイム」と呼ばれる必ず勤務しなければならない時間を設定しておくことも可能です。

都心部で通勤電車が混雑する企業や、子育て世代の従業員が多くいる企業等で利用されることの多い制度です。

 

変形労働時間制の導入メリット


変形労働時間制を導入することで、企業には以下のメリットがあります。

 

年間の残業時間の削減


繁忙期と閑散期で労働時間を調整することで、年間を通じての残業時間を削減することができます。
併せて、結果的に残業代の適正化や労務コストの抑制につながる可能性もあります。

 

従業員のモチベーション向上


変形労働時間制によって、従業員は個々のライフスタイルに合わせた働き方がしやすくなります。柔軟性のある働き方は、仕事へのストレスを減らし、モチベーションの向上につながるメリットがあります。

 

企業ブランド・イメージアップ


無駄を省き、繁忙期に労働力を集中する効率的で柔軟な働き方を採用する企業は、社会の要望を果たすとして世間から見たイメージアップにつながります。人材確保のための魅力的なアピールにもなります。

 

変形労働時間制の導入注意点


効率的で柔軟な働き方を可能にする変形労働時間制ですが、導入する際は以下の点に注意が必要です。

 

・各制度には1日や1週間等の上限労働時間が定められているため、確認が必要
・1ヶ月単位の変形労働時間制では、特例事業に週44時間までの労働が認められるが、18歳未満の従業員は適用外となる
・各制度ごとの法定労働時間を超える労働は時間外勤務の扱いとなり、残業代の支払いも発生する
・勤怠管理がやや煩雑となり、管理担当者の業務が増える場合がある

 

変形労働時間制の導入方法


以下に変形労働時間制の導入における一般的な流れを解説します。

 

①現状把握


例年の勤怠記録や年間の業績推移を元に、現状の労働時間と繁忙期・閑散期の把握を行います。

 

②変形労働時間制の対象者・制度の選定


現状を把握した上で、変形労働時間制の適用が必要な対象者と利用する制度を選定します。

 

③就業規則の見直し


変形労働時間制を導入するにあたり、これまでの就業規則の見直しと変更、整備を行います。

 

④労使協定を締結する


変形労働時間制を導入するためには、労使協定の締結が必要です。労働者の同意を得ていることの確認と、変形労働時間制の具体的な基準や期間を協定内容に盛り込みます。

 

⑤労働基準監督署への届け出


労使協定締結後、その内容を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。ただし、労基署は協定内容を審査する機関ではないため、導入前には制度内容が法令に沿っているかどうかをしっかり確認することが必要です。
正しく届け出がなされた場合は、正式に変形労働時間制を導入することができます。
(1ヶ月単位の変形労働時間制は就業規則に規定があれば届出不要、フレックスタイム制は精算期間が1ヶ月以内であれば届出不要)

 

⑥制度の実施


変形労働時間制度を実施します。

 

変形労働時間制の残業時間の扱い


変形労働時間制において、残業時間の扱いはそれぞれの制度により異なります。以下に各制度の残業時間の扱い方を説明します。

 

1ヶ月単位の変形労働時間制


1ヶ月単位の変形労働時間制では、以下の場合残業扱いとなります。

① 1日の時間外労働:労使協定又は就業規則等で定めた1日の労働時間を超える時間、それ以外は8時間を超える時間(但し、1日の所定労働時間が8時間以内の場合は、8時間までの残業は法定内残業といして割増をしない通常の賃金で良い)
② 1週間の時間外労働:労使協定又は就業規則等で定めた1週の労働時間を超える時間、それ以外は1週40時間を超える時間 (①で時間外労働となる時間を除く。)但し、週の所定労働時間の合計が法定労働時間(40時間又は44時間)に満たない場合には、40時間又は44時間までの残業は法定内残業といして割増をしない通常の賃金で良い)
③ 1ヶ月の時間外労働:1ヶ月の労働時間総枠を超えて労働した時間(①又は②で時間外労働となる時間を除く。)

 

1年単位の変形労働時間制


① 1日の時間外労働:労使協定又は就業規則等で定めた1日の労働時間を超える時間、それ以外は8時間を超える時間(但し、1日の所定労働時間が8時間以内の場合は、8時間までの残業は法定内残業といして割増をしない通常の賃金で良い)
② 1週間の時間外労働:労使協定又は就業規則等で定めた1週の労働時間を超える時間、それ以外は1週40時間を超える時間 (①で時間外労働となる時間を除く。)但し、週の所定労働時間の合計が法定労働時間(40時間又は44時間)に満たない場合には、40時間又は44時間までの残業は法定内残業といして割増をしない通常の賃金で良い)
③1年間の時間外労働:1年365日(うるう年は366日)を7で割り、40をかけた日数が年間の法定労働時間となり、法定労働時間を超えた分が残業時間となります。(①又は②で時間外労働となる時間を除く。)

 

フレックスタイム制


清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となります。

 

 1週間単位の非定型的変形労働時間制


①1日の時間外労働:労使協定で定めた時間が8時間を超える日は、定めた時間を超えた時間が時間外労働になります。一方、8時間より短く1日の労働時間を設定している日は8時間までの時間は割増をしない時間外労働、8時間を超えた時間が割増賃金の対象の時間外労働となります。

②1週間の時間外労働:1週40時間を超える時間が時間外労働となります。(①で時間外労働となる時間を除く。)

 

変形労働時間制の事例


変形労働時間制は、実際に多くの企業で導入が進められており、業務効率の向上や従業員満足度の向上といった成果を上げています。
こちらでは、実際に制度を取り入れている企業の取り組み内容を見てみましょう!

 

株式会社ユニクロ


変形労働時間制を導入しており、1日10時間で週4日勤務の働き方など従業員が自身のライフスタイルに合わせて働くことができる制度が整っている。給与は週休2日の場合と同額であり、従業員の仕事へのモチベーション向上につながっている。

 

株式会社山久


1年単位の変形労働時間制を採用し、社内カレンダーで会議などの会議予定や請求書発行日、決算棚卸日等を特定することにより、それらの日に向けた業務計画を明確化している。制度の実施により月の残業時間を27時間から18時間に削減することに成功した。

 

※記載の制度内容は公開情報をもとにしたものであり、詳細は各企業の公式HP等でご確認ください。
・参考:株式会社ユニクロ.”地域正社員の制度”,
経済産業省.”シリーズ働き方改革の成功例”,


変形労働時間制によくある質問


変形労働時間制を導入・運用するにあたり、制度の仕組みや他制度との違いについて、実際によく寄せられる質問とその回答をわかりやすく解説します。

 

変形労働時間制とフレックスタイム制の違いを簡単に表すと?


変形労働時間制は会社側が繁忙期や閑散期に合わせ労働時間を設定する制度です。一方、フレックスタイム制は、総労働時間を満たせば始業時間と終業時間の設定は従業員が各々自由に設定することができる点が大きく違います。

 

変形労働時間制の導入に従業員の同意は必要?


従業員の同意を確認する労使協定の締結が必要です。

 

まとめ


業務の繁忙期や閑散期に合わせて労働時間を変動させることができる変形労働時間制は、企業の生産性向上や従業員のモチベーションアップ、組織力向上につながります。ぜひこの記事を参考に、自社のニーズに合致した労働時間制度を導入してください。
 


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