【最新】職場メンタルヘルスとは?なぜ多い?企業が取るべき対策・予防法をわかりやすく解説
2025/10/28
近年、職場のメンタルヘルス対策が重要視されています。2025年以降、従業員50人未満の事業所も義務化の対象とする方向で検討が進められています。
この記事では、なぜ職場でのメンタルヘルスケアが必要なのかやメンタルヘルスへの対策、休職・復職への対応等について詳しく解説します。
職場メンタルヘルスはなぜ重要なのか?
職場メンタルヘルスとは、従業員の心の健康を守り、働きやすい職場をつくるための取り組み全般を指します。
厚生労働省ではこれを3段階で予防・支援する仕組みとして定義しており、それぞれの段階ごとに適切な対応が求められます。
労働者のメンタル不調が増加
厚生労働省による「令和5年労働安全衛生調査」(出典:厚生労働省)によれば、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業又は退職した労働者がいる事業所の割合は13.5%。令和3年の同調査では10.1%、令和4年では13.3%と徐々に増加していることが分かっています。
テレワークの普及により働く場所や時間の選択肢が増えた一方で、職場内のコミュニケーションや心理的安全性が不足していること、めまぐるしい社会経済の変化に伴い、企業システムや人事配置、業務内容が変わりやすいといった現代の職場環境が背景にあると考えられています。
組織への影響が大きい
職場でのメンタルヘルス不調が増加し、生産性の低下や業務ミス、遅刻・欠勤の増加といった直接的な業務への悪影響が顕著になります。さらに、メンタル不調による休職や退職が増えることで、採用コストや医療費など企業の経済的負担が増大します。
また、過重労働や労働環境の問題が原因である場合、企業イメージの低下や取引先・株主からの信頼喪失、採用活動への悪影響も懸念されます。こうしたリスクを回避し、企業が持続的成長を続けるためには職場メンタルヘルス対策が大変重要な課題となります。
「職場メンタルヘルス」とは
「職場メンタルヘルス」とは、従業員一人ひとりが心身ともに健やかに働けるよう、企業や組織が取り組む施策を言います。
働き方の変化や人間関係、長時間労働などによるストレスが大きな問題となり、うつ病や不安障害などのメンタル不調につながるケースも少なくありません。
メンタル不調は生産性の低下や離職リスクの上昇にも直結するため、経営課題として捉える企業が増えています。
3次予防の定義について
職場のメンタルヘルスは、1次予防から3次予防まで段階的に行われます。
1次予防(未然防止)
メンタルヘルス不調の発生を防ぐことを目的とした対策です。企業はストレスチェックや研修、ハラスメント防止への取組みを行うことが望ましく、従業員にとってストレスのかかりにくい職場づくりが推奨されています。
2次予防(早期発見・対応)
不調の兆候の早期発見と適切な対応を目的とします。周囲の人に相談しやすく、また周囲が異変に気づきやすい体制を整えます。
3次予防(復職支援・再発防止)
休職した従業員の職場復帰の支援と再発防止を目的とします。復帰プログラムの策定や医師との連携、職場の受け入れ体制の整備、労働時間の調整などを行います。
職場メンタルヘルスによくある原因
メンタル不調は、仕事量の増加や責任の重さだけでなく、人間関係や働き方の変化によっても引き起こされます。
メンタル不調の原因を理解しておくことは、予防や改善策を考えるうえで欠かせません。
次に、企業が実際に取り組むべき対策について見ていきましょう!
