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パワーハラスメント対策についての正しい理解

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パワーハラスメント対策についての正しい理解

パワーハラスメント対策についての正しい理解

2022/04/26

職場におけるパワーハラスメントやセクシャルハラスメント等の様々なハラスメントは、働く人が能力を充分に発揮することの妨げにことはもちろん、個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるなど人権に関わる許されない行為です。また、企業にとっても職場の秩序の乱れや業務への支障が生じたり、貴重な人材の損失につながり、社会的評価にも悪影響を与えかねない大きな問題です。

2016年に厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した人は32.5%でした。

 

パワーハラスメントを正しく理解する

 

改正された労働政策総合推進法において、職場におけるパワーハラスメントについて事業主に防止措置を講じることが義務づけられました。2022年4月からは中小企業においてもこの防止措置が義務となりました。またこの防止措置に併せて事業主に相談したこと等を理由にした不利益取扱いも禁止されています。

 

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる3つの要素

①優越的な関係を背景とした言動であって

ここでいう優越的な関係とは、業務を行う上で、言動を受ける労働者が行為者とされる者に対して、抵抗や拒絶することが出来ない可能性が高い関係を背景として行われるものです。

例えば「職務上の地位が上位の者による言動」これが一番イメージとして多く思い描かれるものではないでしょうか。上司から部下に対する行為です。また「同僚や部下による言動」で言動を行う者が、豊富な知識や経験を持っているのにも関割らず「円滑な業務遂行」が難しくなるほど非協力的であるという行為。そして「同僚又は部下からの集団による行為」で、抵抗したり拒絶することが困難な行為です。

 

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

これは社会通念上、業務の範囲を超えて明らかに限度を超した言動により、被害者が精神的・身体的な苦痛を受けた場合が該当します。「社会通念上ふさわしくない言動かどうか」は言動の目的、言動を受けた労働者の問題行動の有無などのさまざまな要素を総合的にみて「客観的」に判断する必要があります。また「業務の適正な範囲かどうか」は個別に判断する必要があり見極めがむずかしくなります。その際は言動の内容や継続性から頻度、行為者の人数などが判断材料となります。たとえ労働者に問題行動があったとしても、人格を否定するような言動など相当な範囲を超えたものであれば、当然、職場におけるパワーハラスメントとに当たり得ます。

 

③労働者の就業環境が害されるもの

精神的・身体的苦痛を与えるような言動により、労働者の職場環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な影響が生じるなど、労働者が仕事をする上で見過ごせない程度の支障が生じることを指します。

この判断には「平均的な労働者の感じ方」すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会⼀般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とします。

またこのような言動があると、周りの人たちへの影響も出てきます。言動を起こした本人に悪意がないとしても、周りが不快に感じるとパワーハラスメントに該当する場合もあります。

 

をいい①から③までの3つをすべて満たすものをいいます。

 

パワハラに当たるもの、当たらないもの

 

厚生労働省では、職場のパワーハラスメントを6種類に分類しています。

 

参考 厚生労働省:職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました︕

 

①身体的な攻撃 ミスをした部下を殴ったり、部下のイスを蹴飛ばしたり、相手に物を投げたりする行為もこれに当たります。ただし故意ではない、また優越的な関係が背景にない場合にはパワーハラスメントには該当しない場合もあります。

 

②精神的な攻撃 他の従業員の前で人格を否定したり、日常的に大声で怒鳴りつけたり、長時間の繰り返しの罵倒や叱責もこれに当たります。ただし、何度か注意しても改善がされない相手に対して強く注意をしたり、会社にとって重大な問題を行った者に対する注意はパワーハラスメントには該当しません。

 

③人間関係からの切り離し 本人の意に沿わない形で、同僚や上司との接点を意図的に切り離す行為です。特定の社員だけ故意にミーティングに呼ばなかったり、挨拶をされても無視をするなどがこれに当たります。これも例えば新規採用者の育成を目的とした別室での研修や、感染症対策のために机と机の間隔を広げるなどの行為に関してはパワーハラスメントには該当しません。

 

④過大な要求 肉体的な苦痛を伴う過酷な環境下で、直接関係のない作業を長期的に命じたり、新規採用者に対して必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業務目標を課し、達成できなかったことに対して厳しく叱責をしたりする行為がこれに当たります。反対に、育成を目的として少し高いレベルの業務を任せたり、繁忙期に業務上の必要性から通常時期より一定程度多い業務を任せることはパワーハラスメントには該当しません。

 

⑤過小な要求 特定の社員にだけ理由なく仕事を与えなかったり、能力が低いからとわざと掃除のみをさせるなどの当人が持つ能力や経験に見合わないような程度の低い仕事を命じる行為です。ただし労働者の能力に応じて業務量や業務内容を一時的に減らしたりすることはパワーハラスメントには該当しません。

 

⑥個の侵害 飲み会や行事への参加を強制したり、有給休暇の取得理由を細かく聞いたりなどプライベートな内容に対して過度に立ち入る行為をいいます。ただし労働者への配慮を目的とした聞き取りや本人の了解を得て個人情報を聞いたりすることはパワーハラスメントには該当しません。

 

以上が6つの代表的なものですが、個別の事案によって判断が異なることも十分に考えられます。企業側にとっては柔軟な対応が求められます。

 

職場でのパワーハラスメントを防止するために重要なことは「職場環境の整備」です。

東京労働局では、職場におけるパワーハラスメント対策の義務化に係る項目において、自主点検票を設けています。これを見て、今自分の企業の取り組みを再確認するのもいいでしょう。

東京労働局:自主点検を実施しましょうーパワハラ防止法施行に向けて

 

また企業としてパワーハラスメントに反対する方針を明確にし、就業規則などに厳正な処分内容等を盛り込むことも大事です。パワーハラスメントに関しての研修やセミナーなどの活用も効果的ではないでしょうか。

 


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