障がい者雇用率が段階的に引上げ 2025年度には2.7%に
2023/01/26
厚生労働省は、企業に義務付けられている障害者雇用率について、現在の2.3%から段階的に引き上げ3年後に2.7%にすると発表しました。
令和5年度からは2.7%へ 段階的に引上げ
障害のある方は、そうでない方と比べて就労の機会を簡単に確保できない傾向があります。
しかし、実際には障害のある方もさまざまな能力を持っており、仕事で活躍できる場があります。
そこで自立や社会参加を目的として、一般的な労働市場とは別に障害のある方だけを対象にした雇用の仕組みが整えられました。
現在従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
民間企業の法定雇用率は2023年1月現在2.3%です。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
厚生労働省は、障害者雇用の政策のひとつ、企業に義務付けられている障害者雇用率について、現在の2.3%から段階的に引き上げ3年後に2.7%にすると発表しました。
引用:厚生労働省:第123回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)
障害者の実雇用率が法定雇用率に達していない労働者が100名以上の民間企業は、納付金支払いの義務が生じます(1名あたり5万円/月)。また6月1日の雇用状況により2年間の雇入れ計画を作成し、実施しなければなりません。障がい者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別な雇用管理等などを整えるために、経済的負担がともなうことがあります。
そのため障害者雇用納付金制度では、障害者雇用率が未達成の企業から納付金を徴収し、雇用率を達成している企業に対して調整金、報奨金などを支給するとともに、障がい者の雇用の促進等を図るための各種の助成金を支給しています。
・障害者作業施設設置等助成金
障がい者の新規雇い入れまたは継続雇用を図るため、障がい特性による就労上の課題を解決し、作業がやりやすくなるよう配慮された作業施設等の設置・整備をおこなう事業主に対して助成されるものです。
・障害者福祉施設設置等助成金
障がい者の継続雇用を図るため、障がい者が利用しやすく配慮された福利厚生施設等の設置・整備をおこなう事業主や、事業主が加入している事業主団体に対して助成されるものです。
などが主なものです。
また2024年4月から雇入れに必要な一連の雇用管理に対する相談援助の助成金が創設される予定です。詳細については次回以降の分科会にての検討事項としていますが、中小企業に関して、助成金の上乗せ等を行うことや既存助成金の拡充により、 雇用率の引上げや除外率の引下げの影響を受ける事業主への集中的な支援を行うことを通じて雇入れや定着支援の充実等を検討するともされています。
該当する企業の事業主は、いまから少しづつでも準備をする必要があります。また新たに障害者を雇用することになる企業にとっては、企業規模で環境から整えていく必要もあるでしょう。助成金などを上手に利用しながら、障害をもつ方々も働きやすい職場を作り上げていけたらいいですね。