職場のストレッサー
職場におけるメンタルヘルス不調の最大の原因とされているのが、上司や同僚等との人間関係です。コミュニケーション不足や孤立感がストレスを増大させます。
また、過度な業務量や責任の増大、仕事の質や難易度が合わない等、業務に関わるもの、リモートワークの普及により顔を合わせて仕事をする機会が減少する等、企業を取り巻く社会状況の変化も職場におけるストレスとなっています。
個人要因と職場環境
職場におけるメンタルヘルス不調には、以下のような個人要因も考えられます。
・完璧主義、自己肯定感の低さ、ストレス耐性の低さなど、個人の性格傾向
・ストレスへの対処法を知らない、または有効な対処行動がとれない場合、ストレスをためやすい
・睡眠不足、運動不足、不規則な食生活等、心身の健康を損ない、ストレスへの抵抗力を低下させる生活習慣
・家庭やプライベートでの人間関係のトラブル、経済的な問題、病気や介護など、個人的な問題
・年齢や性別によるホルモンバランスの変化等によるもの
これらの個人要因は、職場環境や業務内容などの環境要因と相互に作用し、メンタルヘルス不調を引き起こすことがあります。
職場メンタルヘルスへの対策
ストレスチェックや相談窓口の設置といった仕組みに加えて、日常的な声かけや面談など小さな取り組みもメンタルヘルスには効果的です。
具体的にどんな対策に取り組むべきかをご紹介します。
企業による体制づくり
職場のメンタルヘルス対策において、相談窓口の設置、管理職研修、制度整備が重要な柱となります。
相談窓口の設置
対面、電話、メール等で匿名で相談ができる窓口を設置します。相談対応者には専門知識や傾聴スキルが必要なため、研修を実施します。
管理職研修
管理職は従業員のメンタル不調の早期発見や対応に重要な役割を担います。ストレスの兆候の見極め方、相談対応の方法、職場環境の改善策等を学ぶ管理職研修を実施します。
制度整備
メンタルヘルス対策を継続的に実施するため、相談窓口の運用ルールや相談マニュアルを作成し、従業員に周知します。
社内での対策促進
職場のメンタルヘルス対策促進に効果的なのが、日常的な声掛けや面談です。従業員の心の状態を把握し、早期に不調の兆候をキャッチするためには、日々のコミュニケーションが欠かせません。
上司や同僚が普段から気軽に声を掛け合える雰囲気を作り、従業員が相談しやすい環境を作ります。また、上司部下間で、定期的に時間を設けて個別面談を行い、仕事の状況や体調、悩みを共有します。
必要に応じて専門家による面談を設定し、専門的なサポートが行えるようにします。面談内容は適切に記録し、その後のフォローアップや職場環境の改善に活かします。
【企業ができる】相談しやすい職場改革の一例
相談しやすい環境を整えることで、従業員は問題を早い段階で共有しやすくなります。
実際に企業が取り組める、相談しやすい職場改革の例をいくつかご紹介します!ぜひ参考にしてください。
風土の醸成
相談しやすい職場改革には、上司の理解とオープンな文化づくりが不可欠です。上司は部下の様子を日頃から観察し、必要に応じて自ら声をかけることで安心感のある場を作ります。
また、組織内で役職や立場に関係なく意見を言いやすい風通しの良い文化を育てることも大切です。上下関係がフラットで、お互いの意見を尊重し合う環境は、主体的で自律的な働き方を促進し、相談しやすい職場風土の形成につながります。
ハラスメント防止
経営陣がハラスメントは許さないという姿勢を明確に示し社内に周知すること、相談窓口を設置する等従業員が安心して相談できる環境を整備します。管理職の意識改革と研修も重要です。
公正で透明性のある評価、多様性の尊重、長時間労働の是正など、安心して働ける環境を整えることもハラスメント防止につながります。
これらの多面的な取り組みを通じてハラスメントの発生を未然に防ぐことが、相談しやすい職場改革につながります。
専門機関との連携
EAP(従業員支援プログラム)や産業医、ハラスメント相談やメンタルヘルス専門の外部窓口を設置する等専門機関との連携も重要です。従業員に対してこれら専門機関の存在や利用方法、プライバシー保護の説明を十分に行い、利用の敷居を下げることが大切です。
専門機関や外部窓口等と人事担当者が情報共有や連携を密にし、相談者の状況に応じたフォローアップや職場環境改善を進めます。
【企業ができる】休職・復職への対応
心の不調で休職した従業員が復帰する際には、復職プログラムや制度の整備が重要になります。
ここからは、企業ができる休職・復職への対応について解説します。
休職制度の運用
休職制度の運用ポイントを以下に解説します。
就業規則に定める
休職制度については、対象事由や期間、申請手続き、休職中の給与・勤続年数の扱い、復職条件などを就業規則に定めておくことが望ましく、必要に応じて労働基準監督署に届け出ることになります。
休職期間の設定
多くの企業は最大1年程度を目安に設定し、延長の可否や手続きも規定します。期間が長すぎると生産性低下や代替要員確保の課題が生じるためバランスが重要です。
休職中の給与・賞与・社会保険の扱い
給与支給の有無や社会保険料の負担方法、勤続年数への算入などを明確にし、従業員に周知します。
復職支援の実務
以下に復職支援の実務の流れを解説します。
1. 休職中の支援と説明
休職中の従業員とその家族に対し、会社の支援体制や復職までの流れを丁寧に説明し、不安を軽減する。
2. 復職可否の調整
産業医や人事担当者が中心となり、本人の健康状態や職場環境を総合的に把握し調整する。復職にあたっては主治医や産業医の意見を尊重する。
3. 復職後のフォローアップ・職場環境調整
復職後も定期的な面談や健康チェックを実施する。復職者が安心して働けるよう、職場内での理解促進や必要に応じた業務内容の見直しを行う。
職場メンタルヘルスに関するよくある質問
Q.ストレスチェックは義務ですか?
職場のメンタルヘルス対策としてのストレスチェックは、労働安全衛生法により義務付けられています。従業員が50人以上の事業場では、年に1回のストレスチェックの実施が法律で義務化されています。
一方、従業員50人未満の事業場については2025年以降に義務化の対象が拡大される方向で検討が進められています。また、ストレスチェックの結果で高ストレス者と判定された労働者からの申出があった場合、企業は医師による面接指導を実施し、その後必要に応じて作業転換や労働時間短縮などの措置を講じる義務があります。
Q.メンタル不調者にどう接すればいいですか?
職場でメンタル不調の従業員に接する際は、以下のポイントを押さえることが重要です。
・「最近どう?」だけでなく、「仕事の調子はどう?」「困っていることはない?」など具体的に尋ね、話しやすい雰囲気を作ります。
・本人の話を否定せず、じっくり耳を傾けることで安心感を与えます。無理に解決策を提示せず、「話を聞いてもらえた」と感じられることが回復の第一歩となります。
・負担の軽減や業務調整、ハラスメント防止など、ストレス要因を減らす取り組みも重要です。
・産業医やカウンセラー、EAP(従業員支援プログラム)など専門機関と連携し、必要に応じて面談や治療を促します。
Q.対応しなかったらどうなるの?
職場においてメンタル不調者への適切な対応が行われなかった場合、企業は「安全配慮義務違反」を問われる可能性があり、損害賠償請求の対象となるリスクが想定されます。
特に、メンタル不調の要因が業務上の過重労働やパワーハラスメントに起因する場合には、従業員本人または遺族から企業に対して損害賠償請求が提起される事態も考えられます。
さらに、不調者への対応を怠ることは、職場全体の士気低下や離職率の上昇、業務効率の悪化を招く要因となり得ます。
その結果、企業の社会的信用を失墜させ、優秀な人材の採用・定着に悪影響を及ぼし、ひいては組織力の低下へと直結する恐れがあります。
まとめ
職場のメンタルヘルス対策について解説してきました。自身で行う「セルフケア」、上司が日頃の職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行う「ラインケア」、産業医や人事労務管理スタッフによる「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、「事業場外資源によるケア」。
これら4つのケアを柱に、職場環境を整えていきましょう。
参考:厚生労働省.”令和5年労働安全衛生調査”,
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